8 / 47
08
しおりを挟む
朝日を感じて目覚めると、ベルタはひとりだった。
アウリスが寝ていた場所はもう冷えている。昨日の今日なのにずいぶん早起きだ。
(妻に、なったんだった)
枕が二つ並ぶベッドの中でぼんやりと思う。
妻になった。それは同時にアウリスが言っていた解呪の条件を満たしたということになる。
――これでもう夢に悩まされることはないのだ。
そうと分かればだらだらしてはいられない。妻としてできることを探しに行かなければ。
「……よし」
気合を入れるつもりで勢いよく身を起こした。
寝室から自分の部屋へ向かうまでの廊下はとても静かだ。
この古城に来てまだ日は浅いが、ここで働く者がとても少ないことには既に気づいている。その少ない人数が大きな城を保っているのだから驚くべきことだ。
軽く風呂に入って着替えた後、ベルタは人を探しに食堂へ入った。以前会った侍女が広いテーブルを拭いている。
「おはようございます、奥様」
「おはよう。アウリスはもう行ってしまったの?」
「こちらにはまだいらっしゃっていませんよ。お忙しくなさっているみたいです」
「そう」
朝食も食べずに何をしているのだろう。
少し考えて、温室のことが頭に浮かぶ。
「なら、また後で来るわ」
「はい、分かりました」
侍女が頷く。そういえば、とベルタは尋ねる。
「あなたは食堂の担当なの?」
「いいえ。でもここが一番忙しいのでよくいます。この城では皆で仕事を分け合っているんです」
「そうなの。ありがとう。この機会にあなたの名前を聞いてもいいかしら?」
「ダーラです。よろしくおねがいします、奥様」
「ダーラね。こちらこそよろしく」
ベルタは食堂を出て温室へ向かった。古城は広いが複雑ではない。勘を頼りに廊下を抜け、すぐに目当てのホールを見つけた。
温室は朝日に照らされて水滴のように輝いていた。薔薇も暖かな日差しで生き生きとして見える。
そこに人はいない。
(じゃあ、書斎かしら)
ホールを後にしようとしたが、せっかくだから、とベルタは温室のガラスを覗いた。
白い薔薇で満ちている風景はアウリスが見せてくれた夢に似ている。だがよく見ると切られた茎がちらほらあった。アウリスが魔法の種にするために摘んだ跡だろう。
「奥様、おはようございます」
ベルタはびっくりして振り返った。そこにいたのは執事だ。
「お、おはよう」
「お入りにならないのですか」
「え……」
見れば、執事は手に大きなじょうろを持っている。
「入っていいのかしら」
「私に水やりをお任せになるくらいですから、お怒りにはならないでしょう」
それは執事自身の判断でしかないのだが、それほどに信用し合っているということだろう。
親と子ほどの歳だろうに、ダーラもこの執事もアウリスをよく敬っている。
「じゃあ、そうしてみるわ……」
「はい」
執事がガラスのドアを開けてくれる。ベルタはそっと足を踏み入れた。
「……あら?」
温かな空気には予想していたような香りがほとんどない。
後から入ってきた執事がドアを閉めながら言う。
「ここにあるのは特別な薔薇で、魔法を込めなければ香りを発しないそうです」
「そうだったの」
あの黒薔薇の強い香りを思い出す。魔法の強さによって香りの度合いも違ってくるのだろうか。
執事が仕事に取り掛かり始めた。ベルタはひとりで円形の温室を回る。
温室の中は薔薇が植わっている芝生の部分と通路とで分けられている。壁際と中央を薔薇が占めており、その間はタイルの床となっている。三重の円に似た形だ。
ドアの真向かいまで回ってきた時、ベルタは中央に茂る薔薇の足元に小さな蕾を見つけた。
まだ固く閉じた薔薇の蕾だ。他と違って背がとても低いが、どうしてなのかはベルタには分からなかった。
「奥様、水やりを代わっていただけないでしょうか」
妙な頼み事だ。ベルタは立ち上がる。
「どうかしたの?」
「そろそろご主人様がいらっしゃる気がします」
「そうなの?」
温室の外は静かだ。まだ足音も聞こえない。
「ですから、どうぞ」
「え、ええ」
ベルタはじょうろを押し付けられた。見た目に反して中身は大分少ない。
「失礼します」
執事が逃げるように去っていく。
もしかして若い新婚夫婦のために気を利かせてくれたのだろうか。
(そんな甘い仲じゃないのに……)
自分たちは恋愛結婚ではない。事情があって一緒になっただけだ。
アウリスのことは信頼している。妻として応えたいとも思う。だが、普通の夫婦のようにはできない。もしそこへ至ろうと思うなら、たくさんの時間が必要だろう。
もしも、の話だ。
アウリスはほどなくしてやってきた。
「ここにいたのか。お早う」
夫は昨日の疲れもなく爽やかだ。ベルタはその顔をあまり見れなかった。
「おはよう。忙しいそうね」
「少しだけな。……水をやっていたのか」
「ええ、でもほとんどは執事の方がやったのよ」
「メルヴィンか。そういえば頼んでいたな」
言いながら薔薇を見渡していたアウリスの目がふと止まる。あの蕾だ。
「あ、それ。その薔薇だけ種類が違うのかしら?」
アウリスは答えなかった。
蕾の前にしゃがんで地面を触ると、ベルタを見上げる。
「これにも水をやったのか」
「え……ええ」
アウリスの表情に厳しいところはなかったが、焦っているのは分かる。
「駄目……だったかしら」
「……いや。構わない」
本当にそうだろうか。
立ち上がったアウリスはもういつもの様子に戻っていたが、ベルタは釈然としなかった。
「勝手なことをしてごめんなさい」
「いいのだ。どうせ水はやらなければいけなかったから」
アウリスはじょうろを取り上げてドアのそばに置いた。二人は温室を出てホールの外へ向かう。
「それより、君の薔薇のことだが」
アウリスが振り返る。
「まだ枯れていなかった」
「……え?」
「来てくれ」
ベルタは慌ててその背を追った。
「ど、どうして? 条件は満たしたはずでしょう?」
「ああ。だが見落としていたことがあった」
「どういうこと? どうしてそんなことがあるの?」
不安と疑惑に駆られた声が大きくなる。
「私の魔法は感情と言葉で紡ぐものだ。解釈に時間がかかることもある」
「でも、あなたが作ったものじゃない!」
アウリスは押し黙った。
階段を上り、書斎に着く。
黒薔薇は城へやってきた日からアウリスが管理している。大きな本棚に囲まれた机の上で、黒薔薇は瓶の中で生き生きと咲いていた。
(どうして……!)
やり場のない感情で握った拳が震える。
「一つ、思いついたことがある」
背後でアウリスが言う。
「魔法を依頼された時、あの男は確かに『結婚すること』を解呪の条件にしろと言った。だが……」
「まさか、違うの?」
ぞっとして振り返る。アウリスは首を横に振った。
「私は他にもあの男の言葉を魔法に練り込んでいる。その中の『自分のものにしたい』という言葉が解呪条件を複雑にしているようだ。ものにする、というのは惚れさせたり手玉に取ったりすることを言うのだろう? ならば、君が相手に心酔する、という条件もありえてくる」
ベルタは頭を殴られたような衝撃を覚えた。
恐るべきザカリーの執念だ。だがもはや怯えなどなかった。
「あの人は馬鹿ね。わたしが惚れるわけないじゃない」
握った拳が怒りに震える。アウリスは目を瞬いた。
「ベルタ」
「だって、ひどいのよ! 強引に迫ったり、乱暴なことをしたり! 薔薇を渡してきた時だって」
ベルタは叫ぶのをやめた。頬をつままれたからだ。
アウリスが顔を覗き込んでくる。
「私なら、どうだ?」
紫色の瞳に自分が映った。それが近づいて、唇がそっと触れ合う。
身を離したアウリスは申し訳なさそうに微笑んでいる。
「すまない、ベルタ。私がうっかりしていたばかりに君を混乱させてしまった」
「……あ、いえ……」
「誓おう。解呪の条件はこれで出尽くした。夜明けから考えていたから確かだぞ」
「そ、そんな早くから……?」
アウリスはおかしそうに笑った。そのままケープをひるがえして歩き出す。
「朝食を食べに行こう」
「……ええ」
ベルタは呆然と脚を動かした。
唇の甘い感触を思い返しながら。
アウリスが寝ていた場所はもう冷えている。昨日の今日なのにずいぶん早起きだ。
(妻に、なったんだった)
枕が二つ並ぶベッドの中でぼんやりと思う。
妻になった。それは同時にアウリスが言っていた解呪の条件を満たしたということになる。
――これでもう夢に悩まされることはないのだ。
そうと分かればだらだらしてはいられない。妻としてできることを探しに行かなければ。
「……よし」
気合を入れるつもりで勢いよく身を起こした。
寝室から自分の部屋へ向かうまでの廊下はとても静かだ。
この古城に来てまだ日は浅いが、ここで働く者がとても少ないことには既に気づいている。その少ない人数が大きな城を保っているのだから驚くべきことだ。
軽く風呂に入って着替えた後、ベルタは人を探しに食堂へ入った。以前会った侍女が広いテーブルを拭いている。
「おはようございます、奥様」
「おはよう。アウリスはもう行ってしまったの?」
「こちらにはまだいらっしゃっていませんよ。お忙しくなさっているみたいです」
「そう」
朝食も食べずに何をしているのだろう。
少し考えて、温室のことが頭に浮かぶ。
「なら、また後で来るわ」
「はい、分かりました」
侍女が頷く。そういえば、とベルタは尋ねる。
「あなたは食堂の担当なの?」
「いいえ。でもここが一番忙しいのでよくいます。この城では皆で仕事を分け合っているんです」
「そうなの。ありがとう。この機会にあなたの名前を聞いてもいいかしら?」
「ダーラです。よろしくおねがいします、奥様」
「ダーラね。こちらこそよろしく」
ベルタは食堂を出て温室へ向かった。古城は広いが複雑ではない。勘を頼りに廊下を抜け、すぐに目当てのホールを見つけた。
温室は朝日に照らされて水滴のように輝いていた。薔薇も暖かな日差しで生き生きとして見える。
そこに人はいない。
(じゃあ、書斎かしら)
ホールを後にしようとしたが、せっかくだから、とベルタは温室のガラスを覗いた。
白い薔薇で満ちている風景はアウリスが見せてくれた夢に似ている。だがよく見ると切られた茎がちらほらあった。アウリスが魔法の種にするために摘んだ跡だろう。
「奥様、おはようございます」
ベルタはびっくりして振り返った。そこにいたのは執事だ。
「お、おはよう」
「お入りにならないのですか」
「え……」
見れば、執事は手に大きなじょうろを持っている。
「入っていいのかしら」
「私に水やりをお任せになるくらいですから、お怒りにはならないでしょう」
それは執事自身の判断でしかないのだが、それほどに信用し合っているということだろう。
親と子ほどの歳だろうに、ダーラもこの執事もアウリスをよく敬っている。
「じゃあ、そうしてみるわ……」
「はい」
執事がガラスのドアを開けてくれる。ベルタはそっと足を踏み入れた。
「……あら?」
温かな空気には予想していたような香りがほとんどない。
後から入ってきた執事がドアを閉めながら言う。
「ここにあるのは特別な薔薇で、魔法を込めなければ香りを発しないそうです」
「そうだったの」
あの黒薔薇の強い香りを思い出す。魔法の強さによって香りの度合いも違ってくるのだろうか。
執事が仕事に取り掛かり始めた。ベルタはひとりで円形の温室を回る。
温室の中は薔薇が植わっている芝生の部分と通路とで分けられている。壁際と中央を薔薇が占めており、その間はタイルの床となっている。三重の円に似た形だ。
ドアの真向かいまで回ってきた時、ベルタは中央に茂る薔薇の足元に小さな蕾を見つけた。
まだ固く閉じた薔薇の蕾だ。他と違って背がとても低いが、どうしてなのかはベルタには分からなかった。
「奥様、水やりを代わっていただけないでしょうか」
妙な頼み事だ。ベルタは立ち上がる。
「どうかしたの?」
「そろそろご主人様がいらっしゃる気がします」
「そうなの?」
温室の外は静かだ。まだ足音も聞こえない。
「ですから、どうぞ」
「え、ええ」
ベルタはじょうろを押し付けられた。見た目に反して中身は大分少ない。
「失礼します」
執事が逃げるように去っていく。
もしかして若い新婚夫婦のために気を利かせてくれたのだろうか。
(そんな甘い仲じゃないのに……)
自分たちは恋愛結婚ではない。事情があって一緒になっただけだ。
アウリスのことは信頼している。妻として応えたいとも思う。だが、普通の夫婦のようにはできない。もしそこへ至ろうと思うなら、たくさんの時間が必要だろう。
もしも、の話だ。
アウリスはほどなくしてやってきた。
「ここにいたのか。お早う」
夫は昨日の疲れもなく爽やかだ。ベルタはその顔をあまり見れなかった。
「おはよう。忙しいそうね」
「少しだけな。……水をやっていたのか」
「ええ、でもほとんどは執事の方がやったのよ」
「メルヴィンか。そういえば頼んでいたな」
言いながら薔薇を見渡していたアウリスの目がふと止まる。あの蕾だ。
「あ、それ。その薔薇だけ種類が違うのかしら?」
アウリスは答えなかった。
蕾の前にしゃがんで地面を触ると、ベルタを見上げる。
「これにも水をやったのか」
「え……ええ」
アウリスの表情に厳しいところはなかったが、焦っているのは分かる。
「駄目……だったかしら」
「……いや。構わない」
本当にそうだろうか。
立ち上がったアウリスはもういつもの様子に戻っていたが、ベルタは釈然としなかった。
「勝手なことをしてごめんなさい」
「いいのだ。どうせ水はやらなければいけなかったから」
アウリスはじょうろを取り上げてドアのそばに置いた。二人は温室を出てホールの外へ向かう。
「それより、君の薔薇のことだが」
アウリスが振り返る。
「まだ枯れていなかった」
「……え?」
「来てくれ」
ベルタは慌ててその背を追った。
「ど、どうして? 条件は満たしたはずでしょう?」
「ああ。だが見落としていたことがあった」
「どういうこと? どうしてそんなことがあるの?」
不安と疑惑に駆られた声が大きくなる。
「私の魔法は感情と言葉で紡ぐものだ。解釈に時間がかかることもある」
「でも、あなたが作ったものじゃない!」
アウリスは押し黙った。
階段を上り、書斎に着く。
黒薔薇は城へやってきた日からアウリスが管理している。大きな本棚に囲まれた机の上で、黒薔薇は瓶の中で生き生きと咲いていた。
(どうして……!)
やり場のない感情で握った拳が震える。
「一つ、思いついたことがある」
背後でアウリスが言う。
「魔法を依頼された時、あの男は確かに『結婚すること』を解呪の条件にしろと言った。だが……」
「まさか、違うの?」
ぞっとして振り返る。アウリスは首を横に振った。
「私は他にもあの男の言葉を魔法に練り込んでいる。その中の『自分のものにしたい』という言葉が解呪条件を複雑にしているようだ。ものにする、というのは惚れさせたり手玉に取ったりすることを言うのだろう? ならば、君が相手に心酔する、という条件もありえてくる」
ベルタは頭を殴られたような衝撃を覚えた。
恐るべきザカリーの執念だ。だがもはや怯えなどなかった。
「あの人は馬鹿ね。わたしが惚れるわけないじゃない」
握った拳が怒りに震える。アウリスは目を瞬いた。
「ベルタ」
「だって、ひどいのよ! 強引に迫ったり、乱暴なことをしたり! 薔薇を渡してきた時だって」
ベルタは叫ぶのをやめた。頬をつままれたからだ。
アウリスが顔を覗き込んでくる。
「私なら、どうだ?」
紫色の瞳に自分が映った。それが近づいて、唇がそっと触れ合う。
身を離したアウリスは申し訳なさそうに微笑んでいる。
「すまない、ベルタ。私がうっかりしていたばかりに君を混乱させてしまった」
「……あ、いえ……」
「誓おう。解呪の条件はこれで出尽くした。夜明けから考えていたから確かだぞ」
「そ、そんな早くから……?」
アウリスはおかしそうに笑った。そのままケープをひるがえして歩き出す。
「朝食を食べに行こう」
「……ええ」
ベルタは呆然と脚を動かした。
唇の甘い感触を思い返しながら。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
俺様御曹司は十二歳年上妻に生涯の愛を誓う
ラヴ KAZU
恋愛
藤城美希 三十八歳独身
大学卒業後入社した鏑木建設会社で16年間経理部にて勤めている。
会社では若い女性社員に囲まれて、お局様状態。
彼氏も、結婚を予定している相手もいない。
そんな美希の前に現れたのが、俺様御曹司鏑木蓮
「明日から俺の秘書な、よろしく」
経理部の美希は蓮の秘書を命じられた。
鏑木 蓮 二十六歳独身
鏑木建設会社社長 バイク事故を起こし美希に命を救われる。
親の脛をかじって生きてきた蓮はこの出来事で人生が大きく動き出す。
社長と秘書の関係のはずが、蓮は事あるごとに愛を囁き溺愛が始まる。
蓮の言うことが信じられなかった美希の気持ちに変化が......
望月 楓 二十六歳独身
蓮とは大学の時からの付き合いで、かれこれ八年になる。
密かに美希に惚れていた。
蓮と違い、奨学金で大学へ行き、実家は農家をしており苦労して育った。
蓮を忘れさせる為に麗子に近づいた。
「麗子、俺を好きになれ」
美希への気持ちが冷めぬまま麗子と結婚したが、徐々に麗子への気持ちに変化が現れる。
面倒見の良い頼れる存在である。
藤城美希は三十八歳独身。大学卒業後、入社した会社で十六年間経理部で働いている。
彼氏も、結婚を予定している相手もいない。
そんな時、俺様御曹司鏑木蓮二十六歳が現れた。
社長就任挨拶の日、美希に「明日から俺の秘書なよろしく」と告げた。
社長と秘書の関係のはずが、蓮は美希に愛を囁く
実は蓮と美希は初対面ではない、その事実に美希は気づかなかった。
そして蓮は美希に驚きの事を言う、それは......
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
姉の婚約者の公爵令息は、この関係を終わらせない
七転び八起き
恋愛
伯爵令嬢のユミリアと、姉の婚約者の公爵令息カリウスの禁断のラブロマンス。
主人公のユミリアは、友人のソフィアと行った秘密の夜会で、姉の婚約者のカウリスと再会する。
カウリスの秘密を知ったユミリアは、だんだんと彼に日常を侵食され始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる