オレたちの夏 【時々番外編を更新】

アキノナツ

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オレたちの季節

1、巡る季節 ※

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『オレたちの夏』の番外編集です。
日常系をポヤポヤと書き連ねる感じかな。
よろしくお願いします。


ーーーーーーーーーー

久々にゆっくり出来る時間ができた。
二人の時間が都合がついたのは、いつぶりか。互いの温もりが手に届く距離。
秋も深まって来て、温もりが恋しい。

サブの部屋で落ち合って、明日の昼までは一緒に居れる。
色々話したい事もしたい事もあった。

なのに、俺の手首に手錠がカチャリと嵌まった。
真顔で行ってる彼の顔から表情が消えてる。
いや、強張ってる。
さっきから、呼びかけ、これはなんの真似かと声をかけ続けている。
一向に聞く耳を持ってくれない。

サブの耳を掴んで、引っ張った。

「サブ、聞けよ」
俺は取り敢えず、この状況をなんとか変えたい。
サブが本気じゃないのはなんとなく分かるが、コレは犯罪臭がしてしまう。プレイでもなんでもない。
サブがこういうのに興味があるとは思えない。
しかも玩具店にあるような代物だ。

「聞いたら、変わるのか?」
完全に臍を曲げた声色。
「手錠の鍵って有るよな? おもちゃだから、壊せると思うけど、怪我はしたくない」

「チカは痛いの嫌だもんな。もちろんあるけど、今はオレ持ってないからな」

「何がしたいんだよ」

「オレ捨てて行くんだな」

「はぁあ?!」

「就職。オレと一緒の地域って言ってたのに、本社ってめっちゃ遠いじゃん!」
互いに希望の会社の内定をもらっている。

「あぁ……、本社は研修だけど?」
「お前、営業職希望だってな。転勤族じゃねぇかよぉ~」
なるほど。
どこかで聞いてきたのだろう。
同学部同学科なのだから、友人も被るところもあるし、内緒話は出来ないな。してるつもりはなかったが、サブに話してない事も話してた気もする。

ゼミも別になって、以前のようにいつも一緒とはならないから、人伝に俺の事を聞いたりして、色々妄想が膨らんでしまったのだろう。すまない事をした。

「オレが知らなかったら、そのままどっか行く気だったんだろ?」

「そんな事ある訳ないだろ?」

現に卒業後は、一緒に住もうと話してたし、候補地も挙げていた。
互いの会社が所在してる県は違えど、行き来が盛んな地域だ。ベッドタウンが中間地点などある。

お互い就職活動とゼミでの卒論に向けての指導講義などで忙しく、会っても話はまともにできなかったが、メッセージアプリや電話で連絡は取れてるつもりだった。

「そもそも、なんで手錠なんだ?」
「チカが逃げるから」
えーと、手錠をしたら、逃げないんですか?

「サブぅ。何を拗ねてるんだよ」
手錠の手のまま、両手で寝癖のついた茶髪の頭をワシワシ撫でた。
短髪の少し猫っ毛の彼の髪を心地よく感じながら、かき混ぜる。

犬を撫でてるようにワシワシ撫でてるのに、撫でられるまま。
よく見れば、顔をこわばらせて、泣きそうになってる。
サブが悩んでる。

いつもの明るさが感じられない。
ガサツな感じは、この手錠をつけてる乱暴な状況だけ。しかも行き当たりばったり感。
何がしたいのか。

「サブは、俺を離さないでいてくれるんだろ?」
俺はもう不安はなかった。
安心しきってたから起こしてしまった事なのか?

ワシワシ手を動かしながら、考えを巡らせる。
なかなかいい言動が思いつかない。

仕方がない。

よいしょと繋がった手を彼の頭から後ろに回して背に腕を回すと抱き寄せ胡座の中に抱き込んだ。

ここまで近くなれば、サブも何か話してくれるかも知れない。
彼の拗れた心を解してやらねば……。

ふふふ……くすぐったい。

いつものように俺の胸で、頬っぺたを押しつけ、擦り付けて和みだした。

「サブ。何が不安なんだ?」

「チカ。カッコいいし、背も高い。筋肉質で、体格いいだろ? スーツ着たら、絶対似合う。男っぷりだって上がる。声渋いし、絶対モテる。女が放っとかない」
なんだかこそばゆい事を言ってくれる。
照れ臭くなりながら、ハタと気づいた。

それ…サブにも言えるよな……。

社会人になったら、身嗜みだって気を付けるだろう。
そうなったら、欠点が隠れて、彼に目をつける人間が出てくるだろう。ーーーーマズイ!マズイじゃないか!

不安になってきた。
俺の突然の焦りを気取られないように、べったりのサブをなんとかこのまま繋ぎ止めなければ。

「俺は女に興味がないのは、知ってるだろ? ゲイだって、サブに言ったじゃないか」

「そうだけど…。オレだって、男のチカをこんなに好きになるなんて思ってもみなかったし」
ぷにぷに指で胸を突きながら、ぶつぶつ言ってる。

「このままチカを閉じ込めちゃったら、誰にも見られなかったら、オレだけのってならないかなって……魔が差した」
しょんぼり反省モードに入り出した。

正直に俺も言おうか…。

サブのつむじに頬を寄せて、抱きしめた。
気取られないようにとか、姑息な事は…俺達には合わないな…。

「俺はサブが好きだ。変わらない。サブがノンケだったから、俺は、不安だ」
気持ちを言葉にするのは難しい。

「オレが目移りすると? ねぇーよ」
少し明るい声。
「だな…」
スリスリ…
「禿げるから、やめろよぉ~」

信じたいが、もし、サブが家庭を持ちたいと言ったら……俺は……受け入れてそうだと気づいた。
俺ってサブの事好きなんだなぁと改めて感じた。

「サブ、好きだ」
嗚呼、もっと好きだって気持ちを伝えたいと思っても俺の語彙は死んだ。

「オレも好き。大好き!」
見上げてくる目がキラキラしてる。
くりっとしてる目が、眩しそうに細まる。

クイッと伸び上がってくる。
迎えに行く。
唇が重なる。
音にならない気持ちを行為に込めた。



「サブ。コレ外してくれ」
手錠にシャツが絡んで、手が身動き出来なくなってる。
嫌な事を思い出しそうで、焦る。

「カギの場所さぁ」
ぽりぽりと頬を掻いてるサブを見上げながら、呆れた。
忘れやがった。
コイツ、絶対忘れた。忘れやがった!

オモチャだから、安全装置とかついてるだろう。
しまった。シャツが噛んで、見えなくなってる。

変な汗が滲み出してて、焦り出してた。

「チカ、こっち貸して。噛んじゃダメだって」
言われて、シャツを噛んでた事に気づいた。

ダメだ…。変な鼓動を打ってる。

俺の上で和んでたサブがニッコリ笑って手を差し出してる。
フッと俺も笑ってた。力が抜ける。

鍵の所在を忘れて、この状況を作った男に差し出した。

シャツを解いて、安全装置の突起を押して、外していく。
手首が軽くなった。皮膚が外気を感じ、息が出来る。

「ありがとう」
モヤっとしながら、手首にを摩って礼を述べる。ありがとうでいいのかな?

ポイッとシャツごと手錠をベッドの外に投げてる。
適当なサブ。いつものサブに自然と口角が上がる。

「じゃあ、改めて楽しみましょうか?」
「だな…」
笑いが込み上げる。
去年は就活とバイトでほとんどどこにも行けなかったが、今年は遠出もしたいな。

湖とか滝とか水辺がいいなぁ。
静かなところがいい。景色が良くて……。
サブはどんなところがいいのだろう?
聞いてみよう。
楽しみが増える。
いつか別々の道を歩む事になっても、多分、俺は大丈夫。
どんなサブでも……愛してる。

「チカぁ? 考え事? 挿れるよ?」
ちょっと不機嫌なサブが、後孔に切っ先を当てて、クプクプと挿れ込みながら、睨んでる。

「どうぞ、好きにしていいよ」
膝裏に腕を回すと、思いっきりよく開いて腰を上げて晒す。

「むぅぅ…。啼かせてやる!」
サブが解してくれた孔は、トロふわになってる。
ズブズブと突っ込んできた。
久しぶりなのに、いきなりか!
煽ってしまったか?

這入ってくる圧迫感に顎が上がってくる。

浅く前後を繰り返してカリで縁と襞を刺激してくる。
ゾクゾクとした感覚が広がってくる。

浅く吐息が漏れて、フルっと身体が揺れる。

快感が俺を飲み込む前にと、サブを視線が探す。

サブが俺との結合部を凝視してる。
少しずつ奥に這入ってくる。
ストロークが長く大きくなって、擦れが快感を生んで、だんだんと息が上がってくる。
前立腺を抉るように押してくるのも忘れてない。
あー、声が出ちゃいそう。

「チカ、声出して…」
出させようとしてたようだ。
全部入ったみたいだ。下生えを感じた。

「はぁぁ…大きな声が出たら困るから、、、キスしてくれないか?」
息が上がってきていて、少しでも激しく動かれたら、今日は、声がセーブ出来そうにない。

「えー、聞きたい」
「サブぅ……」
腹筋を使って、身体を持ち上げる。
孔が締まったのか、顔顰めたサブが噛み付くようにキスしてきた。

乱暴だが、優しい腰づかいで、ヌチヌチと穿ってくる。
舌を絡めて、サブを感じていた。

「おふぅん、あふぅ……ふぅぅうう…」

唇の隙間から、喘ぎが漏れる。
ナカでサブが更に膨れるのを感じる。

あふ、あふ、とサブの息遣いが重なり混じり、腰を振る。

結合部から、たっぷり使ったローションが水音を立てている。

受け入れながら、喘ぎながら、俺はサブに全てを委ね、乱れて悦がりくねった。

気持ちいい……

笑うサブと目が合う。

幸せだと思った。



ーーーーーーーー
ゆったりと綴ります。
乙女で大きな男前のチカさんとガサツで猪突猛進気味なサブの物語。
お付き合い頂けたら嬉しいです。
m(_ _)m
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