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思いがけない侮辱に拳を握る。
冷静でいなければいけない。決して気圧されないように。
「自分が何をやってるのか分かってる?」
「何を、だと? お前こそ自分が何をやったのか自覚すべきだろ?」
理性的な話が通じるのだろうか。疑いはあったがベルタは続ける。
「あなたはロシュメール伯爵の住まいに侵入して、所有物を傷つけたのよ。裁判に出てもらうわ」
「裁判?」
嘲笑が床を這った。
「ああ分かった分かった。そういうことにしておく。じゃ、今は何をやるんだ?」
「朝までおとなしくしていてもらうわ。鍵のかかる部屋はたくさんあるから」
「お前が俺をどうにかすると? そのへんの塵みたいに?」
「人を苛立たせようとするのはやめて。道はわたしが教えるから先を歩くのよ」
ベルタはクロークの下から右手を差し向けた。ぎらりと光ったのは手芸用の鋏の鋭い切っ先だ。
だが、ザカリーは怯みもしなかった。
「一人で健気に立ち向かえば英雄になれるとでも思ってるのか?」
「黙って。反対を向いて」
「嫌だね。ここまでやってやったんだ……まずはお前を裁くのが先だ!」
振り上げられた拳がドアのガラスを突き破った。
耳をつんざくような音がホール中に響き渡る。身を縮こまらせている間に、ザカリーは温室の中に掛けてあった園芸用の大きな鋏を握った。
血を滴らせる手が鉄製の重たい鋏をくるりと回す。
「ザカリー……それを置いて」
ジャキジャキと刃が開閉する。思わず後ずさると嗤い声が立った。
「馬鹿な女だ! ここまで逃げてくれば安全だと思ったんだろ? だが罪は決してお前を忘れない! 俺の全てを奪ったお前を、俺は……忘れない!」
「あ……!」
素早く踏み込まれ、ベルタの手から鋏が弾け飛ぶ。
ザカリーがにじり寄ってくる分だけベルタも後ずさった。開いた瞳孔が深淵のように、瞬きもせず見つめてくる。
「お前のせいで人生が滅茶苦茶だ。終わったんだよ! 会社が潰れたのも、家から追い出されたのも! お前が俺を傷つけて大金を使わせたからだ! 俺はお前のせいで破滅したんだよ!」
ベルタは必死に首を横に振った。その態度がザカリーの憤怒へ余計に油を注ぐ。
「なんだよその目は……俺が邪魔なのか? 憎んでるのかよ? これは自分で招いたことだぞ、ベルタ? お前があの男と結婚するからだぞ……?」
「か……関係ないでしょう、アウリスは……」
「アウリス! アウリス・アラステア・ラルカン! どこにいるんだよお前の夫は? お前に悪夢を見させておきながら治療を嘯いてお前を抱く男は! おい、あの男は夢以上に満足させてくれるのか? 物足りてるのかよ、ベルタ!」
「っ黙りなさい!」
ホールが一瞬静まり返る。
ザカリーは笑った。ベルタは言葉にできないほどの怒りで息を荒げていた。
「ベルタ、あいつと別れて俺と結婚しろよ。今なら許してやるから」
再び叫びたくなりそうな自分を抑えるため、ベルタは少し瞑目した。
「……勝手なことを言うのはもうやめて。伯爵と皆の前で自分がしたことを告白するのよ。ザカリー、自分の罪を認めて」
「ッこの……淫売がぁ!」
ザカリーは鋏を振り上げた。
いつか来るだろうと予想していた瞬間だったのに、ベルタは身が竦んで動けなかった。
目が合ってしまったのだ――自分への殺意、そのものと。
甲高い悲鳴が響き、咄嗟に目を閉じた。
「……っ!」
とん、と体が軽く揺らぐ。それから身を包む温もりと微かな薔薇の香り。
(あ……)
目を開けると、ザカリーが腕をつかみ上げられていた。
立ちふさがった者の姿にザカリーは目をむく。
「き、貴様……ッ!」
アウリスはベルタを庇いながら片腕で鋏を押さえていた。そこへ体重をかけられ、拮抗していた力が傾き始める。
「くっ……」
「アウリス様!」
走り込んできたメルヴィンがザカリーに組み付いた。
ザカリーは鋏を奪い落とされ、がむしゃらに暴れる。
「離せっ……離せぇっ!」
三人の男が取っ組み合う。ベルタは駆け寄ってきたダーラによって壁際へ遠ざけられた。
「何か縛るものがないと!」
「ここに」
ダーラは腕に縄の束を持っていた。
力尽きたザカリーが床に押さえ込まれた。ベルタたちは縄を持ってゆき、侵入者が拘束されるのを見下ろした。
「地下倉庫に入れておこう……私がやる」
メルヴィンはどさくさの中で殴られ、口の端から血を滲ませていた。
歩幅を制限するため足にも縄を掛けられたザカリーは、アウリスに手綱を握られてホールを出ていく。
ベルタはメルヴィンとダーラへ駆け寄った。
「ごめんなさい、メルヴィン。ダーラも、こんな騒ぎになって……」
「奥様」
咎めるようなダーラの声に一瞬身をこわばらせる。
「どうしてこんな無茶をしたのですか! 私たちが間に合っていなかったら……!」
「ダーラ……」
メルヴィンが手振りで遮ると、ダーラは顔を歪めて抱きついてきた。
相当な心配をかけてしまったようだ。震える肩をベルタも抱き返す。
「ごめんなさい。助けてくれてありがとう」
「また、そうやって……気丈に振る舞って!」
「……誰かを頼ったら、盾にすることになっちゃうもの。そんなのは嫌だったの」
ダーラの身を離し、メルヴィンへ向く。
「わたしとアウリスを助けてくれてありがとう。あなたの勇気を忘れないわ」
「ならば、お願いがあります」
「聞くわ」
「もうアウリス様をお一人にしないでください」
その言葉に、何かの光景が一瞬頭をよぎった気がした。
「そうするわ。本当にありがとう」
ベルタは急いでアウリスの後を追った。
ザカリーは使っていない地下倉庫に入れられた。扉は古いが、縛られた者にどうにかできるほど華奢ではない。
短い階段の踊り場にベルタが飛び込んだ時、ザカリーはもう封じられた後だった。
「明日処遇を決める。それまでは元気でいてくれ」
外からアウリスが声を掛けると、体当たりでもしたのか、錠をかけられた扉がガタガタと揺れた。
「貴様! この詐欺師め! 俺の金を返せ!」
アウリスがこちらに気づき、ニヤリと笑う。
「なぜだ? 要望通りの魔法を作っただろう?」
「このっ……貴様があの女と結婚してどうするんだッ! あの女は、俺の、ものだ!」
魔術卿は哄笑を響かせた。
「馬鹿な男だ、魔術師に希望を乞うとは……まあこれで勉強になったろう?」
沈黙が返され、アウリスは踵を返そうとした。
「貴様の呪いを知ってるぞ!!」
足が止まる。
「貴様は破滅そのものだ! 今にその女のことも――」
喚き声は階段を上る靴音に紛れた。
階段を隔てるドアを閉めるとザカリーの声はもう聞こえない。アウリスはベルタの手を握って歩き出した。
「君が無事で良かった」
「……ありがとう、アウリス。ごめんなさい」
「いい。昼間から様子が変だった上に、一人で部屋から出ていった時は驚いたが、君のことは分かっているつもりだ」
ベルタは思わず立ち止まった。
「あなたに彼と会ってほしくなかったの……それだけなのよ」
「分かっている。君が一人で行かざるを得なかったのは私のせいだ」
「え……?」
ベルタは目を瞠った。紫色の瞳が悔恨に揺らいでいる。
「すまなかった。一人きりにして、怖い思いをさせてしまった」
「……アウリス……?」
上げられた手が他人行儀な動きで頭を撫でる。
「彼が言ったことを聞いただろう。私が呪われていると」
「そんなの……苦し紛れに言ったのよ」
「いいや。本当のことだ」
ベルタは呆然とアウリスを見上げた。その、あまりにも悲しい顔を。
「私は、この城に囚われているのだ」
声は恐れに震えていた。
冷静でいなければいけない。決して気圧されないように。
「自分が何をやってるのか分かってる?」
「何を、だと? お前こそ自分が何をやったのか自覚すべきだろ?」
理性的な話が通じるのだろうか。疑いはあったがベルタは続ける。
「あなたはロシュメール伯爵の住まいに侵入して、所有物を傷つけたのよ。裁判に出てもらうわ」
「裁判?」
嘲笑が床を這った。
「ああ分かった分かった。そういうことにしておく。じゃ、今は何をやるんだ?」
「朝までおとなしくしていてもらうわ。鍵のかかる部屋はたくさんあるから」
「お前が俺をどうにかすると? そのへんの塵みたいに?」
「人を苛立たせようとするのはやめて。道はわたしが教えるから先を歩くのよ」
ベルタはクロークの下から右手を差し向けた。ぎらりと光ったのは手芸用の鋏の鋭い切っ先だ。
だが、ザカリーは怯みもしなかった。
「一人で健気に立ち向かえば英雄になれるとでも思ってるのか?」
「黙って。反対を向いて」
「嫌だね。ここまでやってやったんだ……まずはお前を裁くのが先だ!」
振り上げられた拳がドアのガラスを突き破った。
耳をつんざくような音がホール中に響き渡る。身を縮こまらせている間に、ザカリーは温室の中に掛けてあった園芸用の大きな鋏を握った。
血を滴らせる手が鉄製の重たい鋏をくるりと回す。
「ザカリー……それを置いて」
ジャキジャキと刃が開閉する。思わず後ずさると嗤い声が立った。
「馬鹿な女だ! ここまで逃げてくれば安全だと思ったんだろ? だが罪は決してお前を忘れない! 俺の全てを奪ったお前を、俺は……忘れない!」
「あ……!」
素早く踏み込まれ、ベルタの手から鋏が弾け飛ぶ。
ザカリーがにじり寄ってくる分だけベルタも後ずさった。開いた瞳孔が深淵のように、瞬きもせず見つめてくる。
「お前のせいで人生が滅茶苦茶だ。終わったんだよ! 会社が潰れたのも、家から追い出されたのも! お前が俺を傷つけて大金を使わせたからだ! 俺はお前のせいで破滅したんだよ!」
ベルタは必死に首を横に振った。その態度がザカリーの憤怒へ余計に油を注ぐ。
「なんだよその目は……俺が邪魔なのか? 憎んでるのかよ? これは自分で招いたことだぞ、ベルタ? お前があの男と結婚するからだぞ……?」
「か……関係ないでしょう、アウリスは……」
「アウリス! アウリス・アラステア・ラルカン! どこにいるんだよお前の夫は? お前に悪夢を見させておきながら治療を嘯いてお前を抱く男は! おい、あの男は夢以上に満足させてくれるのか? 物足りてるのかよ、ベルタ!」
「っ黙りなさい!」
ホールが一瞬静まり返る。
ザカリーは笑った。ベルタは言葉にできないほどの怒りで息を荒げていた。
「ベルタ、あいつと別れて俺と結婚しろよ。今なら許してやるから」
再び叫びたくなりそうな自分を抑えるため、ベルタは少し瞑目した。
「……勝手なことを言うのはもうやめて。伯爵と皆の前で自分がしたことを告白するのよ。ザカリー、自分の罪を認めて」
「ッこの……淫売がぁ!」
ザカリーは鋏を振り上げた。
いつか来るだろうと予想していた瞬間だったのに、ベルタは身が竦んで動けなかった。
目が合ってしまったのだ――自分への殺意、そのものと。
甲高い悲鳴が響き、咄嗟に目を閉じた。
「……っ!」
とん、と体が軽く揺らぐ。それから身を包む温もりと微かな薔薇の香り。
(あ……)
目を開けると、ザカリーが腕をつかみ上げられていた。
立ちふさがった者の姿にザカリーは目をむく。
「き、貴様……ッ!」
アウリスはベルタを庇いながら片腕で鋏を押さえていた。そこへ体重をかけられ、拮抗していた力が傾き始める。
「くっ……」
「アウリス様!」
走り込んできたメルヴィンがザカリーに組み付いた。
ザカリーは鋏を奪い落とされ、がむしゃらに暴れる。
「離せっ……離せぇっ!」
三人の男が取っ組み合う。ベルタは駆け寄ってきたダーラによって壁際へ遠ざけられた。
「何か縛るものがないと!」
「ここに」
ダーラは腕に縄の束を持っていた。
力尽きたザカリーが床に押さえ込まれた。ベルタたちは縄を持ってゆき、侵入者が拘束されるのを見下ろした。
「地下倉庫に入れておこう……私がやる」
メルヴィンはどさくさの中で殴られ、口の端から血を滲ませていた。
歩幅を制限するため足にも縄を掛けられたザカリーは、アウリスに手綱を握られてホールを出ていく。
ベルタはメルヴィンとダーラへ駆け寄った。
「ごめんなさい、メルヴィン。ダーラも、こんな騒ぎになって……」
「奥様」
咎めるようなダーラの声に一瞬身をこわばらせる。
「どうしてこんな無茶をしたのですか! 私たちが間に合っていなかったら……!」
「ダーラ……」
メルヴィンが手振りで遮ると、ダーラは顔を歪めて抱きついてきた。
相当な心配をかけてしまったようだ。震える肩をベルタも抱き返す。
「ごめんなさい。助けてくれてありがとう」
「また、そうやって……気丈に振る舞って!」
「……誰かを頼ったら、盾にすることになっちゃうもの。そんなのは嫌だったの」
ダーラの身を離し、メルヴィンへ向く。
「わたしとアウリスを助けてくれてありがとう。あなたの勇気を忘れないわ」
「ならば、お願いがあります」
「聞くわ」
「もうアウリス様をお一人にしないでください」
その言葉に、何かの光景が一瞬頭をよぎった気がした。
「そうするわ。本当にありがとう」
ベルタは急いでアウリスの後を追った。
ザカリーは使っていない地下倉庫に入れられた。扉は古いが、縛られた者にどうにかできるほど華奢ではない。
短い階段の踊り場にベルタが飛び込んだ時、ザカリーはもう封じられた後だった。
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アウリスがこちらに気づき、ニヤリと笑う。
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魔術卿は哄笑を響かせた。
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沈黙が返され、アウリスは踵を返そうとした。
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足が止まる。
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喚き声は階段を上る靴音に紛れた。
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「……ありがとう、アウリス。ごめんなさい」
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ベルタは思わず立ち止まった。
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「分かっている。君が一人で行かざるを得なかったのは私のせいだ」
「え……?」
ベルタは目を瞠った。紫色の瞳が悔恨に揺らいでいる。
「すまなかった。一人きりにして、怖い思いをさせてしまった」
「……アウリス……?」
上げられた手が他人行儀な動きで頭を撫でる。
「彼が言ったことを聞いただろう。私が呪われていると」
「そんなの……苦し紛れに言ったのよ」
「いいや。本当のことだ」
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