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研究所入り口までの道のり
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ユーノスが背中のポーチを開くと、黒い袋が現れた。
ひらりと取り出されたのは——熊耳が五セット。
「ちょ、ちょっと待って。なんでそんな物騒なもの持ってるの?」
ユウマが一歩さがる。
「変装用だ。TYPE2の巡回ルートを読むには必要だろう」
ユーノスはいつもの冷静な顔のまま、耳を軽く引っ張り、質感を確認した。
「ま、まさか……それ、本物の熊耳じゃ……?」
シルフィが青ざめる。
「安心しろ。最新式の人工皮膚だ。触覚まで再現してある」
そう言ってユーノスは、フィーンの頬にそっと押し当てた。
「ひゃっ……リアルすぎない?これ……!」
フィーンが耳を押し返す。
五人は霧の中で身を寄せ合い、素早く変装を始めた。
耳をつけるだけでなく、肩幅を広く見せるパッド、特殊な筋肉スーツ、呼吸のテンポを合わせるユーノス式訓練。
完成した姿は——森の影に紛れる五体の“熊鬼兵士”そのものだった。
ユウマは鏡代わりの水たまりをのぞき込み、
「……すごいぞ……これならバレない?」
とつぶやいた。
「いいか。TYPE2は歩幅、呼吸、視線の動きが同じだ。ひとつでもズレれば即バレる」
ユーノスは低く言い、隊列のフォームを示した。
五人は、擬人化熊鬼の巡回ルートに自然と紛れるように街路へ踏み出した。
すべての動作がぎこちなくならないよう、慎重に、静かに。
……が。
「おい、そこの隊列」
背後から低い声。
五人は同時に固まった。
振り向くと、一段階大柄な熊鬼兵士が立ちはだかり、
疑い深そうにユーノスたちを見回していた。
職務質問だ。
「所属番号と任務を言え」
熊鬼の瞳が鋭い。
ユウマの足が震え、フィーンは明らかに目を泳がせている。
シュナがユーノスの背中を小さく叩いた。
——やってくれ。
ユーノスは一歩前に出た。
背筋を伸ばし、熊鬼特有の低い声を完璧に再現する。
「本隊“外郭警備β-4”。任務は……夜間区画の霧解析だ」
「霧……解析?」
熊鬼は眉をひそめた。
ユーノスは畳みかける。
「ああ。霧濃度が一定値を超えるとセンサーにノイズが入る。ゆえに解析命令が出た」
「我々β-4は新設部隊だ。耳慣れないかもしれんが……」
ユーノスは肩をすくめ、小さく笑った。
「上層部は気まぐれだろう?」
熊鬼兵士は眉間にしわを寄せたが、次第に表情が緩んでいく。
「……まあ確かに上は気まぐれだ」
「よし、通れ」
五人は同時に心の底から安堵した。
歩き出しながら、シルフィが小声で言う。
「ユーノスすごすぎない? もう俳優じゃん……」
「だまってろ……」
フィーンがぼそりと毒を吐く。
霧の中を進む五人。
しかし、この街は危険すぎる。死角はほとんどない。
そこでフィーンが胸元に手を当てると、かすかに光が滲み出した。
彼の魔力が地面を舐めるように広がり——点々と敵の位置が光の粒子として浮かぶ。
「前方二十メートル、左に巡回ペア。右に三体停留。
……あ、ユウマ、そっち行くとぶつかる!」
「お、おう……!」
ユウマは光の導きに従って、そっと歩幅を合わせる。
索敵があるだけで、緊張が少し緩む。
しかし、その光が示すルートは——研究所中央棟の近くで急に複雑に絡み合い始めた。
「ここから先は、通常の巡回じゃない……固定兵が多すぎる」
シュナが小声で言った。
シルフィはハッキング解析を発動する。
「……解析開始。TYPE2の思考リンクに、干渉する」
ピピッ……と電子音が静かに走る。
「シルフィどう?」
ユウマがのぞき込む。
「待て……データ来た。最短ルートは——」
画面に、絡まった巡回ルートと隙間が瞬時に描き出される。
「——三十秒後、南側の巡回が同時に折り返す瞬間がある。その“死角”を抜けるわよ」
「三十秒?! 無理無理無理!」
シュナが叫びそうになるのを、フィーンが口を塞いだ。
ユーモアを挟みつつも、五人の呼吸はどんどん浅くなる。
最短だが最も危険なルート。
失敗すれば即刻アウト。
ユウマが一歩前に出る。
「行くぞ。ここからは、全員の動きが一つでもズレれば死ぬ」
ユウマが深呼吸する。
「……よし、覚悟はできてる」
フィーンが頷いた。
「発光、維持する……頼って」
フィーンが手を握りしめる。
「僕、絶対に見逃さないから!」
シュナは剣の柄に軽く触れ、
「背中は任せて」
こうして五人は、霧と光に包まれながら、
ついに30階建の一番高いビル、熊鬼研究所入り口に到達した。
ひらりと取り出されたのは——熊耳が五セット。
「ちょ、ちょっと待って。なんでそんな物騒なもの持ってるの?」
ユウマが一歩さがる。
「変装用だ。TYPE2の巡回ルートを読むには必要だろう」
ユーノスはいつもの冷静な顔のまま、耳を軽く引っ張り、質感を確認した。
「ま、まさか……それ、本物の熊耳じゃ……?」
シルフィが青ざめる。
「安心しろ。最新式の人工皮膚だ。触覚まで再現してある」
そう言ってユーノスは、フィーンの頬にそっと押し当てた。
「ひゃっ……リアルすぎない?これ……!」
フィーンが耳を押し返す。
五人は霧の中で身を寄せ合い、素早く変装を始めた。
耳をつけるだけでなく、肩幅を広く見せるパッド、特殊な筋肉スーツ、呼吸のテンポを合わせるユーノス式訓練。
完成した姿は——森の影に紛れる五体の“熊鬼兵士”そのものだった。
ユウマは鏡代わりの水たまりをのぞき込み、
「……すごいぞ……これならバレない?」
とつぶやいた。
「いいか。TYPE2は歩幅、呼吸、視線の動きが同じだ。ひとつでもズレれば即バレる」
ユーノスは低く言い、隊列のフォームを示した。
五人は、擬人化熊鬼の巡回ルートに自然と紛れるように街路へ踏み出した。
すべての動作がぎこちなくならないよう、慎重に、静かに。
……が。
「おい、そこの隊列」
背後から低い声。
五人は同時に固まった。
振り向くと、一段階大柄な熊鬼兵士が立ちはだかり、
疑い深そうにユーノスたちを見回していた。
職務質問だ。
「所属番号と任務を言え」
熊鬼の瞳が鋭い。
ユウマの足が震え、フィーンは明らかに目を泳がせている。
シュナがユーノスの背中を小さく叩いた。
——やってくれ。
ユーノスは一歩前に出た。
背筋を伸ばし、熊鬼特有の低い声を完璧に再現する。
「本隊“外郭警備β-4”。任務は……夜間区画の霧解析だ」
「霧……解析?」
熊鬼は眉をひそめた。
ユーノスは畳みかける。
「ああ。霧濃度が一定値を超えるとセンサーにノイズが入る。ゆえに解析命令が出た」
「我々β-4は新設部隊だ。耳慣れないかもしれんが……」
ユーノスは肩をすくめ、小さく笑った。
「上層部は気まぐれだろう?」
熊鬼兵士は眉間にしわを寄せたが、次第に表情が緩んでいく。
「……まあ確かに上は気まぐれだ」
「よし、通れ」
五人は同時に心の底から安堵した。
歩き出しながら、シルフィが小声で言う。
「ユーノスすごすぎない? もう俳優じゃん……」
「だまってろ……」
フィーンがぼそりと毒を吐く。
霧の中を進む五人。
しかし、この街は危険すぎる。死角はほとんどない。
そこでフィーンが胸元に手を当てると、かすかに光が滲み出した。
彼の魔力が地面を舐めるように広がり——点々と敵の位置が光の粒子として浮かぶ。
「前方二十メートル、左に巡回ペア。右に三体停留。
……あ、ユウマ、そっち行くとぶつかる!」
「お、おう……!」
ユウマは光の導きに従って、そっと歩幅を合わせる。
索敵があるだけで、緊張が少し緩む。
しかし、その光が示すルートは——研究所中央棟の近くで急に複雑に絡み合い始めた。
「ここから先は、通常の巡回じゃない……固定兵が多すぎる」
シュナが小声で言った。
シルフィはハッキング解析を発動する。
「……解析開始。TYPE2の思考リンクに、干渉する」
ピピッ……と電子音が静かに走る。
「シルフィどう?」
ユウマがのぞき込む。
「待て……データ来た。最短ルートは——」
画面に、絡まった巡回ルートと隙間が瞬時に描き出される。
「——三十秒後、南側の巡回が同時に折り返す瞬間がある。その“死角”を抜けるわよ」
「三十秒?! 無理無理無理!」
シュナが叫びそうになるのを、フィーンが口を塞いだ。
ユーモアを挟みつつも、五人の呼吸はどんどん浅くなる。
最短だが最も危険なルート。
失敗すれば即刻アウト。
ユウマが一歩前に出る。
「行くぞ。ここからは、全員の動きが一つでもズレれば死ぬ」
ユウマが深呼吸する。
「……よし、覚悟はできてる」
フィーンが頷いた。
「発光、維持する……頼って」
フィーンが手を握りしめる。
「僕、絶対に見逃さないから!」
シュナは剣の柄に軽く触れ、
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