6 / 20
雑賀の国
本能寺脱出
しおりを挟む
本能寺の変後、信長は鈴木重秀に引かれ蘭丸と少しの供回りを連れ本能寺を脱出していた。
「本能寺の外は明智軍がうじゃうじゃといると思っていたが、なぜ一人もおらんのだ?」
「おっ、流石信長様。やはり気になりますかな?」
「あぁ、奴は織田家臣の中でも随一の実力を持っておった。そんな奴をお前が全て倒せるわけがないからな。」
「実は、わしが明智の家臣の一人を撃ち抜いたのですよ。そうしたらすぐに明智は帰っていきましたわ!」
「おい、重秀。雑賀の頭領がそんなことで自慢するな。今は急いで紀州に帰らねばならんのだ。」
「はいはい、分かってるよ重朝。」
「何だお前ら。わしを紀州に連れて行くつもりか?なぜだ?」
「実はある人物から『信長様を助け出せ』と命令を受けているのですよ。」
「ある人物?誰だそいつは。わしを殺そうとする奴は多くいるが助け出すような奴はほとんどおらんぞ。」
「まぁそれは紀州に着いてからで。」
「おーい重朝!着いたぞー!」
「ん?まだ紀伊ではないだろう?」
「いえ、信長様。紀州へ帰る途中に大和の筒井殿のところで少し休ませて貰うのです。ただ、信長様のことは伝えておりませんが。」
「これは鈴木殿。いかがなされたのです。」
筒井順慶、2歳で筒井家の家督を継ぎ大和に勢力を築いている。
「京では信長様が亡くなられたと聞きましたぞ。あなたも京の方から来られましたが大丈夫なのですか?」
「ご心配ありがとうございます。筒井殿。実は我らは若狭の方へ借り出されていて、紀州へ帰るときに運悪く明智に絡まれてしまってここまで逃げてきたのです。なので、兵が疲れておりますので少し休ませて貰おうと来たのです。」
「そうでしたか。お疲れさまです。ごゆるりとお過ごしください。おや?その方は?」
順慶は信長の方を向いて聞いた。
「…!」
「あぁ、そいつは若狭の近くの豪族です。織田の争いに巻き込まれたくないと付いてきたのです。」
「斎藤長吉でございます。」
信長はとっさに偽名を名乗った。
「それとその隣にいるのは…」
(しまった!蘭丸殿のことを忘れておった!どうするか…ええい!)
「隣にいるのはその妻です。」
「なっ…つ、妻の蘭です…」
「そうでございましたか。いえ、少し信長様に似ておるような気がしたもので。どうぞ疲れを癒やしてくだされ。」
「ありがとうございます。」
「ちょっと重秀様!なぜ私が妻なのですか!私は男ですよ!武士ですよ!」
「すまぬな。ただ思いつかなかったのだ。」
「思いつかなかったって…」
「まぁ良いではないか蘭丸いや、蘭。騙せたのだし。」
「の、信長様まで…」
そうして鈴木勢と信長たちは筒井で一夜を明かした。
「本能寺の外は明智軍がうじゃうじゃといると思っていたが、なぜ一人もおらんのだ?」
「おっ、流石信長様。やはり気になりますかな?」
「あぁ、奴は織田家臣の中でも随一の実力を持っておった。そんな奴をお前が全て倒せるわけがないからな。」
「実は、わしが明智の家臣の一人を撃ち抜いたのですよ。そうしたらすぐに明智は帰っていきましたわ!」
「おい、重秀。雑賀の頭領がそんなことで自慢するな。今は急いで紀州に帰らねばならんのだ。」
「はいはい、分かってるよ重朝。」
「何だお前ら。わしを紀州に連れて行くつもりか?なぜだ?」
「実はある人物から『信長様を助け出せ』と命令を受けているのですよ。」
「ある人物?誰だそいつは。わしを殺そうとする奴は多くいるが助け出すような奴はほとんどおらんぞ。」
「まぁそれは紀州に着いてからで。」
「おーい重朝!着いたぞー!」
「ん?まだ紀伊ではないだろう?」
「いえ、信長様。紀州へ帰る途中に大和の筒井殿のところで少し休ませて貰うのです。ただ、信長様のことは伝えておりませんが。」
「これは鈴木殿。いかがなされたのです。」
筒井順慶、2歳で筒井家の家督を継ぎ大和に勢力を築いている。
「京では信長様が亡くなられたと聞きましたぞ。あなたも京の方から来られましたが大丈夫なのですか?」
「ご心配ありがとうございます。筒井殿。実は我らは若狭の方へ借り出されていて、紀州へ帰るときに運悪く明智に絡まれてしまってここまで逃げてきたのです。なので、兵が疲れておりますので少し休ませて貰おうと来たのです。」
「そうでしたか。お疲れさまです。ごゆるりとお過ごしください。おや?その方は?」
順慶は信長の方を向いて聞いた。
「…!」
「あぁ、そいつは若狭の近くの豪族です。織田の争いに巻き込まれたくないと付いてきたのです。」
「斎藤長吉でございます。」
信長はとっさに偽名を名乗った。
「それとその隣にいるのは…」
(しまった!蘭丸殿のことを忘れておった!どうするか…ええい!)
「隣にいるのはその妻です。」
「なっ…つ、妻の蘭です…」
「そうでございましたか。いえ、少し信長様に似ておるような気がしたもので。どうぞ疲れを癒やしてくだされ。」
「ありがとうございます。」
「ちょっと重秀様!なぜ私が妻なのですか!私は男ですよ!武士ですよ!」
「すまぬな。ただ思いつかなかったのだ。」
「思いつかなかったって…」
「まぁ良いではないか蘭丸いや、蘭。騙せたのだし。」
「の、信長様まで…」
そうして鈴木勢と信長たちは筒井で一夜を明かした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
19
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる