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原作でのヒロインは、ウェーブのかかった焦げ茶色の髪に、グリーンの大きな瞳。そして、愛らしい笑顔。
誰にでも優しい聖女のような女性。
──こんなに早く遭遇するとは。
原作では、クラスに入った所でヒロインとぶつかり、ヒロインを罵る。
そこに偶然殿下が通りかかり、ヒロインを罵る場面を目撃される。
この時から、殿下のミレーナに対する態度が冷たくなっていくのだ。
「あの、セルヴィロ様?」
「ああ、ごめんなさい。私の事はミレーナと気軽に呼んでください」
「では私の事も、カナリヤとお呼びください」
「ではお言葉に甘えて、カナリヤと呼ばせていただきます」
「はい!ミレーナ様!」
あぁ、とても愛らしい笑顔。
ヒロインは得だね。
それに比べて私は……。
「ミレーナ様!式が始まってしまいます!」
「大変!カナリヤ、急ぎましょう」
※
「セルヴィロ嬢!」
無事に式が終わり、カナリヤと教室に向かう途中、聞き覚えのある声に呼び止められた。
「殿下?」
「ああ、久しいな。おや?そちらのご令嬢は?」
早速目をつけたな。
出会い方は違うが、殿下とヒロインが結ばれる原作は変わらないようだ。
「私、カナリヤ・フォンターナと申します」
「先程、裏庭でお会いしまして」
「裏庭?そんなとこで何をしていた?」
「あっ、私がちょっと他の方達と揉めていた所を、ミレーナ様に助けていただいたのです」
「なに!?セルヴィロ嬢、怪我などしなかったか!?」
「そんなヤワには出来ておりません。それに、私が一般の学生如きに負かされるとでも?」
実は、兄様と爺やに体術も教わっていた。
前世で黒帯を取得していたから、体術は割と早くミレーナの身体でも覚えれた。
「そうは言っても、貴方は女性ですよ!?危険な場面に遭遇したら、まず衛兵を呼んでください」
呼びに行ってる間に何かあったらどうする?
私は頭で考えるより、行動派なんだ。
「……善処します」
まっ、ここは大人しく返事するに限る。
「アレン!」
「……カルロか」
カルロ?……カルロ・アルデガニ!?
隣国の第三王子ではないか!?
「おや?このお嬢さん方は?」
「あぁ。こちらはセルヴィロ嬢とフォンターナ嬢だ」
「初めまして、ミレーナ・セルヴィロと申します」
「私はカナリヤ・フォンターナです」
「よろしく、可愛らしいお嬢さん方。私はカルロ・アルデガニです」
──やっぱり、第三王子か。
実は、この小説の中で一番好きな人物がカルロだったりする。
この男一見軽そうに見えるが、実は芯がしっかりした男だ。
──それに、とんでもなく強い。
誰にでも優しい聖女のような女性。
──こんなに早く遭遇するとは。
原作では、クラスに入った所でヒロインとぶつかり、ヒロインを罵る。
そこに偶然殿下が通りかかり、ヒロインを罵る場面を目撃される。
この時から、殿下のミレーナに対する態度が冷たくなっていくのだ。
「あの、セルヴィロ様?」
「ああ、ごめんなさい。私の事はミレーナと気軽に呼んでください」
「では私の事も、カナリヤとお呼びください」
「ではお言葉に甘えて、カナリヤと呼ばせていただきます」
「はい!ミレーナ様!」
あぁ、とても愛らしい笑顔。
ヒロインは得だね。
それに比べて私は……。
「ミレーナ様!式が始まってしまいます!」
「大変!カナリヤ、急ぎましょう」
※
「セルヴィロ嬢!」
無事に式が終わり、カナリヤと教室に向かう途中、聞き覚えのある声に呼び止められた。
「殿下?」
「ああ、久しいな。おや?そちらのご令嬢は?」
早速目をつけたな。
出会い方は違うが、殿下とヒロインが結ばれる原作は変わらないようだ。
「私、カナリヤ・フォンターナと申します」
「先程、裏庭でお会いしまして」
「裏庭?そんなとこで何をしていた?」
「あっ、私がちょっと他の方達と揉めていた所を、ミレーナ様に助けていただいたのです」
「なに!?セルヴィロ嬢、怪我などしなかったか!?」
「そんなヤワには出来ておりません。それに、私が一般の学生如きに負かされるとでも?」
実は、兄様と爺やに体術も教わっていた。
前世で黒帯を取得していたから、体術は割と早くミレーナの身体でも覚えれた。
「そうは言っても、貴方は女性ですよ!?危険な場面に遭遇したら、まず衛兵を呼んでください」
呼びに行ってる間に何かあったらどうする?
私は頭で考えるより、行動派なんだ。
「……善処します」
まっ、ここは大人しく返事するに限る。
「アレン!」
「……カルロか」
カルロ?……カルロ・アルデガニ!?
隣国の第三王子ではないか!?
「おや?このお嬢さん方は?」
「あぁ。こちらはセルヴィロ嬢とフォンターナ嬢だ」
「初めまして、ミレーナ・セルヴィロと申します」
「私はカナリヤ・フォンターナです」
「よろしく、可愛らしいお嬢さん方。私はカルロ・アルデガニです」
──やっぱり、第三王子か。
実は、この小説の中で一番好きな人物がカルロだったりする。
この男一見軽そうに見えるが、実は芯がしっかりした男だ。
──それに、とんでもなく強い。
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