22 / 67
22. ザリガニ
しおりを挟む
夏の終わりごろ。また沢にきて、今度はザリガニ取りをすることにした。
「というわけで、今日は沢でザリガニを取ります」
「「はーい」」
ザリガニを取るのは初めてではない。
去年も一回ぐらい食べた気がする。
だから二人もその味は知っているはずだ。
夏服の涼しい格好で、沢に向かった。
「さあ、誰が一番多く捕まえられるかしらね」
「わわ、わたしが一番にゃん」
「さあどうだろうな。俺かもしれないし」
「「それはない」」
「えーなんで」
「ブランはこう見えて、あんまりすばしっこいの苦手にゃん」
そうだったのか俺。
まあ普通くらいかな、俺の運動神経は。
こうしてザリガニ素手掴み合戦が始まった。
今日はちょっと固めの籠を持ってきているので、それに取れたザリガニを入れていく。
「取れたにゃああ」
最初に取ったのはリズだった。
「ま、負けないわ」
そこにドロシーの魂に火が付いた模様。
「あはは、取れたわ」
ドロシーが今度は一匹目を手に取って、持ち上げる。けっこうでかい。
俺もたまにザリガニが取れて、そこそこの数を揃えることができた。
沢の水はそれなりに澄んでいて、泥抜きとかもしなくても泥臭くない。
これが池とか沼だとかなり臭うのを俺は知っている。
だからあまり食欲湧かないのだけど、味は一級品だ。
特にこの山の中で、海のエビとか食べられるわけもないので、貴重な機会だ。
「いっぱいと~れ~た~♪」
「にゃんにゃがにゃ~♪」
ドロシーとリズは結局どっちが勝ったか分からないけど、勝利の歌を二人で歌い、お互いほめ合っていた。
ケンカにならなくてよかった。
家に帰り、塩茹でにしてもらう。
塩はベルガル王国では一部の領土が海に面しているので、そこまで貴重ではない。
俺たちのいるマーリング辺境伯領は海に面していないから、ちょっとだけ他の領よりは値段が高いらしい。
それでも塩茹でするぐらいは大丈夫だ。
ザリガニの茹でるいい匂いが漂ってくる。エビみたいな感じしかしない。
そう、どう見てもエビ。匂いもエビ。
ただハサミがついてるぐらいなもんだ。あとは殻が固い。
日本人としては、若干ザリガニに忌避感あるんだけど、この美味しそうな匂いの前には、そんなもの吹き飛んでしまう。
茹で上がりのザリガニは赤いいい色をしていた。
「「「いただきます」」」
ザリガニは、みんなのお昼ご飯になった。
ぷちパーティーみたいな感じ。
俺ブラン、両親のゴードン、ナターシャ。ドロシーの両親のバドル、メーラ。そしてリズとカエラばあちゃん。
みんな集合して、ザリガニをいただいた。
ザリガニは取りつくすほどではない。繁殖力がすごいらしく、一年で数はすぐ回復するらしい。
エビみたいな甘みと旨味がすごい。これは美味しい。
「おいしーです」
「おいしいにゃ」
みんな、殻を剥いてザリガニをいただいた。
夏野菜のサラダも一応、添えられている。
実験農場は大活躍で、秋収穫の麦以外の野菜類が大豊作で、おかずが増えていた。
この人数で食べるには、ザリガニ取りは年一回ぐらいが限度かなというところ。
もちろん川とか他の沢まで行けば、もっと取れるかもしれないけど、そこまでしようとはあまり思わない。
今度は何をしようかと考えて、タンポポコーヒーだけだと普段はお水ばかりだなと思い至った。
そこで、カエラばあさんに話を聞き、お茶になりそうな葉っぱを探すことにした。
「というわけで、タンポポコーヒーの代わりに、葉っぱを取りに行きます」
「「はーい」」
毎食、みんなの分だと結構な量がいる。
特に今は夏だけど、寒い冬の間は暖かいお茶っぽいものがあると喜ばれるだろう。
カエラばあちゃんとともに山に入っていく。
まだ暑い夏だけど、木陰なども多く、緑の葉っぱはたくさん生えている。
一種類ではなく、候補になる草は目星がついていて、いくつかあるので、それらを取って歩いた。
もう山登りも慣れてきた。子供の体力ではきついかなと思っていたけど、案外慣れるもんだな。
「この葉っぱだ」
「そうじゃな」
こうしてぷちぷち葉っぱを取って、背負い籠に入れていく。
「あったにゃ」
「こっちにもあったわ」
リズとドロシーも見つけて左右見える範囲で手分けして取っていく。
むろん、一か所で取り過ぎて全滅させないように気をつける。
古い葉っぱは固かったり、苦かったりしそうなので、取らないでおく。
「というわけで、今日は沢でザリガニを取ります」
「「はーい」」
ザリガニを取るのは初めてではない。
去年も一回ぐらい食べた気がする。
だから二人もその味は知っているはずだ。
夏服の涼しい格好で、沢に向かった。
「さあ、誰が一番多く捕まえられるかしらね」
「わわ、わたしが一番にゃん」
「さあどうだろうな。俺かもしれないし」
「「それはない」」
「えーなんで」
「ブランはこう見えて、あんまりすばしっこいの苦手にゃん」
そうだったのか俺。
まあ普通くらいかな、俺の運動神経は。
こうしてザリガニ素手掴み合戦が始まった。
今日はちょっと固めの籠を持ってきているので、それに取れたザリガニを入れていく。
「取れたにゃああ」
最初に取ったのはリズだった。
「ま、負けないわ」
そこにドロシーの魂に火が付いた模様。
「あはは、取れたわ」
ドロシーが今度は一匹目を手に取って、持ち上げる。けっこうでかい。
俺もたまにザリガニが取れて、そこそこの数を揃えることができた。
沢の水はそれなりに澄んでいて、泥抜きとかもしなくても泥臭くない。
これが池とか沼だとかなり臭うのを俺は知っている。
だからあまり食欲湧かないのだけど、味は一級品だ。
特にこの山の中で、海のエビとか食べられるわけもないので、貴重な機会だ。
「いっぱいと~れ~た~♪」
「にゃんにゃがにゃ~♪」
ドロシーとリズは結局どっちが勝ったか分からないけど、勝利の歌を二人で歌い、お互いほめ合っていた。
ケンカにならなくてよかった。
家に帰り、塩茹でにしてもらう。
塩はベルガル王国では一部の領土が海に面しているので、そこまで貴重ではない。
俺たちのいるマーリング辺境伯領は海に面していないから、ちょっとだけ他の領よりは値段が高いらしい。
それでも塩茹でするぐらいは大丈夫だ。
ザリガニの茹でるいい匂いが漂ってくる。エビみたいな感じしかしない。
そう、どう見てもエビ。匂いもエビ。
ただハサミがついてるぐらいなもんだ。あとは殻が固い。
日本人としては、若干ザリガニに忌避感あるんだけど、この美味しそうな匂いの前には、そんなもの吹き飛んでしまう。
茹で上がりのザリガニは赤いいい色をしていた。
「「「いただきます」」」
ザリガニは、みんなのお昼ご飯になった。
ぷちパーティーみたいな感じ。
俺ブラン、両親のゴードン、ナターシャ。ドロシーの両親のバドル、メーラ。そしてリズとカエラばあちゃん。
みんな集合して、ザリガニをいただいた。
ザリガニは取りつくすほどではない。繁殖力がすごいらしく、一年で数はすぐ回復するらしい。
エビみたいな甘みと旨味がすごい。これは美味しい。
「おいしーです」
「おいしいにゃ」
みんな、殻を剥いてザリガニをいただいた。
夏野菜のサラダも一応、添えられている。
実験農場は大活躍で、秋収穫の麦以外の野菜類が大豊作で、おかずが増えていた。
この人数で食べるには、ザリガニ取りは年一回ぐらいが限度かなというところ。
もちろん川とか他の沢まで行けば、もっと取れるかもしれないけど、そこまでしようとはあまり思わない。
今度は何をしようかと考えて、タンポポコーヒーだけだと普段はお水ばかりだなと思い至った。
そこで、カエラばあさんに話を聞き、お茶になりそうな葉っぱを探すことにした。
「というわけで、タンポポコーヒーの代わりに、葉っぱを取りに行きます」
「「はーい」」
毎食、みんなの分だと結構な量がいる。
特に今は夏だけど、寒い冬の間は暖かいお茶っぽいものがあると喜ばれるだろう。
カエラばあちゃんとともに山に入っていく。
まだ暑い夏だけど、木陰なども多く、緑の葉っぱはたくさん生えている。
一種類ではなく、候補になる草は目星がついていて、いくつかあるので、それらを取って歩いた。
もう山登りも慣れてきた。子供の体力ではきついかなと思っていたけど、案外慣れるもんだな。
「この葉っぱだ」
「そうじゃな」
こうしてぷちぷち葉っぱを取って、背負い籠に入れていく。
「あったにゃ」
「こっちにもあったわ」
リズとドロシーも見つけて左右見える範囲で手分けして取っていく。
むろん、一か所で取り過ぎて全滅させないように気をつける。
古い葉っぱは固かったり、苦かったりしそうなので、取らないでおく。
460
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
異世界転生特典『絶対安全領域(マイホーム)』~家の中にいれば神すら無効化、一歩も出ずに世界最強になりました~
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が転生時に願ったのは、たった一つ。「誰にも邪魔されず、絶対に安全な家で引きこもりたい!」
その切実な願いを聞き入れた神は、ユニークスキル『絶対安全領域(マイホーム)』を授けてくれた。この家の中にいれば、神の干渉すら無効化する究極の無敵空間だ!
「これで理想の怠惰な生活が送れる!」と喜んだのも束の間、追われる王女様が俺の庭に逃げ込んできて……? 面倒だが仕方なく、庭いじりのついでに追手を撃退したら、なぜかここが「聖域」だと勘違いされ、獣人の娘やエルフの学者まで押しかけてきた!
俺は家から出ずに快適なスローライフを送りたいだけなのに! 知らぬ間に世界を救う、無自覚最強の引きこもりファンタジー、開幕!
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる