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俺の親父は、暗躍部隊の隊長だった。
その為、俺は幼い頃から部隊に入るための訓練を受けていた。
親父のような、立派な暗躍者になろうと精一杯頑張った。
その結果、無事に暗躍部隊に入隊できた。
しかし、いざ入隊してみると自分の思ってたものとは違った。
人を騙し、裏切ってでも情報を集める。それが例え親友や家族であっても。
人に尊敬されると思っていた仕事が、人から恨みを買う仕事だった。
こんな事をする為に入隊した訳ではないのに……。
親父も俺たちを騙していたのか?
そんな疑心暗鬼の中、一人の女と出会った。
「あなた、覇気がないわね」
「は?」
その女は、サラと名乗った。
サラに自分が思っていることを、素直に話してみた。
「ふ~ん。じゃ辞めれば?」
「えっ?」
「恨みを買うのが嫌なんでしょ?なら、辞めればいいじゃない。この仕事はね、人から恨みを買うかもしれないけど、私は誇りに思ってやっているの。その仕事をバカにする様な奴は仲間にいらないわ」
なんなんだ、この女は。
人がこんなに悩んでいるのに、辞めろの一言かよ!
「まあ、あなたの言ってることも分かるわよ?でもね、考えてみて。恨みを買うばかりだった?違うわよね?」
ああ。確かに、仕事をこなせば陛下に感謝される。
騙してるのが分かってて、わざと騙されてくれる奴もいた。
友人を裏切ることになった時も、そいつは笑って許してくれた。
「どう?」
「……恨まれない……こともある」
それに敵に追われて山小屋に駆け込んだ時、婆さんが見知らずの俺を匿ってくれた。明らかに追われてるのが丸わかりで、自分も襲われるかもしれないのに、俺を置いてくれた。
そんな優しい人達に、救われていると今、気付かされた。
「ふふ、その気持ちを忘れない事ね」
それがサラとの出会いだった。
その後、サラとはよくコンビを組んだりして、それなりに楽しくやっていたが、ある日突然サラが部隊を辞めると言い出した。
「どうゆう事だ!?」
「私は、あるお嬢様の元へ行くの」
意味がわからない!なぜサラが、わざわざ令嬢ごときの為に辞めなければならない!?
「どうせ、そのお嬢様のわがままなんだろ!?そんなの断れよ!」
「……違うわ。これは、私の意思なの。私がお嬢様……ミレーナ様のお世話をしたいのよ」
ミレーナ様!?誰だ!?
「エリオはまだ、大切な人が見つかっていないのね?……いい、エリオ。自分の人生をかけてでも、護りたいと想う人を見つけなさい。そうすれば、私の気持ちがわかるわ」
この言葉を最後に、サラは部隊を辞めていった。
そして、数年後。
殿下の影を任されていた俺は、忘れかけていたミレーナと言う名を聞くことになった。
──サラが辞めるきっかけとなった令嬢。
その令嬢の護衛に付けと殿下に言われたが、正直な所やりたくはなかった。
サラは、ああ言っていたがどうせ我儘なお嬢様だろうと思っていた。
だか実際会ってみたら、他の令嬢とは全然違った。
危険な場面でも、自分がギリギリになるまで手を出すなと言う。
それを殿下も承知する。
どうなってる?令嬢だろ?令嬢なんか悲鳴をあげて、逃げる事しか出来ないのに……。
そんな考えが間違っていると気づいたのは、ソニアとの一戦だ。
ミレーナ様は令嬢らしからぬ動きで、次々に敵を仕留めていく。的確に。
でも、所詮は令嬢。体力の限界が来たんだろう。後ろの男に動けずにいる。やっと、俺の出番。
それでも、ミレーナ様は最後の力を振り絞って、俺達と戦った。
こんな令嬢見たことない!
そうか、サラはこんな無茶をするこのお嬢様を自分の監視下に置いておきたいんだ。
そうか。そうだったのか。
俺も、見ていたい。このお嬢様の生き様を。
──サラの気持ちがわかった気がする。
その為、俺は幼い頃から部隊に入るための訓練を受けていた。
親父のような、立派な暗躍者になろうと精一杯頑張った。
その結果、無事に暗躍部隊に入隊できた。
しかし、いざ入隊してみると自分の思ってたものとは違った。
人を騙し、裏切ってでも情報を集める。それが例え親友や家族であっても。
人に尊敬されると思っていた仕事が、人から恨みを買う仕事だった。
こんな事をする為に入隊した訳ではないのに……。
親父も俺たちを騙していたのか?
そんな疑心暗鬼の中、一人の女と出会った。
「あなた、覇気がないわね」
「は?」
その女は、サラと名乗った。
サラに自分が思っていることを、素直に話してみた。
「ふ~ん。じゃ辞めれば?」
「えっ?」
「恨みを買うのが嫌なんでしょ?なら、辞めればいいじゃない。この仕事はね、人から恨みを買うかもしれないけど、私は誇りに思ってやっているの。その仕事をバカにする様な奴は仲間にいらないわ」
なんなんだ、この女は。
人がこんなに悩んでいるのに、辞めろの一言かよ!
「まあ、あなたの言ってることも分かるわよ?でもね、考えてみて。恨みを買うばかりだった?違うわよね?」
ああ。確かに、仕事をこなせば陛下に感謝される。
騙してるのが分かってて、わざと騙されてくれる奴もいた。
友人を裏切ることになった時も、そいつは笑って許してくれた。
「どう?」
「……恨まれない……こともある」
それに敵に追われて山小屋に駆け込んだ時、婆さんが見知らずの俺を匿ってくれた。明らかに追われてるのが丸わかりで、自分も襲われるかもしれないのに、俺を置いてくれた。
そんな優しい人達に、救われていると今、気付かされた。
「ふふ、その気持ちを忘れない事ね」
それがサラとの出会いだった。
その後、サラとはよくコンビを組んだりして、それなりに楽しくやっていたが、ある日突然サラが部隊を辞めると言い出した。
「どうゆう事だ!?」
「私は、あるお嬢様の元へ行くの」
意味がわからない!なぜサラが、わざわざ令嬢ごときの為に辞めなければならない!?
「どうせ、そのお嬢様のわがままなんだろ!?そんなの断れよ!」
「……違うわ。これは、私の意思なの。私がお嬢様……ミレーナ様のお世話をしたいのよ」
ミレーナ様!?誰だ!?
「エリオはまだ、大切な人が見つかっていないのね?……いい、エリオ。自分の人生をかけてでも、護りたいと想う人を見つけなさい。そうすれば、私の気持ちがわかるわ」
この言葉を最後に、サラは部隊を辞めていった。
そして、数年後。
殿下の影を任されていた俺は、忘れかけていたミレーナと言う名を聞くことになった。
──サラが辞めるきっかけとなった令嬢。
その令嬢の護衛に付けと殿下に言われたが、正直な所やりたくはなかった。
サラは、ああ言っていたがどうせ我儘なお嬢様だろうと思っていた。
だか実際会ってみたら、他の令嬢とは全然違った。
危険な場面でも、自分がギリギリになるまで手を出すなと言う。
それを殿下も承知する。
どうなってる?令嬢だろ?令嬢なんか悲鳴をあげて、逃げる事しか出来ないのに……。
そんな考えが間違っていると気づいたのは、ソニアとの一戦だ。
ミレーナ様は令嬢らしからぬ動きで、次々に敵を仕留めていく。的確に。
でも、所詮は令嬢。体力の限界が来たんだろう。後ろの男に動けずにいる。やっと、俺の出番。
それでも、ミレーナ様は最後の力を振り絞って、俺達と戦った。
こんな令嬢見たことない!
そうか、サラはこんな無茶をするこのお嬢様を自分の監視下に置いておきたいんだ。
そうか。そうだったのか。
俺も、見ていたい。このお嬢様の生き様を。
──サラの気持ちがわかった気がする。
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