一緒に住んでるんだが…

アキノナツ

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どうすべきか、、、

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俺は飼われている。

なんだか癪だから、生活費という事で、幾らか渡しているが、たぶん足りていない。

ここの家賃とか生活費とか金に関する事は何も聞かされてない。訊いてもみたが、はぐらかされた。
想像しても分からないので、以前生活してた分に上乗せしている……が、足りてないだろう。

男がエステって。
庶民気質の俺にはピンと来ない。
エステ帰りの彼の肌はもっちりと触り心地がいいから、好きだけどね。
俺も期待してんじゃん。

初め聞いた頃は、女とニャンニャンしてくるのだと思ってたが、本当に肌を磨きに行ってると分かった時は、セレブの生活に理解が追いつかなかった。

庶民的な飲み屋で知り合って、意気投合。
知り合った場所が場所だけに、まさか相手がこんなところに住んでるとは思わねぇよな。

アイツにとっては、珍しいモノでも侍らせてる感じなんだろうか。
野良のイヌネコぐらいに思ってるのかも知れん。

その証拠に俺の行動はなんの制限もされていない。
今まで通り会社に行ってるし、同僚と飲みに行ったりもしている。

基本的な生活は何も変わっていない。
変わったのは、ここに帰ってくる事と請われればそういった行為を持つこと。

コレって飼われてるってヤツだろ?






居酒屋で初対面の美人さんと相席となった。

綺麗な人だなと思って入店してきた彼にぼーっと見惚れていた。随分と俺は出来上がっていたのかも知れない。

相席いいですか?と店員に言われた気もしたが、たぶん頷いたような気もするが、何か言った気もする。要はよく覚えてないという事だ。
兎に角、相席になった。

目の前の人をぼんやり見ていた。

綺麗な人です。

お互い一人だった。

俺は連れが途中で帰ってしまったので、一人になってしまっていた。テーブルの上には、一人にしては多い皿が幅を利かせてた訳で。

帰った相手は、急な呼び出しに、態度はすまなそうにしてたが、ニヤけ顔が癪に触ったので、空いたグラスを前にヤケ気味に、酒を呷っていたにだった。

彼女が出来たのは仕方ねぇけど、この飲み会は前から決まってたんだよな。
心の狭い彼女さんだねぇ。
ケッ、羨ましぃじゃねぇかぁぁぁ! リア充めェェ。

「荒れてるの?」
あれ? 声低いなぁ。男?

「おー、酔ってると思うけど。荒れて……るのか?」
チープなコップを持つ手も綺麗だな。

「うふふ…。なんで疑問形?」
笑ってる!
ウケたのか?
良かったぁ~。
気分良くガラスコップを空けた。
空いたコップにビールが注がれる。

なんだか美人さんが机に伏せて置いたスマホが唸ってるようだが、そんな事は些細な事だ。

乱暴に出ていった客など更に眼中にない。

「アハッ! 美人さんにお酌してもらっちゃったぁ~」
「美人さんって、なにそれ。私はコレでも男ですよ?」
ふぅ~んと相手を見てると、綺麗に整えられた爪の指でちょいちょいと招かれた。
なんですか?っと顔を寄せれば、耳に唇を寄せて囁かれた。

「男か確かめてみる?」
へ?
間抜けな顔をしていたと思う。
美人さんと見詰め合う。

綺麗な人は性別も超えるらしい。充分性的にOKです!

コクンと頷いていた。
魅惑の微笑み。魅了されました。

「ワインあるんだ。ウチに来ない?」
ワインよりビールの方が好きなんだけど、なんでもいい。ついて行きますワン!
伝票を掴もうとしたら、自分の分と美人さんの二つとも消えていた。

「お兄さんは忘れ物ないように自分の支度して?」
「おぉ~」
酔っ払いの手元って覚束ないのね。
ふわふわと鞄を持って、キョロキョロ…。
ふらふら店を出たのは覚えてる。

次に目が覚めたら、見覚えのない天井とベッド。
そして、隣に白い背中。

えーと、女にしたら、少々横幅…肩幅が、広いよね…?
髪、ショート?

ラブホにしたら、なんだか生活感があるような、ないような。
広いが誰かの部屋だな。

辺りを見てたら、ぐらりと揺れる。

うっわぁぁ、二日酔いだわ、コレ……。
グラグラする頭を持ち上げて、下をチェック……
履いてないですな…。
全裸です。
した……?
したのか???

「おはよ。うふふ……とっても良かった」
いつの間にか隣の人がこちらを見ていた。
綺麗な人です。

「お、おはよう」
やったらしい…。



あの場をどう取り繕って出て来たのかあやふやだったが、二日酔いの頭をなんとかかんとかしながら、ネグラに帰れば、ドアポストに封筒。

『取り壊しのご案内』
???????

「はぁあ?! 痛ってぇぇぇ……」
二日酔いの頭に響く。
自滅してその場に蹲りたがる膝を叱咤して、なんとか部屋に入る。

水道から直飲み。がぶ飲みして、そのまま水道水の流れに頭を突っ込む。
バタバタと落ちる水音と流れに暫し浸る。

痺れる感覚と辛い姿勢に苦しくなって、顔を上げた。
ぼたぼたとYシャツに落ちる。

キュッと蛇口を締める。

床を濡らしながら、風呂場に向かった。



幾分スッキリして向かい酒を呷りながら、座椅子に凭れてテレビを観ていた。

ローテーブルに置いてる通知の用紙をぼんやり見る。

「どうしたものか.…」
思わず口をつく。

決定事項らしいので、確認はこの後電話だな。
古かったし、そんな噂もあったけど……。

やるべき事は、引越し先を探す。
これから、不動産屋か。
ここに居着いて随分になるから、今の不動産情報がどうなってるかさっぱりだ。
いいカモになるような気がするが、仕方がない。猶予期間がない。

通勤時間。家賃。立地……。
面倒だな。

あー、酒臭い状態も不味いな…。

ローテーブルに放置していたスマホを手元に引き寄せ、管理会社の番号にコールした。




数時間後、ここに不動産屋が管理会社の人間と一緒にきた。

コーヒーでなんとかシャキッとさせたが、休日だったし、酒は大目に見てもらって、身だしなみだけなんとか整えた。

目の前に用紙が何枚も広がっている。

用意のいい事で…。
期間が迫ってるのだ。色々と選択肢も用意してるわな。

「…ですので、引越し費用は、上限は決まってますが、ある程度負担しますので、ここから選ぶのもよし、別の物件の見学も出来ますので…」
一方的に管理会社の人が話してる。
蓋を開ければ、管理会社も不動産屋なんだから、営業も来るわな。

別の不動産屋探すのも面倒だし、ココでいいかと提示されてる物件を見る。

ココとあまり変わらないところを挙げてくれてる。良い感じだ。

これの内覧を一応するかと、口を開きかけたところで、また俺のスマホが振動しだした。

さっきからなんなのだ。

来客中なので、留守録にでも残してくれたら折り返すつもりなんだが。
さっきから無視していた。マナーモードでもうるさいには変わりなく。
留守電に切り替わる前に切って、掛け直してくるのか、振動し続けてやり難い。

「ーーーーすいません。ちょっと…」
相手方も気になってたのだろう、二つ返事で了承。
出してたお茶を勧めながら、横を向いて、電話に出る。
直ぐに切る方向で話すつもり。声を発しかけて、電話の向こうの声に、出掛けた声を飲んでしまった。

『私のところにおいでよ。部屋はあるよ?』
今朝慌ただしく出てきた部屋住人。
たぶん致したベッドの彼である。

「何の話ですか?」
やっと言えたのは、こんな言葉。

『そこ私の物件。あなた、そこに住んでたのね。うふふ…コレって運命?
そこね、ダサいから早いとこ壊したいのよ。こっちおいでよ』

さっぱり分からん。

「ちょっと待て…」

考えたいが、酒が抜けきっていない頭は回ってくれないが、考えたい。待ってくれ。

『目の前の不動産屋に代わって?』
言われるままに渡した。

渡された方もキョトンだったが、言葉を2、3交わすと態度が変わっていく。
手元の資料を片付け出した。

オイオイ…

そして、通話中のスマホが返却され、耳に当てれば、『決まったからおいで。今日からでも良いよ。昨日の続きしよ?』と言い残して、切れた。

要件だけかよ。一方的だ。一方的過ぎる。

「私たちはこれで。引越し業者の方は、後程電話を差し上げるかと。ーーーーこれが業者のパンフです。この番号から掛かりますのでよろしくお願いします」

さっさと出て行った。

マジか。
反論というか、こっちの言い分と言うか、一言も話させなかったなッ!

ローテーブルにお茶とパンフレットが残った。

「なんなんだ……」





ふぅ……。

ソファで缶ビールを傾けながら、思い出していた。
この広いリビングは落ち着かないが、取り敢えず、この場を定位置と定めていた。

横に男が座る。
胡座をかいてパーソナルスペースを確保してるが、そんな事お構いなしにぺったりしなだれかかってくる。

半ば無視して、テレビを観てる。

「あ、コレ、昔行った事ある。ここね……」
楽しそうに昔話が始まった。
いつもなら流せたのだろうか。つい不機嫌に言ってしまった。
「過去の話ばかりされても困るんだよ。先の話が出来ないじゃないか」

このところこんな感じだ。
昔の事を思い出してたのもあるのだろうか。今日はキツくなってしまった。

俺の矜持もある。飼われるならそういう風に立ち回るのも良いかも知れないが、今の状況は、中途半端だ。これからの事を話したいのにはぐらかされて、進まない。

たぶん、俺はこの男が好きだと思う。
相手はどう思ってるのか計りかねる。
どう立ち回る?

当面、この男の気まぐれに付き合ってやろうと思ってはいるが、はっきりしないのが良いのか、このあやふやさを楽しんでるようだ。こちらは堪ったもんじゃないが。

彼の設定では、俺はヒモ的な、俺様的な男か?
彼は尽くす男かな?
物書きの先生さんの考える事は分からん。

困った男を好きになっちまったよ。
ちびりと缶を傾けると喉に思ったほど入ってこない。もう最後か。
飲みきってローテーブルに置く。

コーヒーを持ってきた。
カフェインを摂り過ぎだろうと以前注意した事があったのを気にしてるのか、カフェインレスのものらしい。

俺、さっきまで飲んでたんだが……。
ま、いいか。
なんか機嫌を取ろうとしてるよ。
なんか可愛くなってくるが、俺がベタベタしたら、なんだかこの関係が崩れそうで、戸惑う。
俺も中途半端だ。

愛を囁かれる。
どこまでが本当でどこまでが設定なのだろう…。悩む。

話がしたいがどう切り出したらいいか分からない。
そして、流され、過ぎていく。

エステ帰りの触り心地の良い肌に手を這わせ、唇を寄せる。
キツく吸い付き所有の痕を残す。

艶めいた吐息が耳を擽る。

俺はどうすべきか……。
今は……流されようか。





ーーーーーーーーー

どうすべきか。どうするのか。取り敢えずは話し合いでしょうけど、このままでも幸せかもとか思いながら、俺さんが主導権取れば、はっきりしそうな関係ですよね。
俺さんは控えめな性格ですので、このままかも。

ふんわり設定のお話でした。

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