おいでませ異世界!アラフォーのオッサンが異世界の主神の気まぐれで異世界へ。

ゴンべえ

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013 レクリエーション

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「坊っちゃん!例の品が届いたッス!」

アスタールは苗木を持って執務室に現れた。
各地に駐在する部下に早馬を送り、苗木を購入させて送らせたのだ。

「とりあえず1000株ほど揃えたッス。まだ必要なら買い付けるッス」

得意気に胸を張るアスタール。
わずか10日で1000株も揃えたのだから当然だろう。

「相変わらず仕事が早いな。とりあえず、それだけあれば十分だ」

「そッスか。でも、ブドウの苗木なんてどうするんスか?ワイン造るにしても、実をつけるまで5年くらいかかるッスよ」

この世界ではブドウといえばワインの原料というのが常識だ。
甘味が少なく、果肉が固く、しかし果汁は多く出る。
そのまま飲むには酸味が強いため、熟成させなければ飲めたものではない。
とても生食できる代物ではないのだ。

「いいんだよ。植え付けするのが目的なんだから」

「は?なんスかそれ?」

意味がわからないと首を傾げるアスタール。
苗木を大量購入させといて植え付けが目的とは。
植え付けなど苗木を買えば当たり前に行う作業だけに、まったく意図がわからないようだ。

「すぐにわかるよ」

俺は微笑した。





翌日、俺はアクセルの住民を畑に総動員させた。
もちろん奴隷やオーガも例外ではない。
兵士も、商人も、使用人に至るまで全員が畑に集まっていた。

「では、苗木の植え付けを始めます!」

俺が号令をかけると総出で苗木を植え付け始めた。
グループ編成を行い、アクセルの住民と奴隷、オーガを組み合わせ、共同作業を働きかけたのだ。
目的はもちろん、双方の意志疎通による和解である。
苗木の植え付けは絆を深めるレクリエーションとして催したのだ。

とはいえ、これだけで問題が解決するはずがない。
取っ掛かりとしての接点を設けたに過ぎないのだ。
それに苗木が育てばワイン造りを行う事ができる。
自分達が植え付けた苗木でワイン造り。
きっと親睦も深まるに違いない。

そういう意図を察したのだろう。
ベルナールが至極真っ当な疑問を呈した。

「エルロンド様。苗木が育つまで幾年もかかります。それまでに関係が悪化しては元も子もないのでは?」

「何年もかかればな。だが、2ヶ月で実がなれば問題ない」

「は?今なんと?」

耳を疑うベルナール。
聞き間違いかと思い失礼を承知で問いかける。

「2ヶ月で実がなると言ったのさ」

「そんな馬鹿な。あり得ません」

ベルナールは首を横に振って否定した。

苗木の長は30cmくらい。
実をつけるには最低でも2メートルは必要だ。
そこまで成長させるには環境や成育具合にもよるが、ざっと見て5年くらいかかるだろう。
2ヶ月では数ミリしか成長しない。
当然ながら実などつけるはずがないのだ。

「あり得ない事を僕が言うと思うかい?」

「いえ、エルロンド様が嘘を仰っているとは思いませんが。……ですが、やはり非現実的です」

知識があるだけに信じられない様子だ。
当たり前だろう。
本当なら、2ヶ月で実がなるはずがないのだから。
しかし、嘘は言っていない。
確実に2ヶ月で実がなる。
そう俺が断言できるからだ。

「あっはっはっはっはっ!ベルナールらしいな。まあ、2ヶ月後を楽しみにしててよ。きっと、驚きの光景を目の当たりにするからさ」

俺は大笑いすると困惑するベルナールにウインクした。
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