キスで隷属化するFPSの異世界転生化〜生身がほしいAI美女からモテまくる!?〜

山本いちじく

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 警告音。ゲートの光がほどけ、視界が一気に俯瞰から一人称へ落ちる。
 砂混じりのダウンタウン、風切り音。HUD上に敵影候補が点滅――ドロップ開始。
 バーンナウトシティでの21戦目。もう慣れたものだ。

「武器もあることだし、ねぇ、ユウマがほしいの」

「敵に見つかる」

「その嘘、本当?ハッキング解析によると近くに敵はいないわ」

「……キスだけだよ」

「もう、いけず」

 軽く唇を触れ合わせたつもりが、シルフィは蛇のように身体を絡めてきた。
 次の瞬間、ねっとりと熱いキス。舌が絡み、息が混ざる。

 ユウマの舌をれろれろ、ちゅっちゅっとシルフィが吸っては舐める。

「あぁん、いい……もっと、もっとちょうだい」

 んんんっ!れろれろ、ちゅちゅん

「AIに排除されたら、フィーンを探せなくなるぞ」

「分かってる。でも――リンクが上がったみたい」

 ユウマの囁きと同時に、胸骨の奥で鼓動が二重になる。
 隷属進化リンク――呼吸、視線、筋収縮が同期し、反応速度が跳ね上がる。
 シルフィがハッキング解析した情報がHUDに表示される。
 敵の場所が手に取るように分かる。

「(左の非常階段、三階)」「(了解)」

 もはや声はいらない。
 思考の端同士が触れ、戦術が――跳ぶ。

 ユウマ、着地と同時にダッシュ。
 アスファルトを蹴る音が一拍遅れて返る。
 シルフィは壁面の手すりを踏み台に、非常階段を三段飛ばし。
 踊り場、反射で光。敵一。

 ユウマが近接加速で一歩だけ世界を縮め、M4の銃口で敵のストックを弾く。
 肘、肩、トリガー、三拍子で3点バースト。
 壁に弾痕の花が咲き、キルログが流れた。

 上階で金属音。扉が開く。
「(二)」「(任せて)」

 シルフィが滑り込み、ショットガンが吠える。
 シルフィのショットガンは、ダイヤモンド武器のベネリM1014――M3の進化モデル。フルオートで信頼性が高い。
 散弾の雲がバイザーを粉砕。
 続けてハッキング解析。建物内部のセンサーログを引き抜き、赤いワイヤーフレームが展開。
 熱源、三つ。階段裏。

 ユウマは腰を落とし、ダッシュ→ジャンプ。
 階段の手すりを蹴って壁走り。俯角で三連射。
 降りざまにサイドアームへ持ち替え、残る一人の足首を撃ち抜く。
 転倒した敵の後頭部に、シルフィの銃口が触れる。
 「アウト」――AI審判の声が遅れて届く。俺たちの方が速い。

 マップ中央、高架の下に補給ポッド。
 開けに出れば狙撃の餌だ。
「(煙、投げる)」「(高架梁、走る)」

 スモークが広がる瞬間、ユウマは近接加速で速度を上げる。
 空白の縁を走り抜け、梁に飛び乗ったシルフィがケーブルをワンハンドスイング。
 流星のように軌道を描き、下に陣取る二人組の背後へ落ちた。
 ショットガンがドンと低く一発。
 続いてユウマのM4が刻む。
 AI審判がまた遅れる――「ダブルキル」。遅延0.18秒。リンクの方が速い。

 ユウマはスライディングでエアコンの影に滑り込み、反応の遅い狙撃手を一瞬で仕留める。
 シルフィは別ルートから突入、護衛の胸甲を粉砕。
 屋上制圧。「残り12」。

 工場棟中腹、コンベアの上――三人チーム。盾・突撃・支援。定番の構成。
「(正面、捨てる。上を使う)」「(了解)」

 ユウマは正面に飛び出し、敵の視線を奪う。
 盾が突進。近接加速で一歩、横へ世界を滑らせ、盾のリムを掌で押し流す。
 軸足を殺し、膝蹴り、M4で3点。
 突撃が迫る。支柱を蹴って背後の梁へジャンプ。
 シルフィが天窓からスライディング降下――ショットガン一閃。
 至近距離で胸甲に花を咲かせる。
 ユウマはスモークの縁で赤外輪郭を頼りに連射。
 「残り6」。

 外へ。円は最終縮小。
 廃線の上、風が強い。遠くで銃声、砂が舞う。
「(残り二チーム。右土手に二、左積荷に二)」「(右、飛ぶ)」

 ユウマが全力ダッシュ。
 レールの継ぎ目をポン、ポンと踏み、土手の手前で大ジャンプ。
 着地と同時に近接加速。視界が伸びる。
 敵が構えるより早く、バレルを押し下げ、肩で突き、M4でパンパンパンッと 3点。
 もう一人がナイフで詰める。
 ユウマは半身でかわし、肘→ストックで顎をはね上げ、一発。クリア。

 左――積荷の陰から連射。反動のクセが鋭い。
「(抑える)」「(回る)」

 ユウマが短距離ダッシュで弾幕を張り、顔を上げさせない。
 シルフィは貨車の屋根へ跳び、鉄骨を駆け、縁から空中スライディングで背後へ落ちる。
 着地と同時にショットガン。
 もう一人が振り向く。銃身をたたむように叩き落とし、腹部へ一射。沈黙。

 「残り――二」。
 無線が静かになり、風だけが乾いた線を引く。
 最後のチームが見えない。

「(見せないんじゃない、消えてる。ログがない)」「(地形スキャン?)」「(やる)」

 シルフィの指が空を裂くように踊り、ハッキング解析が深層へ潜る。
 機械室、保守カメラ、古い監視網。死んだ目を一つずつ起動し、ばらばらの画角を縫い合わせる。
 ――見えた。積荷の下、錆びたピット。二つの熱源。
「(下)」「(行く)」

 ユウマが梯子を半段飛ばしで降下。
 ピットの空気は冷たく、古い。
 最奥、金網の向こうで二人が狙っていた。

 真正面は悪手。
 ユウマは配線管を蹴り上がり、ジャンプで金網上に手をかけ、ぶら下がりから前転落下。
 同時にシルフィが上からフラッシュ。
 白光の中心でユウマは近接加速を重ね、M4の二点を一人の胸に、体の回転の終わりで二点をもう一人の肩へ。
 肩を撃たれた男が膝をつく。その隙にシルフィが降り、ズダダンッとショットガンで仕上げる。

 ――静寂。

 AI審判のアナウンスが、ようやく追いつく。

 「winner:チーム“ユウマ&シルフィ”。」

 「勝数:21、勝率:91%。昇格条件を満たしました。――Sランクへ」

 HUDに昇格通知が浮かぶ。
 シルフィが息を吐き、ユウマと視線を交わす。
 リンクの鼓動は穏やかだが、まだ熱い。

「……行けるね」

「ああ。ここから、もっと厳しい戦いになる」

 ロビーへのエレベーターで、ユウマは記録保管庫を呼び出した。
 スクロールの隙間――一つだけ強い光。フィーン。
 彼女はSランク限定のバトルロワイヤルへ行っていた。

「フィーンの足跡を……見つける」

 ユウマは拳を握る。リンクの脈が、ひとつ強く打った。
 「――次はそこだ。失踪のヒントは、きっとバトルロワイヤルにある」
 シルフィが頷く。
 扉が開き、ロビーの光が二人を包む。
 AI審判の視線よりも速く、彼らはもう――次の戦場を見ていた。
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