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1章
崇拝
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「うふふ。押さえ込まれていた悪魔の性質が覚醒したわね。この角はね、あなたの父さんと同じ匂い。懐かしいわ。この匂いを嗅ぐと、身も心もじっとりと濡れてしまう。
そして、コフィ、あなたの本当の姿が悪魔だっていう証の角よ。ふふ、おめでとう。ちゃんと育てて、立派な悪魔になるのよ。安心して、あなたがその気になればすぐだから」
アスタロトがにっこり甘く微笑んで、角をベロリと舐めた。
俺は、アスタロトに好かれたくて、言葉を選ぶ。アスタロトの爪が触れた首筋に、心地よいくすぐったさが広がっていく。アスタロトの爪が俺の肌の上を優しく走って、ゾクゾクする。俺は、しだいに心を許して、アスタロトを求めてしまう。
「うん...だからもっと...」
その時、スピカが怒りに身を震わせながら雷鳴のように絶叫した。
「私のコフィに触らないで!!!」
余裕の笑みを浮かべて、アスタロトがスピカを嘲笑う。
「あら、彼女がいたのかしら。うふふ、略奪愛なんて、更にいいわ。悪魔には、背徳がご馳走よ。
身体も力も貧弱なお嬢ちゃん、生かしておいてあげる。せいぜいコフィが悪魔になるための、養分になりなさい。ふふふ」
リオ兄が遠くから俺の名前を呼んでいる気がする。
でも、俺は、アスタロトの甘い香りにクラクラして、その声をすごく遠く感じる。
アスタロトがリオ兄を小馬鹿にするように言った。
「おや、星の精霊リオ、宇宙最強の存在の一人。おぉ怖い怖い。うふふ、あたしの誘惑が効かなくても、手も足も出せないでしょう。
お前の背負った罪が、そうさせるんだね。哀れな傍観者、まじめな異星人よ。村人をどこかに空間転移させたみたいだね。余計なことを。
でも、できることはそれだけかい?せいぜい、指を咥えて見ていなさい。うふふ」
リオ兄が激怒したライオンのように叫ぶ。空気が怒りでビリビリと振動し、膨大なエネルギーを感じる。
「たかだか悪魔ごときの分際で!神の力などほとんど扱いきれていないようだな。その程度の力では、バリアを壊せても、魔石を壊すこともできないだろう。早くコフィを返せ。その気になればいつでもお前を消し去れる」
アスタロトが不機嫌に言葉を荒げた。
「あの忌々しい異次元のAIと同じことを言うじゃないか。あの傷一つつかない館も、いつかぶっ壊してやる。いいだろう、コフィを返してやるよ」
リオ兄が爆発寸前の怒りを堪えるように言った。
「お前に魔石よりも硬い館を壊すことなど、不可能だ。あの館は、僕でも壊せないように作られている。
さっさとコフィを返すんだ!この身が滅びようとも、お前の魂を再生不可能に破壊するぞ。怒りを抑えられる自信がない」
「あぁ、ゾクゾクしてとろけてしまうわ。強い男の脅しの言葉って、興奮しちゃう。
リオ、あなたが邪悪ならよかったのに。あたしは、あなたが大っ嫌い。星ごと何百億人も殺しているくせに、善人顔して罪悪感に苛まれているなんて、最低のつまらない男だわ。気色悪くて、反吐が出る。
あなたほど力があるなら、星も命も無造作に壊しまくればいいのよ。星なんて踏みしめる石ころのようなものでしょうに」
そして、アスタロトが俺を胸元から離す。俺は、その人肌恋しさにアスタロトの方へ手を伸ばす。なんで?もっと触れていたいのに。
アスタロトが優しく俺に言った。
「うふふ。あなたが可愛くて、内臓が疼くわ、コフィ。でも、この先は、まだだめよ。今日は、ここまでで、おあずけね。
こう見えてあたし、逆らえないくらい強い男に振り回されたり、隷属を強いられたり、責められるのが好きなの。可愛いけど、言いなりのコフィでは、物足りないわ。
でも、安心して、一つずつ順番に、あたしの全部をあげる」
それからアスタロトが邪悪さを隠さずに低い声でザイドに命令した。
「ザイド、用がすんだわ。城に戻るわよ。ザイドには、コフィを立派な悪魔に育ててもらうわ。悪魔になったコフィをあたしの前に連れてきなさい。そうしたら、使いきれない富をあげる」
ザイドが一瞬で姿を現す。
「御意でございます」
アスタロトがコロコロと笑いながら、俺の手からすり抜けていく。アスタロトが笑顔のまま手をかざすと、手から黒い立方体が出てきて、クルクルと回った。
「神の力の試し打ち、ここでも一発しておくわ。あたしを見捨て、海底に一万年放置して忘れた人類など、絶滅させてやる」
マツモト村の地面に深い地割れが縦横に無数に走り、黒い衝撃波で建物は一瞬にして全て瓦礫に変わった。
つまらなそうに村の残骸を見てから、アスタロトが俺の耳元で生温かく囁いた。
「待ってるわね、コフィ。あたしは、もうあなたのもの。あなたと作る子供は可愛いはずよ。
あたしはね、見たいの。魔石バリアを失って逃げ惑う人類が、恩知らずに神を呪うのを。
そして、人類最後の一人が悪魔を崇拝しながら絶望の中で苦しみ死ぬのを。一緒に暗黒の世界を作りましょう」
アスタロトが楽しそうに笑いながら、俺に背を向けた。形のいいお尻からくねくねとした悪魔の尻尾が伸びている。
そして、また黒い立方体をクルクル回すと、城と共に姿を消えてしまった。俺を置いて。
「行かないで、アスタロト。もっと一瞬に、いたいんだ」
俺は、屋根のない天守閣にふわふわと着地をして、泣きながら眠ったらしい。そして、可愛いアスタロトの豊かな胸に溺れる甘い夢を見た。
そして、コフィ、あなたの本当の姿が悪魔だっていう証の角よ。ふふ、おめでとう。ちゃんと育てて、立派な悪魔になるのよ。安心して、あなたがその気になればすぐだから」
アスタロトがにっこり甘く微笑んで、角をベロリと舐めた。
俺は、アスタロトに好かれたくて、言葉を選ぶ。アスタロトの爪が触れた首筋に、心地よいくすぐったさが広がっていく。アスタロトの爪が俺の肌の上を優しく走って、ゾクゾクする。俺は、しだいに心を許して、アスタロトを求めてしまう。
「うん...だからもっと...」
その時、スピカが怒りに身を震わせながら雷鳴のように絶叫した。
「私のコフィに触らないで!!!」
余裕の笑みを浮かべて、アスタロトがスピカを嘲笑う。
「あら、彼女がいたのかしら。うふふ、略奪愛なんて、更にいいわ。悪魔には、背徳がご馳走よ。
身体も力も貧弱なお嬢ちゃん、生かしておいてあげる。せいぜいコフィが悪魔になるための、養分になりなさい。ふふふ」
リオ兄が遠くから俺の名前を呼んでいる気がする。
でも、俺は、アスタロトの甘い香りにクラクラして、その声をすごく遠く感じる。
アスタロトがリオ兄を小馬鹿にするように言った。
「おや、星の精霊リオ、宇宙最強の存在の一人。おぉ怖い怖い。うふふ、あたしの誘惑が効かなくても、手も足も出せないでしょう。
お前の背負った罪が、そうさせるんだね。哀れな傍観者、まじめな異星人よ。村人をどこかに空間転移させたみたいだね。余計なことを。
でも、できることはそれだけかい?せいぜい、指を咥えて見ていなさい。うふふ」
リオ兄が激怒したライオンのように叫ぶ。空気が怒りでビリビリと振動し、膨大なエネルギーを感じる。
「たかだか悪魔ごときの分際で!神の力などほとんど扱いきれていないようだな。その程度の力では、バリアを壊せても、魔石を壊すこともできないだろう。早くコフィを返せ。その気になればいつでもお前を消し去れる」
アスタロトが不機嫌に言葉を荒げた。
「あの忌々しい異次元のAIと同じことを言うじゃないか。あの傷一つつかない館も、いつかぶっ壊してやる。いいだろう、コフィを返してやるよ」
リオ兄が爆発寸前の怒りを堪えるように言った。
「お前に魔石よりも硬い館を壊すことなど、不可能だ。あの館は、僕でも壊せないように作られている。
さっさとコフィを返すんだ!この身が滅びようとも、お前の魂を再生不可能に破壊するぞ。怒りを抑えられる自信がない」
「あぁ、ゾクゾクしてとろけてしまうわ。強い男の脅しの言葉って、興奮しちゃう。
リオ、あなたが邪悪ならよかったのに。あたしは、あなたが大っ嫌い。星ごと何百億人も殺しているくせに、善人顔して罪悪感に苛まれているなんて、最低のつまらない男だわ。気色悪くて、反吐が出る。
あなたほど力があるなら、星も命も無造作に壊しまくればいいのよ。星なんて踏みしめる石ころのようなものでしょうに」
そして、アスタロトが俺を胸元から離す。俺は、その人肌恋しさにアスタロトの方へ手を伸ばす。なんで?もっと触れていたいのに。
アスタロトが優しく俺に言った。
「うふふ。あなたが可愛くて、内臓が疼くわ、コフィ。でも、この先は、まだだめよ。今日は、ここまでで、おあずけね。
こう見えてあたし、逆らえないくらい強い男に振り回されたり、隷属を強いられたり、責められるのが好きなの。可愛いけど、言いなりのコフィでは、物足りないわ。
でも、安心して、一つずつ順番に、あたしの全部をあげる」
それからアスタロトが邪悪さを隠さずに低い声でザイドに命令した。
「ザイド、用がすんだわ。城に戻るわよ。ザイドには、コフィを立派な悪魔に育ててもらうわ。悪魔になったコフィをあたしの前に連れてきなさい。そうしたら、使いきれない富をあげる」
ザイドが一瞬で姿を現す。
「御意でございます」
アスタロトがコロコロと笑いながら、俺の手からすり抜けていく。アスタロトが笑顔のまま手をかざすと、手から黒い立方体が出てきて、クルクルと回った。
「神の力の試し打ち、ここでも一発しておくわ。あたしを見捨て、海底に一万年放置して忘れた人類など、絶滅させてやる」
マツモト村の地面に深い地割れが縦横に無数に走り、黒い衝撃波で建物は一瞬にして全て瓦礫に変わった。
つまらなそうに村の残骸を見てから、アスタロトが俺の耳元で生温かく囁いた。
「待ってるわね、コフィ。あたしは、もうあなたのもの。あなたと作る子供は可愛いはずよ。
あたしはね、見たいの。魔石バリアを失って逃げ惑う人類が、恩知らずに神を呪うのを。
そして、人類最後の一人が悪魔を崇拝しながら絶望の中で苦しみ死ぬのを。一緒に暗黒の世界を作りましょう」
アスタロトが楽しそうに笑いながら、俺に背を向けた。形のいいお尻からくねくねとした悪魔の尻尾が伸びている。
そして、また黒い立方体をクルクル回すと、城と共に姿を消えてしまった。俺を置いて。
「行かないで、アスタロト。もっと一瞬に、いたいんだ」
俺は、屋根のない天守閣にふわふわと着地をして、泣きながら眠ったらしい。そして、可愛いアスタロトの豊かな胸に溺れる甘い夢を見た。
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