申し訳ないけど、悪役令嬢から足を洗らわせてもらうよ!

甘寧

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学園が休みの昼下がり。
兄様は王宮に父様の手伝いに出かけた。
屋敷には私とソニア……使用人達もいるけどな。
エリオは相変わらず、情報収集に勤しんでいるが、有力な情報は入ってこない。

コンコン

「ミレーナ様、急ぎの書簡が届いております」

「ありがとう……兄様からね」

至急、王宮に来て欲しい?
訳が書かれていない。兄様はいつもなぜ来て欲しいか、訳を書いてくるはず。

──罠か?

しかし、兄様の字に間違いない。
どういうことだ?まさか、グル?そんなはずはない、あの溺愛ぶりは変わりない。
……考えても仕方ない。行くだけ行ってみるか。
罠なら嵌ってやるだけさ。

「兄様が王宮に来て欲しいみたい。馬車の用意をお願い」

「かしこまりました」



「この森はいつ通っても不気味ですね」

サラと一緒に馬車に乗り、王宮に向かうところだ。
途中、森を通らなければ王宮にはつかない。
この森は、あまり日の当たりが良くないから、いつも薄暗い。
急いで通りすぎようと、御者が馬車を走らせている。

パンッ!!

銃声と共に馬車が急に止まった。

「ミレーナ様!!大丈夫ですか!?」

「ええ。外を見てくるわ」

「いけません!危険です!」

サラの言葉を無視して、馬車の扉を開く。
従者は頭を撃ち抜かれて、その場に倒れていた。
剣を持ってきて正解だったよ。
でも、この服装じゃ動きにくいね。

ビリビリビリビリ

スカートを膝上まで割き、破り捨てた。
よし、足が出て動きやすくなった。
さてさて、どこから登場するんだい?

パンッ!!

銃弾が顔を掠めたが、そんなもの気にしない。

──あっちか!!

木の上で、銃を持った奴を見つけた。
その木の付近まで近づき剣を男目掛けてなげると、剣が男の額に命中。男は木から落ちた。
男の持っていた銃を見てみると、銃弾がまだ入ってる。
これはまだ使える。イイもん拾ったよ。
ふふっ。懐かしい握り具合だ。また使う日が来るとはね。

パンパンパンッ!!

まだいたか!!
んっ!!?

ガチンッ!!

銃声に、気を取られてきた所で男が後ろから斬りかかってきた。

「……派手な歓迎ありがとね」

「はん、令嬢の癖になかなかの腕前だ。普通はビビるんだがな?」

「場数踏んでるからね、慣れっこだよ」

「おかしな令嬢様だ!」

カキン!ガチンッ!!

「終いだ!!」

ガッチーン!!!

男の剣を打ち落とした。

「さて、あんたらの親分を聞こうか?」

パンパンッ!!

男の首に剣を突きつけると、背後から銃声が再び鳴り響き、足を掠めた。
忘れてた!もう一人いたんだった!

パンパン!!

「うるさいね!!当たらない弾を撃つんじゃない!!撃つんならちゃんと撃て!!こうやって……!」

パンッ!!

木の上にいた奴を一発で仕留めた。
懐かしい感触。よかった、腕は訛ってなかったか。

「お前、本当に令嬢か!?」

「ああ、残念なことにな……さて、続きを聞こうか?」

再び剣を構え、男の元に近づこうとしたが……

「ミレーナ様!!」

ガチン!!

横から新たな男が現れたが、咄嗟の出来事に反応に遅れた。
そこにサラが二つの小刀を手にして、男の剣を受け止めてくれた。

「大丈夫ですか!?」

「サラ、あなた、剣が使えるの!?」

サラが男を蹴り飛ばし、私の元へやって来た。
まさか、護ろうとしていた人に護られた。

「黙っていてすみません。実は私、暗躍部隊出身なんです」

「えっ!?」

これは、驚いた。
どうりでエリオが出てこない訳だ。
エリオは知っていたな。

「ミレーナ様、今はその話は一旦置いときましょう」

「そうだね」

なんか、森の奥からぞろぞろ出てきたねぇ。
そして、一番前にいるのが今回の黒幕かい?
その正体は……。


ああ。そうか、お前が黒幕。


──ソニア、やはりお前か。


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