テーラーのあれこれ

アキノナツ

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最終回。

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「素質?」
「タロさんのココね、柔軟性があって、程よく柔らかいの。この前は寝てるのに、前立腺で感じてた。タチにしておくのは勿体ない」

???

暫し、キョトンと香苗かなえを見てた。

「マジ?!」
やっと理解した。

「うん、マジ。だから、安心して。時間はあるから、ゆっくり解して楽しもう」
コクコクとエクボのあの笑顔で頷いてる。

「嫌だよぉぉぉぉ」
心の底から訴える。
素質があろうがなんだろうが、私には無理だぁ!

「タロさん、俺、ずっと側に居るから。寂しくないようにするから」

魅力的な提案ですが、カナエくんを組み敷くのは大賛成だけど、私はノーセンキュー!

「カナエくんがネコでいいじゃん!」
もう何もかもかなぐり捨ててる。ごねる。足掻く!

「俺は抱きたいんですって何度も言ってますよ?」
圧が強い。
俺って! 皮脱ぎやがった!

「私は抱かれるのは嫌って、ずっと言ってますッ」

この押し問答なにぃぃぃ???!!!

ガルガルとタチ同士で手を握りって押し合い、プロレスのロックアップの様相です。

ローション手に取らないで!
手順を知ってるだけに、この先、何が起こるのか分かってて、ジタバタと往生際悪く香苗の下で暴れた。
バシバシと馬乗りになってる香苗の腹とかを思いっきり叩く。

「傷つけたく無いんで、暴れないの。タロさん?」
馬乗りで固定されてて動けない。
自由に動く手を精一杯振り回す。

「可愛く言っても、承諾は出来ん!」

「可愛いなんて。タロさんの方がもっと可愛い」
チュッと頬にキス。

一瞬動きが止まる。

ポッと嬉しくなってる。

いやいやいや! 何が「ポッ」じゃあぁぁ!

前にたっぷり塗りつけられるローション。
私のやり方を踏んでくる。
学習しやがって!
男としては、扱かれたらそれなりに勃ちますし、ヌケます。
ヌケた後が問題なんだよぉぉ。軽く泣ける。。。

酔ってるから勃ちにくいか?

しっかり勃ったよぉぉぉ!
焦る!!!

酔いは完全に抜けたか?

ああー、気持ちいいよぉ。
自分の手より他人の手。もどかしさもクル。きちゃうよ!
ヤバい。不味い。非常ぉぉにっ、マズイ!

扱かれてる。気持ちいい……。
ヌケそう。。。

「はぁぁぁぁ……」

ぽやんと揺蕩い始めたところで、放置された。

はぁ? ああ??!!

「タロさん、提案。俺の後ろ触ってよ。どっちが先に後ろでイかせるか勝負しよ? で、先にイった方がネコするのはどう?」

私の方が分が悪い。
だって、あと少しでイけるとこだったんですよ?

でも、さっきまで何も聞かない香苗が、聞いてくれる雰囲気。逃れるチャンスと言えばチャンスだな。仕方ない。全力で頑張りましょう。

「分かった」

私の返答に、いい笑顔で反応する。
そに笑顔、眩しい。好きなんだよ。認める。
認めるけど、ネコは嫌あぁぁああ!

バスローブに包まれた尻が目の前に。
香苗の下敷きになってるのは変わらないので、所謂、シックスナイン?
後ろのみ?

「カナエくん。前は触っちゃダメだよ?」
「いいですよ」
勝負だ。

よく分からない勝負になりました。

ローションのボトルを渡してもらって、解しにかかります。ちょっと固い。この前は頑張って解してくれてたのね……。挿れてから随分経ってるからね。
前立腺を苛めて、程よいところで玉をひと舐めしてやればいいさ。
竿は触らないよ。玉だって後ろからちょっと、ねっとりとね。

私の後ろって…柔らかいのか? もう指が入ってる気がする。締めて固くする?
きゅっと力を入れたら、「タロさん? 力抜いてね?」と優しく言われました。

「はぃ……」
なんなのですか?
私、従ってますよ?

ま、こっちに集中。
前立腺、前立腺…あった。

「はぁぅう!」

ツキュンと背筋を何かが駆け抜けた。
???
身体が一瞬硬直した。
声が勝手に声が出る。

「イイ声ですね」
嬉しいそうだな。
「カナエくんだって、この前こんな感じの声だったんだって」
「じゃあ、感じてくれてるんですね」
「あー、そうなる……のか?」
へ? これが前立腺への刺激?

香苗のを前に見つけた触り方で弄り始めた。
途端プルプルと内腿が震え出した。
上手くいってる。さて、もうちょっとしたら、玉袋を後ろから突いてやろう。

ローションが垂れて、袋をテカテカ光らせてる。

私の後孔もなんだか進んでる?
拡げにかかってる?
イかせるんじゃなかったのでは?
さっきの衝撃の感覚は来ない。
もわもわした感覚がしてるだけで…。

肉壁を刺激しながら、弄り倒す。
おお、前のを身体の方は覚えてたか。ヘコヘコ腰が揺れてる。いいねぇ。

ん? んん??
私の後孔の中で、不規則に…動いて? 
!!
指が増えてるじゃん!

「ちょ、ちょっと待って!」

「はぁ…、タロさん続けて下さいよ?」
色っぽい声出してくれてるけど、私が不利なのですよ。
そっちの方が自由度高い。
ほらぁぁ、触り方が、ヤバいぃぃぃ。
さっきのの大きいのがキそう!

香苗の後ろの指を抜いた。集中出来ない。香苗の尻に腿に手を縋らせて、耐えた。

ビクビクっと背が反りながら、孔が締まるのを感じた。た、耐えろ…。

「惜しい。もうちょっとで射精しそうだったのに……」
私の雄芯が切なげに揺れている。

私が後ろで感じてる?
……嫌だぁぁぁぁ。

クイクイッと緩急をつけて擦って、押し込んで、弄り倒してる香苗の指をまざまざと感じてた。節のしっかりした指が器用に中で動き回る。

「はぁぁ、あー、あ、あぅん、あ、あ、っんぅ……」
このままじゃ、イっちゃうぅぅ!

「タロさんは、タチもいいけど、こっちの方が幸せそうだよ?」
何を言ってる?!
キリキリと意識を引き寄せて、香苗を睨みつけた。
まだ、意識が保ててる。
香苗に縋ってた手は、今はシーツを掴んで耐えていた

「ほら、俺が側にいるから」
いつの間にか、香苗の尻は消えていた。
チクショー! あの孔に突っ込みたかった!

チュッと頬に唇を感じて、クイッとナカを抉りながら撫でつけられ……イった。

「はぁぁああぁぁ……」

顔を両手で覆い。脱力していた。
ーーー負けた。
身体が熱い。
勝負は勝負だが……嫌だぁ。

「タロさん?」
さっきから頬に、手の甲に、指に、唇が触れてる。
いっぱいキスしてくれてるんだけど、可愛いんだけど。私は可愛くなく、往生際悪く拒否してる。

「タロさん?」
何度目の呼びかけだろう。
のろのろと手を退けた。
そう言えば、無理矢理剥がす事も可能だったのに、香苗は辛抱強いな。

「やっと顔見れた」
鼻が鳴る。泣けてくる。

「そんなに嫌なんですか?」
ぎゅっと抱きしめられた。

「だって、コントロールされてるというか、支配されてるみたいで嫌だ」
ポツポツ答える。

「……タロさんは、俺を支配してる気持ちでしてたの?」
「違う! ただ、気持ち良くなって欲しかった。この世のものじゃない次元の気持ち良さを与えたくて。……それから、少しでいいから、気持ち良くした私を、見て欲しかった…」

後半は消えてしまいたくなる独白。

「……」
香苗が無言でチュッチュと顔中にキスして来る。
くすぐったい。
首筋に顔を埋めて、匂いを嗅がれてる。
自分もしてたが、なんでお前がしてるんだ?!
仕返しか?!

「俺はいつも見てます。見てますから。束縛してくれていいから。ーーーーいい匂い。好き」
なんか言ってる。

「勝負は勝負だ。腹括った。突っ込んでくれ」
腹を決めた。まな板の上だ!

「……タロさん。男らしいんですが。情緒が台無しです」
哀しそうな瞳の香苗くんが見つめていた。

「挿入らない?」
無理なのか?
「たぶんいけると思うけど、辞めます?」
「する!」

やるならさっさとヤってくれ!
キリッと香苗を見た。

「男前ですよ。タロさん」
苦笑いの香苗。

バスローブを脱いで、二人全裸で抱き合った。
「タロさんひんやりして気持ちいい……」
「カナエくんは温かいな」
香りが包んでくれる。
「キスします?」
コクンと頷く。

唇を重ねて、どちらがリードする訳でも、される訳でもなく、ダンスするように、互いを感じながら、唇を合わせて、舌を絡めて愛撫し合った。

キスだけで蕩けそうだ。
重なった肌が湿って、熱くなっていた。
肌も溶け合いそうだ。

そのままの流れの中、いつの間にゴムをしてたのか、香苗の雄が後孔に当てがわれて、ゆっくりと、ツプンと這入ってきた。

身体が固くなる。
香苗が気づいて、身体を掌で撫でるように摩って、強張りを解いていく。

「さっさと突っ込んでいいぞ」
「流血は嫌なんでしょ?」
含み笑い。

「そうだな……」
確かに。

唇を合わせて、舌を絡ませてる内に、太いカリ首の部分も皺を広げて埋め込んでいった。

ズブズブと這入ってきてる。
奥に進もうと小刻みに前後している。

「這入ってますよ」
香苗が囁いてる。

「はぁ、やぁぁ、はぁぁん…」
私が喘いでる。這入ってるな。

鼻先と香苗の首筋に押し付けて、匂いを嗅いでいた。
ホワイトムスク……。
心が落ち着く。

ローションを足しながら、奥へ奥へと埋まって、止まった。全てを咥え込んだ。
馴染むまで待ってくれてる。

「カナエくんは、辛抱、強いなぁ…んぅ」
ナカの鼓動が私をどこかに流そうとする。

「辛抱強く、粘り強いんです」
「そうか」

「狙ったら、とことんです」
「そうか」
そのようで。

「タロさんは、俺の欠けてる部分だと思いました。直感です」
「そうか」
そうなの?

「動いていいですか?」
「いいよ。初めて、だから、お手、柔らかに」

やるのとやられるのでは、気持ち的には同じなのに、感覚が違う。
やっぱり流される。自分でコントロール出来やしない。

「あぐぅん……あっ、あ、あぅ……」
自分が保てない。何かになりそうだ。

「タロさん、俺を見てて」
いつの間にか固く閉じてた目を開くと、香苗が見た。

激しくもないが、確実に快感を突いてくる。
彼の瞳を見つめて、感覚に翻弄されていきそうになりながら、なんとか留まりながら、彼の雄をナカに感じていた。

「はぁぁ、カナエ、くん…これでは、辛い、だろ? 激しく、して、いい。大、丈夫。保て、る」
慣れてきたのか、香苗が気になり出した。

「でも…」
何故迷う!

「こいよぉぉぉ!」
背中がぎゅっと反った。ナカで何かに当たった。なんかクル、クルゥゥゥ!
急に律動が激しくなって、孔の縁が抽送に擦れて、昂みに連れていかれる。

ーーー怖い。

否、私が自分でイくのだ。香苗と一緒に!

絶頂がキタ。
ナカに熱を感じる。香苗の熱。
そして、私の熱を思いっきり射精していた。

息が上がって喋れないのに、香苗は、大丈夫かと聞いてきた。
喋れるのか? マジかぁ。若さか?

長い付き合いになればいいのだが。いずれ去っていく。

「どこにも行きませんよ」
そうか…。それは幸せだな。一時でも浸っていいかな。

「少し、眠らせて、くれ」
「そんなに抱きつかなくても…。どこにも行きませんから」

何を言ってるんだ?
眠いんだ。
目が覚めたら、お前だって、居なくなるんだ。

「ずっと居ますから…」

……今はな。
『今』に縋ってみてもいいか。


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不安定な感じですが、取り敢えず、香苗くんが清水さんを捕まえたので、ココで終了。

後日談に続きます。
本編でもいいんですけど、ちょっと違うかなで、後日です。
タチ同士なんで、不穏ですが、なんとか不時着出来るかが、後日談のところですかね。
清水さんは、完全に捕まっちゃうのか?って感じ。
では!
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