チタニアの王后たち

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【第24章 世子争いの兆し】

チタニアの王后たち 第93話

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生母と分かれて暮らすことになった第1王后古野義人の長男、海斗、第3王后尾崎豪の長男、翔太、第5王后中井勝彦の長男、幸太は王宮内に、それぞれ個室を与えられた。
3人には部屋係も付けられ、海斗には佑馬、翔太には瑠偉、幸太には秋也が付けられた。

チタニア王国の庶民の子供は11歳から小学校に通うように法で定められていた。
保育園や幼稚園はなかった。
子供の幼児教育は親の責任であり、義務化されていた。
と言ってもチタニア人の年齢は産まれたときに10歳として数えるため、家庭での幼児教育は最長で約1年間だった。
そのため、受けの親には子供が11歳になるまでの約1年間、働かなくてもいいように国から給与が支払われていた。
育児も重要な仕事と位置付けられていたのである。
さらに、幼児教育を放棄した者には厳罰が下された。

しかし、王家の子供たちは公教育は受けなかった。
王宮内に専用の教育部があり、それぞれの親の元で11歳まで教育された後、タチの子は独立し、また、受けの子は生母の元から教育部に通った。
教育部の生徒は、王族だけでなく、重臣の中から選ばれた子供たちも数名いた。
合計で10名程度の人数で教育が行われた。

教育部の長官は、チタニア王国が建国されて以来、上王望月享だった。
現在のチタニアの教育制度自体を整備したのも望月享だった。

チタニア王宮内に4月中旬、建国以来初めて王立小学部が開校となった。
生徒は5名の王后の長男と宮本純太の長男、宮本壮、林勇希の長男、林秀俊と次男、前田浩司と他の重臣の子2名の10名が選ばれた。
通常の授業は10名で行われるが、帝王学の授業は、世子候補である3人だけの授業であった。

この授業は、王室の長老であり、教育部長官であり、王立小学部学長である望月享自らが教えた。
この日の課題は「王の跡継ぎとしての心構え」についてだった。

望月享上王が

『3人に問う。チタニア王の跡継ぎとしての心構えで、一番重要なのは何だと思うか?』

と古野海斗、尾崎翔太、中井幸太の3人に聞いた。

第1王后古野義人の長男、海斗は

「まだよく分かりませんが、父上がいつもおっしゃっている、国民の幸せを第一に考える、と言うことではないかと思います」

と答えた。享上王は

『うむ。それは大事なことだな。翔太はどうだ?』

第3王后尾崎豪の長男、翔太は

「母上から、王になるため、常日頃から自分自身を諫め、精進するように仰せつかっております。国を治めるためには、自らの努力から始めるべきだと考えます」

と答えた。享上王は

『うむ。良い心がけだな。ただ翔太、あまり気負わないようにな』

翔太は

「かしこまりました」

と堂々と答えた。

『幸太はどう思っているか?』

と享上王が聞くと

「爺様、僕は、海斗様をお助けせよと母から言われているので、よく分かりません」

と答えた。

翔太が

「幸太、公の席で爺様と呼ぶのは失礼だ。上王様と呼べよ」

と言うと、幸太は目に涙を浮かべて泣き出した。
すぐに海斗が幸太の傍に来て

「幸太、泣かなくていいぞ。幸太は何も悪くないぞ」

と庇った。
翔太は、そんな海斗と幸太を、冷ややかな目で見ていた。




その日の夜、望月享上王は寝室で、西山準大后に

『今日、初めて3人に帝王学の授業をしたが、3人の性格がよく分かった授業だったよ』

「まだまだ3人共子供だから、享、お手柔らかにね」

『でもな、準。
世子が決まっていないことは、子供たちにも影響するということを痛感したよ』

「どういうこと?享」

『海斗は別にして、翔太と幸太に、同じように帝王学を教えていいものかどうか、少し迷ってしまったよ。
腹違いではあるが、兄弟同士が争うのは見たくないからな』

西山準も頷きながら

「俺の時は王后が俺だけだったんで、そんなこと考えもしなかったけど、それぞれ子供たちの性格も違うし、考えてみたら、ほんと、そうだよね。
享の悩みがよく分かるよ」

『準、ほんとに分かってるか?
俺は、平和なチタニアが続いてほしいと願っているだけだ。
準や幸之介のように秀でた王の時代が続くとは限らないものだ。
もっと安定した政治のシステムを確立して、王家に、特に王に負担がかかり過ぎない体制を作っていかなきゃいけないと思うぞ』

「確かに享の言う通りだ。
でも、世子選びも上手くいかないのに、どうすればいいか、頭が痛いよ。
大体、幸之介が淫乱過ぎるんだ。王后を5人も選びやがって」

『おいおい、準は、それ、言えないと思うぞ。
一番淫乱なのは準じゃないか』

「享ったら、もう!昔のことは言わないでよ。
最近は、享一筋だろ?」

『準、それ、仕方ないから俺だけと寝てるんだろ?分かってるぞ。
いやいや、準が俺を愛してくれているのは分かってるけど、内心では、大后じゃなかったら、他の男とも乱れたいんだろ?
責めてるんじゃないぞ、誤解しないでくれな』

「怒るよ、享」

そうは言ったものの、それは図星だった。

望月享上王は、西山準と幸之介のふしだらな淫乱さが、国を滅ぼすのではないかと心の奥では嫌な予感がしていた。
しかし、それは大多数のホモの特性でもあった。
男だけの星「チタニア」
その存在自体が非常識なのであった。
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