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第2話 ディメンジョン・イーター
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「はーい、今日は日本平ダンジョン三階、西地区にきておりま~す」
『なんじゃ、なんじゃ』
『地方勢か』
『思ったよりかわいいじゃん』
「はい、かわいいありがとうございます。ペコペコ」
かわいいと言っても格好は冒険者のそれだ。
たまに敵にも遭遇する。
緊張感を持って進んでいこう。
メガネ型端末の文字映像を確認しながらダンジョンを歩いていく。
配信のコメントも表示されるが、画像認識からのモンスター情報やダンジョン内地図など、冒険者側にも利点がある。
「ハイシープですね」
『羊かぁ』
『モンスターか』
羊型モンスターだ。なおこの種類の肉は毒に汚染されており食べられない。
肉が食用になるモンスターもいる。
えいやーとショート・ソードで戦闘を繰り広げる。
ハイシープをなんとか討伐し、さらに奥へ向かう。
僕たちはダンジョン攻略前、冒険者ギルド職員にマジック・バリアを施してもらっている。
これがだいたい五時間で切れる。
そのため、ダンジョン攻略のタイムリミットが一回五時間と決まっている。
このマジック・バリアはゴブリン・マジシャンのサンダーボルトなど、魔法攻撃の直撃を守ってくれる。
ゴブリン・マジシャンに遭遇する確率はそれほど高くないが、このダンジョンではかなりの脅威だ。
というか魔法攻撃そのものが多くの冒険者である前衛職にとってウィークポイントであることは事実だった。
そのマジック・バリアができる冒険者は本当に少なく、ほとんどがギルド職員として高給で雇われている人だ。
ダンジョンに潜る冒険者でマジック・バリアができる人もいないわけではないが、シルバー級だったりと、長時間奥まで潜る特殊なパーティーを組んでいることが多い。
それでそういう地位の人は奥まで行けるのでギルド職員よりもさらに収入が多いという。
自分にもそんな魔法が使えれば、一攫千金を目指せたのに、適性を魔道具で計ってもらったけど、結果は残念であった。
「さて、この三階、西地区には実は、とある一攫千金モンスターが出没することが有名で、多くのブロンズ冒険者が徘徊していますね。たまに支援とかもしてもらえるので、生存率が高く、人気のスポットとなっております」
残念ながら、ダンジョンは謎スポットというわけではなく、宝箱などは存在していない。
自然地形であり洞窟型で、内部にはヒカリゴケが生えていることが多いが、魔道具のヘッドライトを装備して潜るのが普通だ。
僕も頭にヘッドライトをつけている。この魔道具は周囲の魔力を吸収して光るダンジョン産の鉱石が使われていて、魔力が地上より濃いダンジョンではけっこう強く光る。電池が不要で破壊されない限り半永久的に使えるため、LEDライトや有機ELよりも、ダンジョンに向いていた。
「さて、通称『宝くじモンスター』いるといいですねぇ。いたら、当たりですから、絶対に逃がさないようにしたいで~す」
慎重に進んでいた、そのとき。
目の前に白い大型のネズミのようなモンスターが姿を現した。
「いました、この子こそが当たりクジ、ことディメンジョン・イーターです!」
ディメンジョン・イーターつまり次元食鼠だ。
「まって、いまやっつけて、あげますよ~」
「お姉さんは逃がさないよ~」
コメントもディメンジョン・イーター一色になっていた。
逃げていくディメンジョン・イーターを剣で必死に攻撃して、ついに倒した。
「やった! やりました」
『よくやった』
『今夜は焼肉だな』
『リオンちゃんお手柄』
『このモンスターなんでお宝なんだけ、初心者で済まぬ』
「それはですね。なんとディメンジョン・イーターの革はマジック・バッグのメイン素材になるんですよ」
『マジック・バッグかぁ~』
『あれ、超お高いとかいう』
『まじで金持ちじゃんか』
「えへへ、僕、お金持ちですぅ」
『そういえば、僕っ子だったな』
『かわいい』
カメラに向かってぴょんぴょん飛び跳ねる僕。
マジック・バッグといえば一千万円くらいか?
日本国内でまだ数百個くらいあるとかなんとか言われているレアアイテム。
流通業者はもちろん、倉庫にも便利で冒険者も喉から手が出るほど欲しいとされる魔道具だった。
「はい、では戻りましょう。今日はここまでで~す。ありがとうございました」
『ばいばい』
『今日はすごかったな』
『決定的瞬間に出会えてよかった』
『んじゃ、また』
配信を終了させ、ダンジョンをスキップしながら戻っていく。
ダンジョン内は魔力波通信で奥まで通信が可能だった。
もちろんギルドにも報告をしてある。
日本平ダンジョン入り口にある冒険者ギルド日本平支部。
「川口さん、そういえば女の子になったって本当なんですね」
「いやまぁ、こうして見られると恥ずかしい限りで」
「それでそれで、ディメンジョン・イーター討伐、おめでとうございます」
「ありがとう、山田さん」
この子は山田マリコさん。冒険者ギルド職員というか、いわゆる受付嬢だ。
頭には猫耳が生えていて、尻尾もある。かわいい。
髪の毛はピンク色である。
ダンジョンができてから、獣人種やエルフなども出現して、現代では普通にその辺にいる。
猫耳獣人さんはかわいいので受付嬢などによく採用されていた。
『なんじゃ、なんじゃ』
『地方勢か』
『思ったよりかわいいじゃん』
「はい、かわいいありがとうございます。ペコペコ」
かわいいと言っても格好は冒険者のそれだ。
たまに敵にも遭遇する。
緊張感を持って進んでいこう。
メガネ型端末の文字映像を確認しながらダンジョンを歩いていく。
配信のコメントも表示されるが、画像認識からのモンスター情報やダンジョン内地図など、冒険者側にも利点がある。
「ハイシープですね」
『羊かぁ』
『モンスターか』
羊型モンスターだ。なおこの種類の肉は毒に汚染されており食べられない。
肉が食用になるモンスターもいる。
えいやーとショート・ソードで戦闘を繰り広げる。
ハイシープをなんとか討伐し、さらに奥へ向かう。
僕たちはダンジョン攻略前、冒険者ギルド職員にマジック・バリアを施してもらっている。
これがだいたい五時間で切れる。
そのため、ダンジョン攻略のタイムリミットが一回五時間と決まっている。
このマジック・バリアはゴブリン・マジシャンのサンダーボルトなど、魔法攻撃の直撃を守ってくれる。
ゴブリン・マジシャンに遭遇する確率はそれほど高くないが、このダンジョンではかなりの脅威だ。
というか魔法攻撃そのものが多くの冒険者である前衛職にとってウィークポイントであることは事実だった。
そのマジック・バリアができる冒険者は本当に少なく、ほとんどがギルド職員として高給で雇われている人だ。
ダンジョンに潜る冒険者でマジック・バリアができる人もいないわけではないが、シルバー級だったりと、長時間奥まで潜る特殊なパーティーを組んでいることが多い。
それでそういう地位の人は奥まで行けるのでギルド職員よりもさらに収入が多いという。
自分にもそんな魔法が使えれば、一攫千金を目指せたのに、適性を魔道具で計ってもらったけど、結果は残念であった。
「さて、この三階、西地区には実は、とある一攫千金モンスターが出没することが有名で、多くのブロンズ冒険者が徘徊していますね。たまに支援とかもしてもらえるので、生存率が高く、人気のスポットとなっております」
残念ながら、ダンジョンは謎スポットというわけではなく、宝箱などは存在していない。
自然地形であり洞窟型で、内部にはヒカリゴケが生えていることが多いが、魔道具のヘッドライトを装備して潜るのが普通だ。
僕も頭にヘッドライトをつけている。この魔道具は周囲の魔力を吸収して光るダンジョン産の鉱石が使われていて、魔力が地上より濃いダンジョンではけっこう強く光る。電池が不要で破壊されない限り半永久的に使えるため、LEDライトや有機ELよりも、ダンジョンに向いていた。
「さて、通称『宝くじモンスター』いるといいですねぇ。いたら、当たりですから、絶対に逃がさないようにしたいで~す」
慎重に進んでいた、そのとき。
目の前に白い大型のネズミのようなモンスターが姿を現した。
「いました、この子こそが当たりクジ、ことディメンジョン・イーターです!」
ディメンジョン・イーターつまり次元食鼠だ。
「まって、いまやっつけて、あげますよ~」
「お姉さんは逃がさないよ~」
コメントもディメンジョン・イーター一色になっていた。
逃げていくディメンジョン・イーターを剣で必死に攻撃して、ついに倒した。
「やった! やりました」
『よくやった』
『今夜は焼肉だな』
『リオンちゃんお手柄』
『このモンスターなんでお宝なんだけ、初心者で済まぬ』
「それはですね。なんとディメンジョン・イーターの革はマジック・バッグのメイン素材になるんですよ」
『マジック・バッグかぁ~』
『あれ、超お高いとかいう』
『まじで金持ちじゃんか』
「えへへ、僕、お金持ちですぅ」
『そういえば、僕っ子だったな』
『かわいい』
カメラに向かってぴょんぴょん飛び跳ねる僕。
マジック・バッグといえば一千万円くらいか?
日本国内でまだ数百個くらいあるとかなんとか言われているレアアイテム。
流通業者はもちろん、倉庫にも便利で冒険者も喉から手が出るほど欲しいとされる魔道具だった。
「はい、では戻りましょう。今日はここまでで~す。ありがとうございました」
『ばいばい』
『今日はすごかったな』
『決定的瞬間に出会えてよかった』
『んじゃ、また』
配信を終了させ、ダンジョンをスキップしながら戻っていく。
ダンジョン内は魔力波通信で奥まで通信が可能だった。
もちろんギルドにも報告をしてある。
日本平ダンジョン入り口にある冒険者ギルド日本平支部。
「川口さん、そういえば女の子になったって本当なんですね」
「いやまぁ、こうして見られると恥ずかしい限りで」
「それでそれで、ディメンジョン・イーター討伐、おめでとうございます」
「ありがとう、山田さん」
この子は山田マリコさん。冒険者ギルド職員というか、いわゆる受付嬢だ。
頭には猫耳が生えていて、尻尾もある。かわいい。
髪の毛はピンク色である。
ダンジョンができてから、獣人種やエルフなども出現して、現代では普通にその辺にいる。
猫耳獣人さんはかわいいので受付嬢などによく採用されていた。
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