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男の日常 (1)
しおりを挟む後日談になります。
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これはなんと言っていいものか……。淫猥なモノではないだろうか。
シャワーを浴びよう向かう途中、洗面所の鏡に映る自分に足が止まった。
乳首が腫れてる…。
全身に散ってる鬱血痕も卑猥だ。
いやらしさ全開である。
昨日は前日からアイツに拘束された。
時間的にも物理的にも…。
マジに物理的にはやめて欲しい。条件に出したのに。不履行でいいだろうか…。
洗面台の隅に洗って置いてある物体も自分が終わってると思わせるに十分な迫力である。
あの時の自分を殴りたい。
毎度頭がおかしくなる。
『おウチに帰るまで外したらダメだよ。帰ったらビデオ通話で外すところ見せてね』
タプタプに出されたアイツのを腹に抱えたまま帰宅を強いられた。
あの時はなんでも受け入れてる状態で、ぽやぽやと言われた通りの事をした。なんでか言いなりになっちまう。
電車でひと駅が長く感じられた。
隅で熱い身体を抑え耐え、なんとか帰宅した。
風呂場でアナルプラグを外して、いつまで出てくるんだって程の白いアイツの精液をヒリ出してるアソコを映しながら、悶えてたオレが昨日のオレ。
アイツがスマホの向こうで、荒い息遣いで観てた。見られてると思うとガニ股になって、尻突き出して……。尻を揺らして掻き出してるのか、自慰してるのか分からなくなっていた。
アイツの指示でプラグで熟れた穴をクポクポと出し入れしてた痴態を思い出し、腹の奥が疼く。全身が熱くなる。
疼いてる…。
で、この乳首だ。
アイツの手で胸を揉まれて、スポイドでキュッと吸われるのも、リングをつけられるのも、じっとするのが苦痛な程、疼いてジンジンして気持ち良くなってて……。
オレ…なんか……終わってる。
マジにどうにか、なってる。
ーーーーそうだ。あれは、オレじゃない事にしよう。
催眠術かなんかに掛かってんだ。
うん、そう思って置いた方が気が楽だ。
そうしよう…。
あ、この乳首だった。どうすんだ、コレ。
ほんとコレだよ。
日が経ってないから、まだ少し痺れてる感じ。
以前は小さな出っ張りだったのが、プリッとした主張した存在になってきたよ。
なんとなく、鏡を見ながら乳首に指を。他人事のような感覚。ぼんやりと摘むように触って、ピリリと走る感覚に腰が抜けた。
な、なんだ?!
しゃがみ込んで、ぎゅっと自分で自分を抱きしめる。ゾクゾクする。腹の奥が疼く。
これは…快感?
なんで?
そっと自分の胸を見る。
卑猥な物体となりつつある乳首。
手を伸ばして、手前で躊躇。えいッと摘む。
なんともない。
キュッキュッと触ってみる。弾力があって、身体の一部だと分かるが、形状が…。
ま、誰かに見られる事も(ひとりを除いて)ないから、いいようなもんなんだが…。
シャワーしよ。
乳首に違和感を感じつつも外出の支度。
マジに大学に顔を出さないと先生に迷惑がかかるよなぁ。
スマホを確認。
事務方さんから送られてきたメール。前半事務的ないつもの文言。後半は、めちゃくちゃな言語で書かれてる。めっちゃ怒ってる。えーと、この人基本優しいだけあって、怒らせると怖いんだよ。
タブレットとスケブをリュックに突っ込むと重い足取りで玄関を出た。
研究生としての役割を説かれ、提出物を渡す。ひたすら頭をたれて黙って過ごす。言い返すものが何もない。仰しゃる通りでございます。
たとえ形だけの研究生でも、やる事しないとダメなものはダメなんですよ。
「そろそろお茶しない?」
変わり者の先生がひょこっと顔を出した。
助かったぁ~。
「あと…この書類にサイン貰ったら終わりですので、もう少し待ってて下さいね」
先生にはニッコリ笑って、オレには冷たい目で見下されながら、書類を渡される。
ザッと文面に目を通すが、ほとんど頭に入らない。
さっさとサインする。
そう言えば、借金ってなんかサインとかするんだった? オレの借金ってどうやって出来たんだろう…。関係ない事考えて現実逃避。
「ハイ、お疲れ様。先生のお相手をよろしくお願いします。もう少し顔を出して下さね。寂しそうでしたよ」
「へい」
さっき先生が顔を出した部屋へ入ると、コーヒーを淹れてる先生がいた。
「キタキタっ。後でケーキ持って来てくれるから、そこのクッキーでもどうぞ」
クッキー缶が開いてる。
応接セットのソファに掛けて、クッキーを摘む。
気が抜けた。
乳首の擦れが気になる。熱いな。熱を持ってるみたいだ。絆創膏でも貼るかな。炎症どめ薬か何か塗る?
このクッキー美味いな。
乳首よりクッキーに気が向いた。
先生と絵についてあれこれ話して、お土産にクッキー缶丸ごと貰った。
スケブは渡して来た。来てなかった間に描いたモノだ。ココに研究生として居れる為の提出物。形だけの物だが、先生は楽しみにしてるみたいなので、手は抜いてない。
事務方さんにお礼を言って、退出。
帰りはとてもニコニコで送り出して貰った。数日は先生の機嫌が良くなるんだってさ。よく分からん。
仕事がしやすくなるんだろう。
だから、もっと来てねと言われた。
もっとよく分からん。
さて、これからどうしようかな。
河原でスケッチも悪くないが、肩凝ったからぼんやりしてるのも悪くない。
誰かのお膝を借りたいところでもある。
膝枕でウトウトするのもいいなぁ。
んー、今のオレにお相手に返すモノが何もない。
寂しい…。
お互いが気持ち良くなるのがオレの理想。
対等に等価がいいんだよ。
芝生の緑地公園の近くに来て居た。
今日はここでのんびりしよう。
クッキー缶もあるし。
帰って来って後悔した。
ドアポストを確認してればと後悔した。
作業着のおっさんが渋い顔でオレの部屋の前に居た。渋い顔に夕暮れの光が濃い影を落とした。
ーーー怖い。
1週間後退去しなければならなくなった。
取り壊すんだと。
お知らせはドアポストに入れたとか。
最終確認と判子貰いに何度か来ていたらしい。
その場でドアポスト開けたら、なん通も出て来た。おっさんが呆れてた。
オレも自身に呆れてた。
荷物を取り敢えず、トランクルームに押し込む。部屋は空にしたが、オレの居場所がなくなった。
ネットカフェは飽きる。
不動産屋に行くかなぁ。面倒くさい。
大学の隅っこで暮らすのも悪くないが、あの事務方さんが目を三角にしそうなのでやめておこう。
久々にバーに足が向いた。
いつもより荷物が大きいのを不思議がられたが、顛末を話すと、おじいちゃんバーテンダーがカンラカンラと笑った。
ここは出会いをというよりこのお爺さまに会いにくる感じ。残り少なくなってたクッキー缶を出してお裾分け。
そんなに面白かったかなぁ。
オレ自身が面白いんだって。
カクテルがタダになった。お話賃だって。
ありがたく頂いた。
なんならココに泊まるか?と言われた。
それも悪くないかと、お店の掃除をするという事でヤサが決まった。
スマホで映画を流しながら眠る。
賑やかな雑踏音が、耳を満たす。
一人は嫌だ…。
公園で顔を洗ってたら、メッセージアプリの通知音。
確認するとアイツからだった。
そろそろ時期か。1週間から2週間に一度、時には頻繁になるが、こうしてお誘いが来る。断らないようにしてる。付き合うって約束したしな。
オレは約束した事は守るんだ。でも、コイツとのは、セックスが込みの付き合いだからなぁ。ただの飲みや食事会って事にはならない。困ったなぁ。ヤられるのは慣れない。
ただ、人肌は欲しい。ぐっすり眠りたい。
こういう欲求は生きる為に必要なんだろう。抗えない。一応等価の取引ができてるようなので(等価かは疑問なところがあるが)、遠慮なくタカってやってる。
足取りは重いが、指定された場所に向かう事にした。
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