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011 オーガの臣従
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ハンゾウが移住して1週間が経った。
最初は遠巻きに眺めていた住民達だったが、日が経つに連れて礼儀正しいハンゾウの態度に警戒心が緩み、少しづつだが挨拶を交わす者も出始めた。
とはいっても心を許した訳ではなく、まだまだ恐々とした雰囲気がある。
それでも大きな一歩なのは確かだ。
ハンゾウも「エルロンド様のおっしゃる通りになるかも」と期待を滲ませている。
「これほど早く挨拶されるとは思ってもみませなんだ」
「ハンゾウ殿が礼儀正しいからさ。それに衣服を変えて見違えたのもあるかな。来た時は戦闘直後みたいな風態だったからね」
身形を整えたハンゾウは同一人物とは思えぬほど見違えていた。
埃と脂で汚れた髪はサラサラになり、垢のこびりついた身体は瑞々しい張りを取り戻し、疲れの取れた精悍な顔つきは戦士としての誇らしさに満ちている。
巨躯で筋肉質なだけに威圧感があるが、丁寧な立ち振る舞いが要らぬ恐怖を和らげた。
「これで刀を差したら侍みたいだな」
「なにか?」
「いや、なんでもない」
侍と言って理解できるはずがない。
説明のしようがないので空耳だとはぐらかした。
1ヶ月もすると住民はハンゾウと打ち解けていた。
常にエルロンドと行動を共にしていた事から害はないと判断したのだろう。
恐々と挨拶していた住民は元気に挨拶するようになり、近頃では世間話しを交えるようになった。
話をすれば意思が通じ、相手の善悪を測る物差しになるというものだ。
ハンゾウも人間は亜人を恐れるものだという偏見が崩れ、会話を通じて打ち解けることで垣根を取り外せるのだと確信したようだった。
ハンゾウの報告を受けたヤシャは信じ難かったのだろう。
一族を移住させる前に自らが町を訪れて確かめる事にした。
結果は言うに及ばず。
ハンゾウの父親という触れ込みで歓迎され、恐れや敵対心を覚悟していたヤシャは目を丸くして驚いたのだった。
その数日後には一族を率いてヤシャが移住してきたのは言うまでもない。
「エルロンド様!ここにオーガの長として貴方様に忠誠を誓います!」
一族を受け入れる見返りにヤシャは臣従を受け入れた。
オーガは戦闘種族のため戦の役に立つだろう。
もっとも、10歳の少年に出兵の任が下されるはずがない。
だからヤシャ達には他の事で活躍してもらおう。
「これからよろしく頼む。さっそくだけど、前に話した雑木林を切り開く件についてだが」
「我等にお任せください。オーガの怪力ならば容易く伐採してご覧に入れます」
「うん、期待しているよ。収穫が増えれば皆の胃袋が満たされるからね。それに色々な作物を育てたいから耕作地は多めに欲しいんだ」
すでにカブやトウモロコシ、大豆や果物などの種を確保している。
この土地に適した品種ばかりを取り揃えたのだ。
リュシーファの情報による恩恵である。
耕作地が広がれば一大生産地になるのは間違いない。
「承知いたしました。全力で開拓に励みましょう」
ヤシャとハンゾウは気合をみなぎらせて雑木林の開拓に出発した。
1ヶ月後。
オーガの活躍で雑木林は伐り倒され、見事な耕作地が出来上がった。
落ち葉が堆肥となって土は肥え、保水性もあることから食物を育てるに十分な環境だ。
必要な準備は万端整っている。
アスタールに奴隷を追加購入させたから人手の不足もなかった。
出費はかさんだが微々たるものだ。
相当な時間を費やすだろうと思っていた雑木林の伐採がオーガの活躍で短期間で済んだのだ。
その恩恵は計り知れず、出費を補って余りあるものだった。
「あとは区画に分けて種をまくだけだな」
奴隷に指示を出して区画ごとに種をまいていった。
これからが根気のいる作業の連続だ。
無事に作物が実るかは奴隷達の働きにかかっている。
真剣な表情の奴隷達。
それもそのはず。
怠けずに働いて結果を出せば、奴隷から解放すると約束したからだ。
彼等が最も求めるのは自由である。
そのためには死に物狂いで働くだろう。
「なにしろ、元奴隷が僕の側近だからね。信頼度は高いはずさ」
俺は一生懸命に働く奴隷達に「頑張れ」と小さな声で応援した。
最初は遠巻きに眺めていた住民達だったが、日が経つに連れて礼儀正しいハンゾウの態度に警戒心が緩み、少しづつだが挨拶を交わす者も出始めた。
とはいっても心を許した訳ではなく、まだまだ恐々とした雰囲気がある。
それでも大きな一歩なのは確かだ。
ハンゾウも「エルロンド様のおっしゃる通りになるかも」と期待を滲ませている。
「これほど早く挨拶されるとは思ってもみませなんだ」
「ハンゾウ殿が礼儀正しいからさ。それに衣服を変えて見違えたのもあるかな。来た時は戦闘直後みたいな風態だったからね」
身形を整えたハンゾウは同一人物とは思えぬほど見違えていた。
埃と脂で汚れた髪はサラサラになり、垢のこびりついた身体は瑞々しい張りを取り戻し、疲れの取れた精悍な顔つきは戦士としての誇らしさに満ちている。
巨躯で筋肉質なだけに威圧感があるが、丁寧な立ち振る舞いが要らぬ恐怖を和らげた。
「これで刀を差したら侍みたいだな」
「なにか?」
「いや、なんでもない」
侍と言って理解できるはずがない。
説明のしようがないので空耳だとはぐらかした。
1ヶ月もすると住民はハンゾウと打ち解けていた。
常にエルロンドと行動を共にしていた事から害はないと判断したのだろう。
恐々と挨拶していた住民は元気に挨拶するようになり、近頃では世間話しを交えるようになった。
話をすれば意思が通じ、相手の善悪を測る物差しになるというものだ。
ハンゾウも人間は亜人を恐れるものだという偏見が崩れ、会話を通じて打ち解けることで垣根を取り外せるのだと確信したようだった。
ハンゾウの報告を受けたヤシャは信じ難かったのだろう。
一族を移住させる前に自らが町を訪れて確かめる事にした。
結果は言うに及ばず。
ハンゾウの父親という触れ込みで歓迎され、恐れや敵対心を覚悟していたヤシャは目を丸くして驚いたのだった。
その数日後には一族を率いてヤシャが移住してきたのは言うまでもない。
「エルロンド様!ここにオーガの長として貴方様に忠誠を誓います!」
一族を受け入れる見返りにヤシャは臣従を受け入れた。
オーガは戦闘種族のため戦の役に立つだろう。
もっとも、10歳の少年に出兵の任が下されるはずがない。
だからヤシャ達には他の事で活躍してもらおう。
「これからよろしく頼む。さっそくだけど、前に話した雑木林を切り開く件についてだが」
「我等にお任せください。オーガの怪力ならば容易く伐採してご覧に入れます」
「うん、期待しているよ。収穫が増えれば皆の胃袋が満たされるからね。それに色々な作物を育てたいから耕作地は多めに欲しいんだ」
すでにカブやトウモロコシ、大豆や果物などの種を確保している。
この土地に適した品種ばかりを取り揃えたのだ。
リュシーファの情報による恩恵である。
耕作地が広がれば一大生産地になるのは間違いない。
「承知いたしました。全力で開拓に励みましょう」
ヤシャとハンゾウは気合をみなぎらせて雑木林の開拓に出発した。
1ヶ月後。
オーガの活躍で雑木林は伐り倒され、見事な耕作地が出来上がった。
落ち葉が堆肥となって土は肥え、保水性もあることから食物を育てるに十分な環境だ。
必要な準備は万端整っている。
アスタールに奴隷を追加購入させたから人手の不足もなかった。
出費はかさんだが微々たるものだ。
相当な時間を費やすだろうと思っていた雑木林の伐採がオーガの活躍で短期間で済んだのだ。
その恩恵は計り知れず、出費を補って余りあるものだった。
「あとは区画に分けて種をまくだけだな」
奴隷に指示を出して区画ごとに種をまいていった。
これからが根気のいる作業の連続だ。
無事に作物が実るかは奴隷達の働きにかかっている。
真剣な表情の奴隷達。
それもそのはず。
怠けずに働いて結果を出せば、奴隷から解放すると約束したからだ。
彼等が最も求めるのは自由である。
そのためには死に物狂いで働くだろう。
「なにしろ、元奴隷が僕の側近だからね。信頼度は高いはずさ」
俺は一生懸命に働く奴隷達に「頑張れ」と小さな声で応援した。
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