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10 上級ハイポーションを作ろう
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やってきました。ポルポルンボン錬金術工房、その本店。
この町で一番由緒正しい大きな錬金術工房だ。
「あ、会長」
「会長、お疲れ様です」
「会長。これはこれは、おはようございます」
さすがにエルフは目立つ。みんな挨拶してくれる。しかも腰を折った本格的なやつで。
俺は若干、居心地悪いものの、テリア会長さんはずんずん中に入っていく。
しょうがないので俺もそれに続く。
そして店内を通過して、奥へ向かう。
倉庫っぽいところへ入ったと思ったら、すぐに出てきて、今度は立派な扉がある工房のほうへ行くようだ。
「職人衆を集めてくださいな。上級ハイポーションを作りますから」
「はっ、はい。すぐに集めます」
テリアが後を追ってきた店員のメイドさんに命令を出す。
他にも作業部屋がいくつかあり、錬金術師たちは、分かれて作業している。
それをこの立派な錬金部屋に集めるらしい。
すぐにぞろぞろと集まってくる。
「最近、あまり出番もなく、上級ハイポーションを作る機会もありませんでしたが、今日は材料のほうが手に入るため、作りたいと思います。見学したい人はどうぞ」
「お願いします」
「よろしく、お願いします」
「見学、お願いします」
一人も出ていかず、全員が見学していくようだった。
研究熱心なのは、悪くない。みんな職人の顔をしている。
「それじゃあ、アラリン。ハイルン草、出してね」
「ほいほい」
俺は偽装バッグ経由でアイテムボックスからハイルン草という高級薬草を出す。
「これがハイルン草……」
誰からともなく、声が漏れる。
あまりにも出回らないため、本職の錬金術師でも、見たことがない人も大勢いるということらしい。
ちなみにアイテムボックスは時間停止があるので、これは4年前に収穫したやつで、ちょっと古い。
村から誰かに渡して届けてもらうと三日は掛かり、その間に効果が著しく落ちて、意味がなくなる。
ハイルン草は環境をものすごく選ぶ植物の上、生育が悪く、収穫まで5年は掛かる。非常に入手性が悪い。
そのため、ハイルン草を材料にした上級ハイポーションは、ほとんど出回らない。
またこっちも高価だけど中級ハイポーションとかでも、部位欠損ぐらいなら治るので、だいたいの用は中級ハイポーションで足りる。
上級ハイポーションは、ほとんど死んでるような状態からも復活する、奇跡のポーションだけど、出番はあまりない。
ほとんど死んでる状況だと、ポーションが届く前に死んじゃったりするから、使い勝手も悪いというね。
「今日は、特別サービスでございます。なんと今なら、ハイルン草が、合計五つございます」
「「「おおおぉ」」」
思わず歓声が上がる。
俺も思わず「今ならなんと半額でご提供」みたいに、テレフォンショッピングしたくなってくる。
実をいえば全部で十株、持ってきているので、これでも半分しか出していない。
いつも予備は持っておく。転ばぬ先の杖、石橋を叩いて渡る。
普段は行き当たりばったりの俺だけど、そういう保険はしている。
「ハイルン草は見たことがあるが、こんなに大きい根っこは初めて見るな」
年配の錬金術師が呟いた。
ハイルン草は地球でいうなら、ワサビのようなもので、その根っこに効果がある。
葉っぱにもないことはないが、初級ハイポーションくらいの効果だと思う。
葉っぱは毎年生え変わり、根っこは5年を掛けて大きくなる。
栄養が良すぎるような場所では、3年ぐらいで花が咲いて枯れてしまう。
3年でも種は採れるがポーションにはならないので、ほぼ無価値だ。
だから種は思ったよりは簡単に入手できた。
育成法のヒントや情報を得るのには苦労した。
畑ではなく、木漏れ日の差す森の中で綺麗な湧き水とコケが生えるような場所を好むと突き止めて、なんとか栽培を成功させた。
ということで、都市であるナレリーナで育てるのは、無理そうだ。
俺はニートで大変暇だったので、なんとか研究できた。
この辺は林は多いが、深い森がない。
さすがポルポルンボン錬金術工房だけはある、他の上級ハイポーションの原材料は揃っていた。
ムラクロという猿型モンスターの土属性上級魔石。保存性は問題ないのだが、レア度がかなり高い。
ラメキメラの肝の塩漬け。モンスターとしても強く入手難易度が高い。ただし生息地はわかっているので、倒して持ってくることができれば入手はできる。保存性は一年ぐらい。
一通り材料を並べ、下処理を終わらせたテリアが俺のほうを向いて、頷いた。
「では、精霊水を出すからね」
これが一般人には無理難題の精霊水だ。
「水の精霊よ。我の元に。――テリア・ポルポルンボン、aues tour licre rai more becue」
水の精霊から得る精霊水。
すでに何を言っているか、わからない。
エルフ語ですらなく、古代からの精霊語だとかなんとか。
エルフや聖女クラスの人にしか成せない。精霊から直接、精霊の祝福した水を貰う。
それが精霊水だ。
普通に妖精とかに水を貰っても、それはただの非常に綺麗な水だったりする。
山奥の綺麗な泉とかにも精霊がいることがあるので、そういう場所で貰うことも可能ではあるが、まあ、この辺ではまず無理だろう。
せめてハーフエルフとかの同行も必要だと思う。
そして、俺には概要ぐらいしかわからない、錬金釜を使った錬成を経て、ここに十本の上級ハイポーションが出来上がった。
この町で一番由緒正しい大きな錬金術工房だ。
「あ、会長」
「会長、お疲れ様です」
「会長。これはこれは、おはようございます」
さすがにエルフは目立つ。みんな挨拶してくれる。しかも腰を折った本格的なやつで。
俺は若干、居心地悪いものの、テリア会長さんはずんずん中に入っていく。
しょうがないので俺もそれに続く。
そして店内を通過して、奥へ向かう。
倉庫っぽいところへ入ったと思ったら、すぐに出てきて、今度は立派な扉がある工房のほうへ行くようだ。
「職人衆を集めてくださいな。上級ハイポーションを作りますから」
「はっ、はい。すぐに集めます」
テリアが後を追ってきた店員のメイドさんに命令を出す。
他にも作業部屋がいくつかあり、錬金術師たちは、分かれて作業している。
それをこの立派な錬金部屋に集めるらしい。
すぐにぞろぞろと集まってくる。
「最近、あまり出番もなく、上級ハイポーションを作る機会もありませんでしたが、今日は材料のほうが手に入るため、作りたいと思います。見学したい人はどうぞ」
「お願いします」
「よろしく、お願いします」
「見学、お願いします」
一人も出ていかず、全員が見学していくようだった。
研究熱心なのは、悪くない。みんな職人の顔をしている。
「それじゃあ、アラリン。ハイルン草、出してね」
「ほいほい」
俺は偽装バッグ経由でアイテムボックスからハイルン草という高級薬草を出す。
「これがハイルン草……」
誰からともなく、声が漏れる。
あまりにも出回らないため、本職の錬金術師でも、見たことがない人も大勢いるということらしい。
ちなみにアイテムボックスは時間停止があるので、これは4年前に収穫したやつで、ちょっと古い。
村から誰かに渡して届けてもらうと三日は掛かり、その間に効果が著しく落ちて、意味がなくなる。
ハイルン草は環境をものすごく選ぶ植物の上、生育が悪く、収穫まで5年は掛かる。非常に入手性が悪い。
そのため、ハイルン草を材料にした上級ハイポーションは、ほとんど出回らない。
またこっちも高価だけど中級ハイポーションとかでも、部位欠損ぐらいなら治るので、だいたいの用は中級ハイポーションで足りる。
上級ハイポーションは、ほとんど死んでるような状態からも復活する、奇跡のポーションだけど、出番はあまりない。
ほとんど死んでる状況だと、ポーションが届く前に死んじゃったりするから、使い勝手も悪いというね。
「今日は、特別サービスでございます。なんと今なら、ハイルン草が、合計五つございます」
「「「おおおぉ」」」
思わず歓声が上がる。
俺も思わず「今ならなんと半額でご提供」みたいに、テレフォンショッピングしたくなってくる。
実をいえば全部で十株、持ってきているので、これでも半分しか出していない。
いつも予備は持っておく。転ばぬ先の杖、石橋を叩いて渡る。
普段は行き当たりばったりの俺だけど、そういう保険はしている。
「ハイルン草は見たことがあるが、こんなに大きい根っこは初めて見るな」
年配の錬金術師が呟いた。
ハイルン草は地球でいうなら、ワサビのようなもので、その根っこに効果がある。
葉っぱにもないことはないが、初級ハイポーションくらいの効果だと思う。
葉っぱは毎年生え変わり、根っこは5年を掛けて大きくなる。
栄養が良すぎるような場所では、3年ぐらいで花が咲いて枯れてしまう。
3年でも種は採れるがポーションにはならないので、ほぼ無価値だ。
だから種は思ったよりは簡単に入手できた。
育成法のヒントや情報を得るのには苦労した。
畑ではなく、木漏れ日の差す森の中で綺麗な湧き水とコケが生えるような場所を好むと突き止めて、なんとか栽培を成功させた。
ということで、都市であるナレリーナで育てるのは、無理そうだ。
俺はニートで大変暇だったので、なんとか研究できた。
この辺は林は多いが、深い森がない。
さすがポルポルンボン錬金術工房だけはある、他の上級ハイポーションの原材料は揃っていた。
ムラクロという猿型モンスターの土属性上級魔石。保存性は問題ないのだが、レア度がかなり高い。
ラメキメラの肝の塩漬け。モンスターとしても強く入手難易度が高い。ただし生息地はわかっているので、倒して持ってくることができれば入手はできる。保存性は一年ぐらい。
一通り材料を並べ、下処理を終わらせたテリアが俺のほうを向いて、頷いた。
「では、精霊水を出すからね」
これが一般人には無理難題の精霊水だ。
「水の精霊よ。我の元に。――テリア・ポルポルンボン、aues tour licre rai more becue」
水の精霊から得る精霊水。
すでに何を言っているか、わからない。
エルフ語ですらなく、古代からの精霊語だとかなんとか。
エルフや聖女クラスの人にしか成せない。精霊から直接、精霊の祝福した水を貰う。
それが精霊水だ。
普通に妖精とかに水を貰っても、それはただの非常に綺麗な水だったりする。
山奥の綺麗な泉とかにも精霊がいることがあるので、そういう場所で貰うことも可能ではあるが、まあ、この辺ではまず無理だろう。
せめてハーフエルフとかの同行も必要だと思う。
そして、俺には概要ぐらいしかわからない、錬金釜を使った錬成を経て、ここに十本の上級ハイポーションが出来上がった。
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