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異世界の冒険の旅立ち(ジェルゴ王国篇)
66話 迫るリスカそして勘、そしてヒサは・・・(語る何処の誰かの観戦)
しおりを挟む突然伯爵の執務室に入って来た伯爵令嬢リスカはモンスターの群勢を討伐した英雄ヒサに会いに勢い良く迫って来た。
そしてヒサを見つめ手を差し出した。
「貴方様が英雄ヒサ様ですね。あ、握手して下さいませ!」
「あ、あぁ。いいですよ」
ヒサは内心ドキドキとしながら握手に応じ、
(助けた時確かに伯爵令嬢は眠っていた。バレる筈はない!)
っと大丈夫だと思っているが、やはり心配するヒサ。
だが差し出した手がヒサのこれからの苦難を決めてしまうきっかけになってしまった。やはり何処か少し抜けているヒサであった。
「嬉しいです。この街を救って頂き有難う御座います!ヒサ様は格好良くて素敵です!」
リスカは顔を赤く染めながら、ヒサを見つめ目をキラキラしていた。
ヒサは何だか嫌な予感がしてヤバそうだと思い、家に帰ろうと逃げようとするが、
「そ、そろそろ家に帰ろうと思います。褒美金有難う御座います。そ、それでは」
だがリスカが止めに入る。
──────────────
ふといつも語る誰かは言葉がボールのスポーツみたいだなと思い始めた。
──────────────
「ヒサ様!お、お待ちになって下さいませ!ね、ねぇお父様!ヒサ様に御夕食御一緒しても宜しくて?」
ヒサの逃げ道を塞ぎリスカは伯爵に援護を求めるが、
「ヒサ殿は忙しいみたいだぞ。無理を言っては駄目だよ。」
ヒサの思いを知ってか、それとも焼き餅か?それとも伯爵の嫌な予感か分からないが、ヒサからパスを貰いリスカの敵に回りヒサの援護する。
少し頼りない伯爵は頑張っているが………仲間と思っていた伯爵に裏切られたリスカは強烈なテクニックで伯爵を抜かんとする!
「う~ん。お父様駄目?」
リスカは可愛く目をうるうるさせながら上目遣いで伯爵に強烈な攻撃にして伯爵をキューンとさせたその隙に奪い速攻でシュートを決めようとするが、
「う、う。し、しかしヒサ殿も疲れているし今日は忙しいだろ?」
何とか強烈な攻撃に耐えながらシュートをさせまいとするが、もう伯爵の心は娘の可愛さあまり落ちて抜かれそうだ。
そしてヒサを見た伯爵はヒサにパスを送る。
「そ、そうですね。色々と立て込んでおりまして、大事なこれからの冒険者活動の仲間との打ち合わせがあります。残念ですが帰りたいと思います………次第です」
伯爵のパスを受け取り、ヒサの言葉を聞いた一瞬ひむるが、リスカは今度はヒサに上目遣いで無言のお願いポーズをお得意強烈テクニックを仕掛けてくるが、サッと目をそらし回避して帰宅のシュート宣言をする。
頼りなさげなシュート、向かったのは
「では今日は帰ろうと思います。リスカ様、伯爵様、また機会が有ったら、お伺いします。今日は有難う御座いました。行くぞ!ギルマス!」
「お、おう!伯爵様今日は有難う御座いました。ではおやすみなさいませ」
どうやらシュート宣言はフェイントでギルマスにパスをしてギルマスにシュートをさせ何とかシュートは決めたようだ。
何処かの誰かは、ふぉっふぉっふぉっと楽しげに観戦していた。
ヒサは延長を拒みそしていきなり振られてギルマスは、別れの挨拶をしてからおやすみの挨拶をしてやはりまだ緊張していた。
ヒサの言葉にゲーム終了の挨拶を伯爵に求めるヒサ。
「そ、うだな。早急に馬車を手配して贈る。また会おうぞ。」
「有難う御座います。ではリスカ様さよならです。」
ヒサはギルマスの手を引っ張り、リスカの言葉を聞かずゲーム終了を宣言して素早く逃げるように執務室から出て行ったヒサ達だった。
負けて呆然としてるようなリスカをよそに、伯爵の了解得てリスカの断りは得ず、三対一のリスカの不利な試合はゲーム終了となった。
──────────────
(楽しかったのぉふぉっふぉっふぉ。)
何処の誰かのせいで一段と皆が大変な目にあったような結末になった。
──────────────
「あれっ?」
そして立ち尽くしていたリスカはヒサに声をかける前に、あっという間にヒサ達が伯爵の執務室から消えたのを、はっと思い出したリスカは、何か運動をしていたような違和感がしたが、ううんあり得ないと思い別の事を思い始めた。
「う~ん。う~ん。」
っと何かを考え始めたリスカ。
(もしかして………ヒサ達が私をお助け致したのかしら。まさかそんな訳ないないわね。助けて貰ったヒサ様の匂いとは違ったし。握手した時の感じた感触は似ていたけど……。う~ん。ん?違う?何も臭わなかった?何故臭わない?エチケットかしら………丁寧な言葉遣いだったけど、でも貴族然としてなかった。もしかして消した?何故?冒険者なのに?疚しい事がある?何故?なぜ?はっ!ふ~ん。何故かしらぁ。)
「うふふ。うふふふ♪」
リスカは先日の伯爵令嬢誘拐事件で愛しの王子様に助けられたのをずっとお礼が言いたくてそして王子様の事を思い、考えていたリスカは変な勘を働かせ、ヒサのリスカから逃げるように執務室から立ち去ったのを何か違和感というか何かを感じ疑問に思い、そして答えが合っているかのように勝手に納得してから不気味な笑いをしだしたリスカは、伯爵に何も告げず執務室からソォ~っと立ち去って行く。
そして伯爵は何処運動したような疲れを感じながらヒサへの馬車手配の書類を書いていると、リスカの不気味な笑いに寒気が走りビクっとして、立ち去って行くリスカに声をかけるが、
「えっ?リスカ。どうしたのだ?」
リスカから返事が無いままリスカは執務室から出て行った。
「リスカが変だぞ。どうしたのだ?」
伯爵はリスカの事が少し心配と思い、ベルをチリンチリンと鳴らし、使用人のメイドを呼び出し「失礼します」っと執務室に入って来たメイドにリスカの様子を見るように伝えた。リスカに何か不安を感じたが仕事をサッサと済ませ、後から直接聞けば良いと思い書類の仕事を始めた。
──────────────
その頃ヒサ達は帰りの馬車の中におり、ギルマスはホッとしていたが、ヒサは内心面倒くさい事になりそうだなと思っていた。
(おいおい。何故あそこで伯爵令嬢が出てくるんだよ。まさか気付かれた?それは無いかな。しかしなぁ女は変な勘が働くからなぁ。食事を断るのはやはり不自然だったか?う~ん。最悪ギルマスが緊張し過ぎてヤバかったとかすれば……。早くこの街から旅立った方が良さそうだな。)
そんな事を思っていたヒサだが、リスカには最早バレていそうだった。
そしてこれから先、ヒサが転移でリューゲルにソッと帰って来ると、何故かリスカに勘付かれいきなりヒサの屋敷に来たり、何かと付け回されるが、その時に語られるだろう。
ヒサの思いとは別に馬車は何事も無くスムーズに走り冒険者ギルドの前に着くと、ギルマスは疲れた様子で降りソッとヒサに手を上げて冒険者ギルドに帰って行った。
そして一人馬車の中でヒサは、
「今日は最後の最後で滅茶苦茶疲れたぁ。はぁ~、早く帰って飯食って風呂入って寝たい。何故か執務室で運動してたような疲れもあるしなぁ」
とヒサは思いながら何処かの誰かのせいで疲れたヒサを乗せた馬車は、ヒサの思いが通じたのかペースを上げてヒサの屋敷に向かって行くのだった。
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