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温度
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2人とも無言でコンビニまでの道を歩く。
仕事場からコンビニまでは5分程だ。
途中光輝くんのケータイが鳴り続ける。
「ケータイ、鳴ってますよ?いいんですか?」
多分、彼女だ。
いつも2人でタバコを吸っている時にLINEが来る。
「大丈夫。もういいから」
今日はLINE返さないんだ。
いつもはもうすぐ帰るってLINEを打ってるのに。
少し嬉しい気持ちに心を踊らせていると。
不意に手に暖かい感覚があり、私より大きい手で包まれた。
「ダメ?」
その一言で私はようやく自分の左手に何が起こったのか理解出来た。
手を繋いでくれたのだ。
私は照れている気持ちを抑えながら
「ダメじゃないですけど、光輝くんって絶対遊び人ですよね」
「バレたかぁ。でも、許して。今はほんとに輝利ちゃんに癒されたいから」
許すもなにもないのに。光輝くんになら、好きにされていいのに。
光輝くんの温度に包まれながらコンビニまでの道を歩く。
「癒されるかは分からないですけど、嬉しいです」
「ほんとに癒されてるよ。ありがとう」
光輝くんは、笑いながら言ってくれた。
コンビニの光が近くになり、手を離される。
先程まで暖かかった私の手は急に熱を無くす。
すこし悲しくなったが、私たちは付き合ってないし、当たり前だ。
でも、私の心は温度をあげたまま、なかなか熱が引かない。
「俺、飯も買うけど、輝利ちゃんは?」
「1人だと食べないので大丈夫です」
「食べないと大きくなれないよ?」
「うるさいです」
と、笑いながら言う
「ごめんごめん」
光輝くんは悪びれる様子もなく笑いながら謝る
その反応に頬を膨らましていると
「可愛い」
待って。その言葉は反則。
なんの反応も出来ないまま、光輝くんはさも当然のようにご飯を選んでレジに並ぶ
「輝利ちゃん、いつものでいいよね?」
「ありがとうございます」
「すみません、35番2つお願いします」
「こちらでお間違いないですか?」
「大丈夫です、お願いします」
「2つもいいんですか?」
「いいの、いいの!遠慮しない」
「ありがとうございます」
「お会計2,580円です」
「3,000円でお願いします」
「お釣りとレシートです。ありがとうございました」
コンビニの店員さんの声を後に私たちは外に出た。
「はい!どうぞ!」
「ありがとうございます」
「そろそろ帰るかぁ」
「そうですね」
その言葉を合図に光輝くんはまた、私の手を取った。
また、私の左手は熱を帯びる。
そのまま、私たちは来た道を引き返す。
もっと、一緒にいたい。もっと、もっと光輝くんのそばに。
そんな気持ちを飲み込み、私は5分と言う短い時間の中での幸せと、いまから彼女の元へ帰る光輝くんの横顔を少し眺め寂しさを噛み締めていた。
「また、来週だね」
「そうですね。お疲れ様でした」
「うん。またね。おやすみ」
「おやすみなさい」
光輝くんのまたね。に心を踊らせながら、彼の家にいるであろう彼女に対しての憎悪を私は隠せずにいた。
またね。に対して幸せを感じてた私は、ほんと馬鹿だったよ。
今、こんなことになってんのに。
引き返すなら今だけだよ。この時の私に言ってあげたいよ。
今のこの状況に後悔なんて微塵もしてないけど、ひとつ言えるのは、あんた、ほんとに馬鹿な女だよ。
仕事場からコンビニまでは5分程だ。
途中光輝くんのケータイが鳴り続ける。
「ケータイ、鳴ってますよ?いいんですか?」
多分、彼女だ。
いつも2人でタバコを吸っている時にLINEが来る。
「大丈夫。もういいから」
今日はLINE返さないんだ。
いつもはもうすぐ帰るってLINEを打ってるのに。
少し嬉しい気持ちに心を踊らせていると。
不意に手に暖かい感覚があり、私より大きい手で包まれた。
「ダメ?」
その一言で私はようやく自分の左手に何が起こったのか理解出来た。
手を繋いでくれたのだ。
私は照れている気持ちを抑えながら
「ダメじゃないですけど、光輝くんって絶対遊び人ですよね」
「バレたかぁ。でも、許して。今はほんとに輝利ちゃんに癒されたいから」
許すもなにもないのに。光輝くんになら、好きにされていいのに。
光輝くんの温度に包まれながらコンビニまでの道を歩く。
「癒されるかは分からないですけど、嬉しいです」
「ほんとに癒されてるよ。ありがとう」
光輝くんは、笑いながら言ってくれた。
コンビニの光が近くになり、手を離される。
先程まで暖かかった私の手は急に熱を無くす。
すこし悲しくなったが、私たちは付き合ってないし、当たり前だ。
でも、私の心は温度をあげたまま、なかなか熱が引かない。
「俺、飯も買うけど、輝利ちゃんは?」
「1人だと食べないので大丈夫です」
「食べないと大きくなれないよ?」
「うるさいです」
と、笑いながら言う
「ごめんごめん」
光輝くんは悪びれる様子もなく笑いながら謝る
その反応に頬を膨らましていると
「可愛い」
待って。その言葉は反則。
なんの反応も出来ないまま、光輝くんはさも当然のようにご飯を選んでレジに並ぶ
「輝利ちゃん、いつものでいいよね?」
「ありがとうございます」
「すみません、35番2つお願いします」
「こちらでお間違いないですか?」
「大丈夫です、お願いします」
「2つもいいんですか?」
「いいの、いいの!遠慮しない」
「ありがとうございます」
「お会計2,580円です」
「3,000円でお願いします」
「お釣りとレシートです。ありがとうございました」
コンビニの店員さんの声を後に私たちは外に出た。
「はい!どうぞ!」
「ありがとうございます」
「そろそろ帰るかぁ」
「そうですね」
その言葉を合図に光輝くんはまた、私の手を取った。
また、私の左手は熱を帯びる。
そのまま、私たちは来た道を引き返す。
もっと、一緒にいたい。もっと、もっと光輝くんのそばに。
そんな気持ちを飲み込み、私は5分と言う短い時間の中での幸せと、いまから彼女の元へ帰る光輝くんの横顔を少し眺め寂しさを噛み締めていた。
「また、来週だね」
「そうですね。お疲れ様でした」
「うん。またね。おやすみ」
「おやすみなさい」
光輝くんのまたね。に心を踊らせながら、彼の家にいるであろう彼女に対しての憎悪を私は隠せずにいた。
またね。に対して幸せを感じてた私は、ほんと馬鹿だったよ。
今、こんなことになってんのに。
引き返すなら今だけだよ。この時の私に言ってあげたいよ。
今のこの状況に後悔なんて微塵もしてないけど、ひとつ言えるのは、あんた、ほんとに馬鹿な女だよ。
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