キスで隷属化するFPSの異世界転生化〜生身がほしいAI美女からモテまくる!?〜

山本いちじく

文字の大きさ
59 / 68

ユウマvsシルフィ

しおりを挟む
 ユウマ。
 そして、その相棒であるシルフィ。

 二人が立っていたのは、巨大な鏡張りのドーム──
 《メビウス・ホール》。

 床も、壁も、天井さえも鏡でできている。
 無数に分裂した影が、二人の姿を重ね合わせ、
 境界線を溶かしてゆく。

 HUD上に通話の接続が点灯した。

「……ユウマ」
 静かにシルフィの声が響く。

「あなたと戦うのだけは……できれば避けたかった」

「俺もだよ。
 でも、ここまで来たら逃げ道なんてない」

「ええ……」
 少しだけ息を吸う音がして、
 その後の声は、刃のように澄んでいた。

「あなたが相手なら──
 本気で“落としにいける”。」

 シルフィがショットガンを構える。
 光を反射した双眸が揺らめき、
 その姿は、いつもの相棒ではなかった。

 そこにあったのは“殺意”──
 純粋で透明な、逃げ場のない意志。

 鏡という鏡が光を乱反射させ、空気が震える。
 ユウマは深く呼吸を整え、拳を握った。

 ……シルフィは、速くて強い。
 遠距離では絶対に勝てない。
 なら──近接で決めるしかない。

 近接加速で、飛び込む!

 光が一閃し、シルフィが叫ぶ。

「行くわよ……ユウマ!!」

 ――ドンッ!

 轟音とともに、ショットガンが火を噴いた。
 鏡の壁面に無数の火花が散り、
 反射した弾道が迷路のように跳ね返る。

 だが、ユウマは──

「読める……!!」

 左へ跳んだ。
 跳躍角度は完璧。
 鏡の反射から「本物の射線」だけを読み切っていた。

「その嘘、本当……!?
 反射弾を避けきるなんて……!」

「シルフィの弾のクセは全部知ってるからな!」

 シルフィは後退しながら撃ち続ける。

「せめて……ショットガンの距離で削らせて……!」

「悪いけど、それは許さねぇ!」

 ユウマは床を蹴った。
 鏡面の滑りを利用して加速、
 滑り台のように角度を変えて
 斜め上から降りてゆく変則軌道。

 シルフィの喉が小さく震えた。

 ……ユウマ……この角度……弾が乗らない……!

 一発。
 シルフィの渾身の射撃が走る。

「当たって……!」

 ――シュッ。

 弾がユウマの頬をかすめた。

 ぶっ……危ねぇ……!!
 あと数センチで即死だぞ……!

 シルフィの声が震えている。

「ユウマ……
 本気で来ないと……わたし、勝っちゃうわよ……!」

 勝ちたくない。
 でも、勝てる自信がある。
 その矛盾が、二人の絆を軋ませる。

「……だったら本気で倒しに来いよ。
 シルフィ!」

「……うん。
 あなたに負けたいって思っても──
 戦う以上、わたしは“勝つために”撃つ!」

 シルフィはショットガンを逆手に持ち替え、突撃した。

 鏡が砕け、反射像が乱れる。
 ユウマの視界に火花が散り、
 ショットガンの銃口が、胸元へ一直線に迫る。

「終わりよッ!!」

 ――カチッ。

 引き金にかけた指が、
 ほんの一瞬だけ、震えた。

 その迷いは、あまりに大きかった。

「……もらうよ、シルフィ」

 ユウマは近接加速を最大解放。
 空気が爆ぜ、鏡が割れ、
 世界がスローモーションになる。

 近接加速──最大。

 ユウマは光の線となって駆け、
 シルフィの視界からすり抜けた。

 どこ……?
 ユウマ……
 どこに……?

 ……後ろ──!

「遅いよ、シルフィ」

 ユウマの拳が、ショットガンの銃身をはじいた。
 銃口が上方へ逸れる。

「っ……!」

 ユウマはシルフィの背に手を添え、
 そっと引き寄せ──
 軽く、押し倒した。

 床に膝をついたシルフィが、
 ほんの少しだけ笑った。

「……やっぱり……
 あなたには……勝てないわね……」

「ごめん、シルフィ……」

「謝らないで……
 あなたに倒されるのが……一番、嬉しい……
 ……ナターシャに負けないで」

 それは敗北ではなく、
   信頼と誇りの証だった。

「勝つさ」

《PLAYER DOWN — シルフィ》

 白い光が舞い、彼女の姿が消える。

 最強のパートナー同士にしか成立しない、
 美しく、静かな一騎打ちの結末だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...