チタニアの王后たち

ryuuza

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【第1章 崩壊する地球の人類文明】

チタニアの王后たち 第3話

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それから約10年が経った。
幸之介王は立派に成長し、20歳になっていた。
体格も父、隼人そのものだった。
幸之介は大人になるにつれ、自分の性癖を自覚するようになった。

10年前、チタニアに帰還して以来、王としての品位を保つため、さらに、ずっと母親に会えなかった弟、勇希のため、母西山準には殆ど甘えなかった。
その代わり、弟の勇希は母、西山にベッタリだった。
それを横目で見ながら幸之介は思春期を過ぎた。
人間であれば、10歳過ぎた辺りから親に対する反抗期を経験するが、幸之介を含む元冥王星人は、生まれた年に10歳として数えるため、冥王星人には反抗期と言うものがなかったのである。
その母への恋慕からか、幸之介は父隼人にも増して乳首フェチになっていった。
さらに幸之介は自分が完全タチであることも自覚していた。
特に母、西山準に似た年上の男に対して、興味を持ち始めていた。

チタニア帰還から10年、西山準は38歳、父望月享は41歳になっていた。
西山の垂簾聴政は幸之介が18歳になるまでと言う決まりだったが、幸之介王の強い要望で現在も続いていた。
幸之介が母、西山準に

「母上、お願いがございます」

と言って部屋に入ってきた。

「何ですか?主上」

「私も今年20歳になりました。そろそろ嫁を探さなくてはいけません」

「幸之介、母はお前に決まった人を押し付ける気はない。安心しろ」

「いいえ、そうではなく、私が地球に行って自分の目で将来の王后を探して来たいのです」

「地球から王后を迎えたいと思っているの?」

「はい、隼人父上がそうしたように、私も地球で探したいのです。
私に半年間の時間をください。
きっとチタニアを引っ張っていく、母上に負けない王后を探してまいります」

「享はどう思う?」

『最近、地球はあまりいい噂を聞かない。
子供の頃、ヒーローハウスに居た頃の地球が懐かしいのかもしれないが、がっかりしなきゃいいがな』

「チタニア星は、この10年間で飛躍的に成長し、いまや200万人を越えるチタニア人が住み、宇宙連合での発言権も増し、地球の保護はSuperHero星の独占ではなくなっている」

「すべて母上のご手腕でございます」

「もう1回、地球に行って修行をしてくるのもいいかもしれない、ね、享」

『カーキを供に連れて行くなら許可しよう』

「ありがとうございます。父上、母上」




10年前、LGBTで騒いでいた地球。
パリ五輪も散々だったが、それ以降の五輪も拍車をかけて無茶苦茶になっていた。
言論統制が強化され、国境はなくなりかけていた。
一部の大富豪が世界を牛耳っていたのは10年前もそうだったが、もう一部の支配層は、それを隠そうともしていなかった。
世界秩序はそれぞれの国の独自文化を破壊し、富裕層の思うままになっていた。
性的にも一部が大勢を搾取する世の中になっていた。
地球の人類の文明は高度になる前に、滅びの道を進んでいる状態だった。

そんな中、チタニア王幸之介は地球に降り立った。
地球の保護は、宇宙連合の常任理事星だったSuperHero星の専権事項ではなくなっていた。
宇宙連合に復帰したチタニアが常任理事星制度を破棄させたからだった。
地球は、SuperHero星やチタニア星を代表とする銀河系の高度文明星の共同保護に変わっていた。
チタニア星の摂政、西山準は、地球に出没する怪獣を、出没する前に倒す能力を発揮し、そのため、地球には異星人の襲来はなくなった。
地球防衛軍は解体され、連合国軍に吸収された。
西山は、どんなに地球が混乱しようが、地球は地球人に任せるべきとの指針を各星に守らせ、それぞれの星が求める地球人は、各地球人個人の命が尽きる直前に、本人の了承を得たうえで、それぞれの星が保護する以外は認めなくなった。

これにより、SuperHero星の地球への影響力は落ち、怪獣も出現しないので、SuperHeroもいなくなった。
青木小太郎はSuperHeroではなくなり、一地球人、日本人として生きていた。
伊川は父の薦めの政治家を断り、連合国軍日本支部で働いていた。
小太郎も聖也も同じであった。
地球上に実質、民主主義はなくなっていた。
大体「自由民主主義」自体が人間が生み出した幻だった。
そのようなものが真の意味で地球上に存在したことはなかった。
一部の支配層が大多数の人間を支配する体制が、この10年間で完成していた。

「酷いもんだな、カーキ。人間の醜い姿が自らの文明を破壊しようとしている」

{それでも地球人のすることに手を出すなと言う母上の忠告にございます、王様}
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