恋する魔女は星の精霊と暮らして悪魔を待つ

山本いちじく

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悪魔ディエゴ

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 翌朝、ディエゴが去ろうとすると、しょうこが彼の服の裾を掴んで、呼び止めた。

「ディエゴ、あなた、何処へ行くつもり?」

「言っただろう。俺には、仕事がある。今から、この先の町の堕落した人間に恐怖と絶望を与えてくる」

 しょうこは、微笑みながらディエゴの腕を掴む。

「あなたに花冠を作らせることにします。そうすれば、昨日の乱暴を許してあげましょう」

 ディエゴは、彼の話を一切無視するしょうこに驚いた。

「何だと?誰がお前のために花冠など作るのだ?そもそも、花冠など作り方も知らないぞ」

 しょうこは、ディエゴの反抗をさらに無視し、リオに向かって指示を出した。

「リオ、ディエゴに香りがいい花で花冠を作る方法を教えてあげて。そうね、60%の出来栄えなら許してあげます。私は、とても寛大なのよ」

 ディエゴは、不満を述べながら、しょうこを見つめ返す。
 リオは、嫉妬からディエゴをからかった。

「おい、深爪。悪魔のくせに、無知だな。立派なのは角だけか。花冠一つ作れないなんて、情けない」

 ディエゴは、リオの嘲笑に激怒し、彼の首を掴んだ。しょうこは、慌ててディエゴを制止した。

「ディエゴ、止めて!いけない!いけないわ!あぁっ!漏れてしまう!」

 太陽より明るい閃光と爆発と共にディエゴの両腕は、焼失してしまった。リオの破壊力を目の当たりにしたディエゴは、絶句した。

「申し訳ありません。しょうこ様。わずかに力が漏れてしまいました」

「リオ、あなた、また星を壊す気なの?何のためにここで修行しているのですか。わずかでも我慢できずに漏らすなど、恥ずかしいことです」

 ディエゴは、自分の腕を一瞬にして焼き尽くしたリオの力の強大さに驚いたが、平静を保つふりをして、腕を再生しながら、やっとのことで一言言った。

「俺でなければ、、、死んでいたぞ」

「生きていて良かった、ディエゴ。リオ、ディエゴに謝って」

 しょうこは、ディエゴの黒い角を優しく撫でた。しょうこの温かい手から優しさが流れ込んできて、邪気が削がれていく。ディエゴの気持ちが穏やかに温まると、黒い角は一際艶やかな甘い匂いを放った。ディエゴは、落ち着きを取り戻して、リオを見た。

「リオ、俺に花冠とやらの作り方を教えろ。そうしたら許してやる」

 ディエゴは、リオから花冠の作り方を教わった。その後、しょうこの厳しい指導の下、ディエゴは何度も花冠を作り直した。

 ディエゴが作った最後の花冠に対し、しょうこは、評価を下した。

「これなら69点ね」

「よし。これで合格だろう。戯言に付き合うのも、もうお終いだ」

 しかし、しょうこは、にっこり笑いながら、ゆっくりと首を横に振った。

「1000点満点中69点。不合格です」

 そして、しょうこは、ディエゴの花冠を呆然とする彼の手から丁寧に没収した。

「仕事が終わったら、また来てくださいね」

「いいだろう。だが、俺の仕事に終わりなどない」

 しょうこは、ディエゴが振り向きもせずに飛び去っていく後ろ姿を、遠く遠く見えなくなるまで、ずっと見つめていた。
 リオがしょうこを気遣って、そっと尋ねる。

「本当に、これでいいんですか?もう来ないかもしれませんよ」

 しょうこは、微笑みながらリオに答えた。

「彼は、また戻ってくるでしょう。それまで待つことにします」

リオは、しょうこの言葉を聞き、すこし呆れながら言った。

「…分かりました。でも、僕は、待ちませんよ。たかだか悪魔によって、しょうこ様が穢されるとは、思いませんが」

しょうこは、リオがそばにいなければ、泣き濡れて、凛としていられなかったかもしれないと思った。

「ありがとう、リオ。あなたがいてくれて、心強いわ」
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