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刀の品評会
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「すみません、ヨネモリさん・・・ダメでした。」
採用試験に落ちたジュゼは、机に突っ伏して、めそめそと泣いていた。
その姿を黙って眺めていたヨネモリは口を開く。
「話を聞く限りでは、最悪のプレゼンテーションをしてしまったわけだ。結果は誤差と指摘され、刀の声というオカルトな方向に走ってしまった・・・と。」
「だったらどうすればよかったんですか!」とヨネモリの顔を見るジュゼ。顔は涙と鼻水でぐじゃぐじゃである。
「終わってしまったことはもうどうにも出来ない。
ひょっとすれば相手は機会を与えたという事実だけ欲しかったのかもしれない。」
「どういう意味です」
「看板に偽りがあれば寄ってくる奴も減ってしまう。そうならないように誰でも応募できるようにしておいて、気に食わないやつが来たときは無理難題を押し付けて採用しないということさ。」
「そんな……」
がっくりとうなだれるジュゼ。
「もう終わりです。僕はもう父さんの名誉を晴らすことなく生きていくしかないんです」
「そう諦めずに一緒に方法を探してみないか。私はね、君とあの森であったことは何かの縁だと思っている。だから何ができることがないか一緒に考えてみたいと思うんだ。何か他の手がないか一緒に考えてみよう。鍛冶屋を続けていくための資金が手に入れる方法を一緒に探してみよう。」
いつも皆から蔑まれてきた。赤の他人に前向きに励まされたのはいつ依頼だろう。
「ありがとうございます。でも・・・もう何もないですよ。」
「たとえば誰でも参加できる大会があるとか、そういうのはないのか。」
「あることにはあります。数日後に刀剣の品評会があります。参加費も無料です。その品評会で一定の評価を得られれば、新しい取引がもらえるかもしれません。でも・・・」
多くの鍛冶屋が参加する品評会に顔を出せば何を言われるかわかったものではない。ワークスミス家は鍛冶屋の面汚しと蔑まれている。キツイ風当たりは避けられないだろう。そしてそんな自分に仕事を頼む人がいるのだろうか。
ジュゼは不安になった。
「きっと他の人にひどいことを言われると不安だと思う。だから私も一緒に参加するよ。誰かにひどいことを言われても二人なら耐えられるとは思わないか。勇気をだして参加してみないか。まだ希望は失われていない、そう信じてやれることは何でもやってみよう。どうせ失うものはもう何も無いんだ。」
こんな自分に優しくしてくれる人がまだいたのかと実感した。久しぶりに人の温かさに触れた気がした。ヨネモリの親切心にまた涙がこみあげてきた。
「ありがとうございます。ありがとうございます」
ヨネモリは涙をポロポロと流しながらお礼を言うことしか出来なかった。
――――数日後、刀剣の品評会が町の外れで行われた。
多くの鍛冶屋が一斉に集まる品評会は予選と本戦があり、予選で合格すれば本戦に出場できる。
予選は品評会参加者の票数で決まり、本戦は専門の鑑定士によって行われる。
「鍛冶屋は誰でも参加できるんですけど、投票者は限られた人だけなんですよ。誰でも投票できたら組織票が生まれますからね。」
品評会のことを説明するジュゼに、話しかけるものがいた。聞きたくない声だ。
「お前みたいなやつが参加してるとはな」
リミットである。
「品評会の質が下がるから参加すんじゃねーよ。あ、でも、お前みたいな雑魚がいれば他の人が本戦に進みやすくなるかもしれないし、やっぱり参加を許してやる」
「別に参加するために君の許可はいらないと思うがね」と口を挟んだのはヨネモリである
「オッサン誰だよ。」
「ヨネモリっていうんだ。どうぞよろしく」
握手を求めるヨネモリをジロジロと見た後「なんだ脱走者か。変な奴ら。」と吐き捨ててリミットは去っていった。
「ずいぶん失礼な友達だね。」
「友達じゃないです」
「あんな絡まれ方をするってことは、なにか恨みを買ったことでもあるのかい。」
「特に覚えはないんですけど、けど、ずっと絡んでくるんです。」
「君も色々大変なんだね。さて、品評会が始まるみたいだね」
品評会が始まると、参加者達が我先にと目的の鍛冶屋へ走っていった。参加者達は展示されている刀を眺めたり、実際に手にとり、一番気に入った鍛冶屋へコインをおいていく。このコインが多いものが本戦へと進めるのだ。
だが、ジュゼ達のもとへは1人の参加者もやってこなかった。
「悪評の高い僕の刀なんて、欲しがる人はいませんから・・・」
「実際に手にとって貰えれば、その良さがわかるのに残念だな。違いの分かる人がいないということだろうか。」
結局ジュゼの刀を手に取る者はおらず、予選は終了してしまった。予選に落ちたジュゼはそのまま帰宅の準備をはじめた。
「刀の素材は品評会で借りたものなので、返却しておきますね。」
そう言うと、ジュゼは刀の廃棄場所へと行くと、そっと寂しそうに自分の刀をその場においた。
「ごめんね。君を使ってくれる人を見つけられなくて。」
それは刀への謝罪の言葉だった。
ジュゼとヨネモリはそのまま帰路へついた。
昼の休憩を挟んだ後、本戦が始まろうとしたが、ちょっとした騒ぎが起きた。
はじめは品評会の会場内で歩いていた見知らぬ二人の肩がぶつかったという話であった。だが、小さな口論はやがて殴り合いの喧嘩へと発展した。やがて片方の男が帯刀していた刀を抜刀し斬りかかった。もう片方の男は刀を持っていなかった。だがちょうどそこは廃棄場所であったため目についた刀を手にとり、男の一太刀を名も無き刀で受け止めようとした。
周囲にいる誰もが、受け止める側は刀ごと叩き切られて命を落とすだろうと思っていた。品評会で廃棄される刀は元々の素材の質が高くない。そして廃棄されたものはその中でも特に出来が悪かったものである。斬りつけた男の刀は有名な刀工が作ったものである。これでは勝ち目はない。
だが結果は目撃するすべてのものを裏切った。斬りつけた刀が逆に折れてしまったのだ。
唖然とする斬った側の男は、そのまま周囲に取り押さえられ後に処罰を受けることになった。
そのやり取りを見た周囲の者たちはこの件でたいそう盛り上がった。ある者は「あの刀工の刀が折れるはずはない。見栄で贋作を使っていたに違いない」と言った。またあるものは「斬りつけた男の腕があまりに酷すぎた」と言った。だが誰かが「廃棄場所にあった妖精の作った刀に違いない」と言ったところ、誰がその刀を作ったのかを知りたいという問い合わせが大会運営に殺到した。
収集がつかなくなり、本戦の審査員が実際にその刀を手に取り鑑定してみたところ、それは見事なまでに完成された刀であった。品評会で鍛冶屋に配られる素材は、平凡な素材しか使われていない。それは末端の鍛冶屋が素材を持ち逃げしてしまわないようにという配慮もあった。だが、その平凡な素材から、ここまで見事な刀を作ったものがいる。この事実は本戦に出場した鍛冶屋、そして本戦の審査員である一流の鑑定士達を驚かせた。そして、その刀を作ったものがなぜか誰からも見抜きもされず、本戦へ出場出来なかったという事実が本選出場者に恥をかかせた。
また折られた刀の刀工はリミットの父親サミットであった。これはサミットの顔に泥を塗る結果となった。「あの"妖精"が、品評会の奢りを嘲笑しにきた」という意見まで飛び交う始末だった。
さまざまな憶測が飛び交ったが、多くが一番興味を持ったのは誰がこの刀を作ったのか、ということだった。しかし刀に銘が切られていないため実際に誰の刀であったのかは分からなかった。何人かの予選敗退者が「自分が作った刀だ」と名乗りを上げたが、後日彼らに同じものを作ることは出来なかった。
この話題はしばらく世間話の好きな人々の話題となったが、結局「妖精の気まぐれ」ということで話は決着してしまった。そして刀を偶然手にした男は、自分の命を救った「護刀」と呼び、代々語り継ぐ家宝として家に飾ることにした。
採用試験に落ちたジュゼは、机に突っ伏して、めそめそと泣いていた。
その姿を黙って眺めていたヨネモリは口を開く。
「話を聞く限りでは、最悪のプレゼンテーションをしてしまったわけだ。結果は誤差と指摘され、刀の声というオカルトな方向に走ってしまった・・・と。」
「だったらどうすればよかったんですか!」とヨネモリの顔を見るジュゼ。顔は涙と鼻水でぐじゃぐじゃである。
「終わってしまったことはもうどうにも出来ない。
ひょっとすれば相手は機会を与えたという事実だけ欲しかったのかもしれない。」
「どういう意味です」
「看板に偽りがあれば寄ってくる奴も減ってしまう。そうならないように誰でも応募できるようにしておいて、気に食わないやつが来たときは無理難題を押し付けて採用しないということさ。」
「そんな……」
がっくりとうなだれるジュゼ。
「もう終わりです。僕はもう父さんの名誉を晴らすことなく生きていくしかないんです」
「そう諦めずに一緒に方法を探してみないか。私はね、君とあの森であったことは何かの縁だと思っている。だから何ができることがないか一緒に考えてみたいと思うんだ。何か他の手がないか一緒に考えてみよう。鍛冶屋を続けていくための資金が手に入れる方法を一緒に探してみよう。」
いつも皆から蔑まれてきた。赤の他人に前向きに励まされたのはいつ依頼だろう。
「ありがとうございます。でも・・・もう何もないですよ。」
「たとえば誰でも参加できる大会があるとか、そういうのはないのか。」
「あることにはあります。数日後に刀剣の品評会があります。参加費も無料です。その品評会で一定の評価を得られれば、新しい取引がもらえるかもしれません。でも・・・」
多くの鍛冶屋が参加する品評会に顔を出せば何を言われるかわかったものではない。ワークスミス家は鍛冶屋の面汚しと蔑まれている。キツイ風当たりは避けられないだろう。そしてそんな自分に仕事を頼む人がいるのだろうか。
ジュゼは不安になった。
「きっと他の人にひどいことを言われると不安だと思う。だから私も一緒に参加するよ。誰かにひどいことを言われても二人なら耐えられるとは思わないか。勇気をだして参加してみないか。まだ希望は失われていない、そう信じてやれることは何でもやってみよう。どうせ失うものはもう何も無いんだ。」
こんな自分に優しくしてくれる人がまだいたのかと実感した。久しぶりに人の温かさに触れた気がした。ヨネモリの親切心にまた涙がこみあげてきた。
「ありがとうございます。ありがとうございます」
ヨネモリは涙をポロポロと流しながらお礼を言うことしか出来なかった。
――――数日後、刀剣の品評会が町の外れで行われた。
多くの鍛冶屋が一斉に集まる品評会は予選と本戦があり、予選で合格すれば本戦に出場できる。
予選は品評会参加者の票数で決まり、本戦は専門の鑑定士によって行われる。
「鍛冶屋は誰でも参加できるんですけど、投票者は限られた人だけなんですよ。誰でも投票できたら組織票が生まれますからね。」
品評会のことを説明するジュゼに、話しかけるものがいた。聞きたくない声だ。
「お前みたいなやつが参加してるとはな」
リミットである。
「品評会の質が下がるから参加すんじゃねーよ。あ、でも、お前みたいな雑魚がいれば他の人が本戦に進みやすくなるかもしれないし、やっぱり参加を許してやる」
「別に参加するために君の許可はいらないと思うがね」と口を挟んだのはヨネモリである
「オッサン誰だよ。」
「ヨネモリっていうんだ。どうぞよろしく」
握手を求めるヨネモリをジロジロと見た後「なんだ脱走者か。変な奴ら。」と吐き捨ててリミットは去っていった。
「ずいぶん失礼な友達だね。」
「友達じゃないです」
「あんな絡まれ方をするってことは、なにか恨みを買ったことでもあるのかい。」
「特に覚えはないんですけど、けど、ずっと絡んでくるんです。」
「君も色々大変なんだね。さて、品評会が始まるみたいだね」
品評会が始まると、参加者達が我先にと目的の鍛冶屋へ走っていった。参加者達は展示されている刀を眺めたり、実際に手にとり、一番気に入った鍛冶屋へコインをおいていく。このコインが多いものが本戦へと進めるのだ。
だが、ジュゼ達のもとへは1人の参加者もやってこなかった。
「悪評の高い僕の刀なんて、欲しがる人はいませんから・・・」
「実際に手にとって貰えれば、その良さがわかるのに残念だな。違いの分かる人がいないということだろうか。」
結局ジュゼの刀を手に取る者はおらず、予選は終了してしまった。予選に落ちたジュゼはそのまま帰宅の準備をはじめた。
「刀の素材は品評会で借りたものなので、返却しておきますね。」
そう言うと、ジュゼは刀の廃棄場所へと行くと、そっと寂しそうに自分の刀をその場においた。
「ごめんね。君を使ってくれる人を見つけられなくて。」
それは刀への謝罪の言葉だった。
ジュゼとヨネモリはそのまま帰路へついた。
昼の休憩を挟んだ後、本戦が始まろうとしたが、ちょっとした騒ぎが起きた。
はじめは品評会の会場内で歩いていた見知らぬ二人の肩がぶつかったという話であった。だが、小さな口論はやがて殴り合いの喧嘩へと発展した。やがて片方の男が帯刀していた刀を抜刀し斬りかかった。もう片方の男は刀を持っていなかった。だがちょうどそこは廃棄場所であったため目についた刀を手にとり、男の一太刀を名も無き刀で受け止めようとした。
周囲にいる誰もが、受け止める側は刀ごと叩き切られて命を落とすだろうと思っていた。品評会で廃棄される刀は元々の素材の質が高くない。そして廃棄されたものはその中でも特に出来が悪かったものである。斬りつけた男の刀は有名な刀工が作ったものである。これでは勝ち目はない。
だが結果は目撃するすべてのものを裏切った。斬りつけた刀が逆に折れてしまったのだ。
唖然とする斬った側の男は、そのまま周囲に取り押さえられ後に処罰を受けることになった。
そのやり取りを見た周囲の者たちはこの件でたいそう盛り上がった。ある者は「あの刀工の刀が折れるはずはない。見栄で贋作を使っていたに違いない」と言った。またあるものは「斬りつけた男の腕があまりに酷すぎた」と言った。だが誰かが「廃棄場所にあった妖精の作った刀に違いない」と言ったところ、誰がその刀を作ったのかを知りたいという問い合わせが大会運営に殺到した。
収集がつかなくなり、本戦の審査員が実際にその刀を手に取り鑑定してみたところ、それは見事なまでに完成された刀であった。品評会で鍛冶屋に配られる素材は、平凡な素材しか使われていない。それは末端の鍛冶屋が素材を持ち逃げしてしまわないようにという配慮もあった。だが、その平凡な素材から、ここまで見事な刀を作ったものがいる。この事実は本戦に出場した鍛冶屋、そして本戦の審査員である一流の鑑定士達を驚かせた。そして、その刀を作ったものがなぜか誰からも見抜きもされず、本戦へ出場出来なかったという事実が本選出場者に恥をかかせた。
また折られた刀の刀工はリミットの父親サミットであった。これはサミットの顔に泥を塗る結果となった。「あの"妖精"が、品評会の奢りを嘲笑しにきた」という意見まで飛び交う始末だった。
さまざまな憶測が飛び交ったが、多くが一番興味を持ったのは誰がこの刀を作ったのか、ということだった。しかし刀に銘が切られていないため実際に誰の刀であったのかは分からなかった。何人かの予選敗退者が「自分が作った刀だ」と名乗りを上げたが、後日彼らに同じものを作ることは出来なかった。
この話題はしばらく世間話の好きな人々の話題となったが、結局「妖精の気まぐれ」ということで話は決着してしまった。そして刀を偶然手にした男は、自分の命を救った「護刀」と呼び、代々語り継ぐ家宝として家に飾ることにした。
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