キスで隷属化するFPSの異世界転生化〜生身がほしいAI美女からモテまくる!?〜

山本いちじく

文字の大きさ
13 / 68

シュナのAモーニング

しおりを挟む
 ――キスまでにしておきなさい。

 女神様の助言の本当の意味を、ユウマはようやく理解した気になった。

 隷属の上昇は危険だ。
 Lv4――以心伝心まではいい。
 だがLv5、強依存に達すると、精神の境界が溶け始め、理性の輪郭が曖昧になる。
 坂を転げ落ちるように歯止めが効かない。中毒症状と言っていい。

 「コンマリを失った」のは、その一線を越えたからだった。

 その喪失の衝撃は、思っていた以上に深かった。
 日課のトレーニングを再開する気にもなれず、ユウマはただ、廃人のようにホームのベッドで時間をやり過ごしていた。
 彼女の声の残響がまだ耳に残っていた。

 ――コンコン。

 控えめなノックの音。
 朝の光が薄くカーテンを透かしている。

「……誰だ?」

「シュナだ。ユウマ、いるんだろ?」

「え……シュナ?」

「やっぱりここにいたか。Aモーニングをテイクアウトしてきた。一緒に食べないか?」

 ユウマは驚いてドアを開けた。
 朝日がまぶしく差し込み、その光の中に、銀髪の鬼が立っていた。

 シュナは微笑んだ。
 そして次の瞬間、ためらうことなくユウマの胸に飛び込んできた。

「ユウマ……よかった。無事だったのね」

「シュナ……?」

 彼女の声は、いつもの軽口ではなかった。
 低く、真剣で、かすかに震えていた。

「もう、街を出たのかと思ってた。
 連絡も取れないし、毎朝、店に来ないし……。
 ……ねえ、行かないでくれ。わたしと、また朝を迎えてほしい」

 ユウマの胸の奥が熱くなった。
 喪失の後に触れたその温もりが、何かをほどいていく。

「シュナ……どうして、そんなに俺を?」

 彼女は顔を上げ、涙をたたえた瞳でユウイチを見つめた。
 金色の光を帯びた赤い瞳が、迷いなく揺れている。

「あなたが真っ直ぐで、危なっかしくて……
 でも、どこかで誰かを救おうとしてるその背中が、ずっと気になってた」

 その言葉に、ユウマは何も言えなかった。
 言葉の代わりに、シュナの肩をそっと抱きしめた。

 HUDがちらついた。

 【スキル発動可能条件:接触(唇)】
 シュナ・インテレのAI管理を解除します。

 朝の光の中で、彼女の髪が淡く輝いた。
 その体温が柔らかくて、優しい。

「好きなんだ。ユウマ。わたしが嫌いか?」
「そんなわけない」

 うるうると涙をたたえた上目遣いにユウマを見るシュナ。
 ずるい。可愛すぎる。

「シュナ、ありがとう。嬉しいよ」

 そうして、ユウマはシュナの胸を揉みしだいた。自然とお尻も鷲掴みにする。
 ――どうかしていた。
 理性も、誇りも、すべて霞んでいた。

「あぁ!ユウマ、もっと!」

 シュナが胸に飛び込んできた瞬間、ユウマの中の何かがぷつりと切れた。

 「ユウマ……会いたかった」
 その声が震えていた。
 鬼の戦士の声ではなく、ひとりの女の声だった。

 気づけば、互いに言葉を失っていた。
 思考よりも先に、感情が動いた。
 抑えつけていた欲望が、心の奥から溢れ出していく。

 熱い抱擁を重ねた。世界が一瞬、白く弾けた。
 それは炎のようでいて、雪解けのようでもあった。
 長い冬のあとに初めて差し込む陽光のような、
 痛いほどのあたたかさだった。

 息が混ざり、言葉が遠のく。
 シュナの指先が震え、彼女の赤い瞳が近づく。
 その瞳には、迷いも、抗いもなかった。

 ――ただ、共に生きたいという願いだけ。

 どちらからともなく、二人の影が重なった。
 音も、匂いも、風さえも消えていく。
 ただ、胸の奥で心臓の鼓動だけが響いていた。

 それは戦場での撃ち合いにも似た、
 命のやり取りのような瞬間だった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...