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3.真司くんは走る。
しおりを挟む虫が出てきます。苦手な人回れ右!
==============
今日も真司は走る。
夏休み!
セミがボクを待っている!
虫カゴがプリッとしたお尻の上でポクポク跳ねる。
虫捕り網が右に左に激しく揺れる。
カゴの反対側に掛けた水筒も弾み揺れる。
走る。走る。走る!
頭のキャップもシャツも汗ジミが出来てる。
お構いなし!
吠える近所の犬も無視!
目的地に向かって一直線に走る。
今日の狩場に到着。
クロスした虫カゴと水筒の紐が首に食い込んでるがお構いなしに腰に手。
虫捕り網の柄をぎゅっと握りしめて、地面に突き立て仁王立ちして、青々とした桜の大木を見上げる。
ムフフ。
今日は早く来たから獲物はまだ上には登ってないはず。
じーーーーっ
いたいた。
到着直後は鳴き止んで警戒してたセミ達が、ジジッと一匹が鳴き出すと一斉に鳴き出した。
大猟大猟!
ギチギチ…カシュカシュ…
カゴの中で身動きがままならないセミたち。
ピンポーン!
お母さんとの約束。
セミ捕りは午前中。
帰ったらそのまま家に持ち込まない。
ピンポーンする事!
以前、そのまま持ち込んで、リビングの掃き出しの網戸にセミたちをくっつけて、びっちり網戸についたセミは上へ上へと登って行くのを楽しく見てた。
お母さんが悲鳴みたいな声でボクの名前を呼ぶまでは、セミたちもジジとか鳴いてたのに動きも声も何もかも止まってしまって。
ボクの楽しい気分も止まった。
物凄く怒られて、引き攣る顔で網戸を外してセミを逃して、掃除しながら、約束させられた。
『セミ捕り帰ったら、ピンポン。セミは持ち込まない!』
ノートとスマホを手にお母さんが出てきた。
「見て!!」
虫カゴを掲げて差し出す!
ヒッ!と変な声がした。
「見ました。いっぱいだね」
お母さんが笑おうとしてる。
頑張って見ようとしてくれてるけど、もっとちゃんと見てほしい!
無理してるのはボクでも分かるんだけどね。
もう! 女子はなんで虫嫌いなんだろ。
同じクラスのサキちゃんはバッタとかセミとか大丈夫だから、女子全部がダメって事じゃないのは分かってる。
ギチギチ…
見た目もギチギチだけど、音もギチギチいってる。
「擬音って本当に聴こえるのね……」
お母さんが呟いてる。
「お母さんだって、一匹ぐらいならね…」
お母さんがペンを握りしめて、キッパリ言った。
「さて、始めますか!」
庭の木陰に座ってカゴの蓋をちょっとズラす。
一匹ずつ取り出して種類とオスメスを言っていく。
チェックが終わったセミさんを側に置いてある木箱の上に。
今度は、二つくっついてるのが出てきた。
「くっついてる!」
困り顔のお母さん。
「カゴの中で出会ったのね。その台に置いてあげて」
木箱の上に置いた。
前に置いたセミが、カリカリ這っていくとブンと飛んでいく。
くっついてるのは、交尾が終わったら飛んでいくのかな。
ボクがくっつけたんだよ。
えーと、これってなんていったかな……。
前、女子が『きゅーぴっと』とかいうのが、恋人を出会わすって言ってた。
うん、多分ボクが『きゅーぴっと』ってヤツだね。
「コレ、オスとオスだ。くっついてるね」
「間違っちゃのかな」
なんかお母さん困ってる。
カエルみたいに背中に乗られて困ってるな。
しかし種類違うし、剥がすか。
「待って。脚もげたら生きるのが大変だから、自然に離れるまでそっと置いて」
木箱に置く。
そっか。くっついてるのはそっとしておくのか。
自然と離れるのね。
「はい、次!」
半分ぐらいになったけど、まだまだパンパンです。
次から次へと取り出して、種類とオスメスを言っていく。
お母さんは、正の字を書いて記録していく。
写真も撮ってくれる。
「バイバーイ! ありがとう!」
飛んでいったセミたちに手を振る。
「手を洗って。着替えもね。シャワーする? ジュースいる?」
「するぅ~、いるぅ~」
庭の木に止まってるのかな。
近所の木にも?
セミが大合唱だ!
明日もセミ捕りに行こう!
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