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6 第5回入院(薬物療法6コース目)

退院後の体調

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 ついに感想、6回目の投薬治療を終え退院となった。
 退院後自宅に戻り、自分の部屋で一息ついた。落ち着いたところで自分の体を観察してみることにした。

 まずは手を見る・・・。キーボードを打つ手はシワが寄り、血管が浮き出ている。まあ、入院前は太り気味であり丸みはあったものの、体重が10kg落ちた事による貧弱な体は目に余る。これは治療中の強烈な食欲不振によるものであったが、治療中は運動が不可能なこともあり、贅肉はともかく、筋肉という筋肉が無くなり、産毛も抜け皮膚がカッサカサにいなりところどころ剥がれている。更に新陳代謝が無くなったせいか、蕁麻疹の跡が未だに消えず点滴の跡が残る腕が我ながら痛々しい。

 あと、自分で辟易したのは、まるで病院の匂いのような薬臭い息と古臭い肌の匂い。「ああ、これが年寄りくさいというやつなのか。」と自分で納得した。髪は抜けなかったものの、鏡を見ると白髪が恐ろしく増えた。これらの事実を正直に認めるしかない現実に、病気が身体の老化を急激に進めたと考えるしかなかった。
 自分の体の老化をなんとか飲み込んで、これから薬が抜けて元気になっていく自分を想像して記念すべき退院の日は眠りについた。
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