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それにしても視界が悪い。
これはただの煙じゃないね?
煙幕か?

ガキーン!!

「まったく、こんな小細工しないと勝てないのかい?」

横から剣が振り下ろされ、それを剣で受ける。
顔は覆面をしてて分からないが、体格からして女か!?

「お前さんの目的はなんだ?」

「ふっ、お前などに教えることは何一つない」

やはり女。
しかし、動きは一流。舐めてかかったら殺られるね。

「そうかい……。じゃ、力ずくで聞くことにするよ!!」

受けている剣を大きく振りかぶる。
咄嗟に女は後ろに飛んだ。
煙幕にも慣れてきた。これならいける!!
助走を付け、女に剣を突きつける。

カキン!!ガチン!!

──この女、中々できるね。

しばらく打ち合いが続いたが、女の動きが鈍くなった。
……限界かね?
そして隙を見つけ、女の剣を手から飛ばす。

「ゲームオーバーだ」

その場に座りこんだ女に剣を向ける。
しかし、女は余裕の表情。
なんだ?

シュッ!!

急に振りかぶされた剣に反応が遅れ、剣を持った腕を掠めた。
しかし、思った以上に傷が深いのか血が止まらない。
振り向いて見れば、また違う奴が剣を片手に立っていた。

「おやおや、お次は誰だい?」

参ったね、上手く腕に力が入らない。
こいつは男か?
さすがにまずそうだ。

「俺の剣を良く避けたな。片腕取る予定だったんだがな」

「そりゃ困るね。まだまだ使用中なんでね」

「安心しろ、ちゃんと片腕付けたままであの世に送ってやるからな!」

キーーン!!

男が思いっきり剣を下ろすが、何とか受け止めた。
これはキツいね。もう一度は無理そうだ。

「ははははは!しんどそうじゃないか!」

「……そう見えるかい?」

久しぶりに冷や汗をかいてる。

「これで最後だ!!」

男が私目掛けて剣を下ろす……が、

ガチーーン!!!

「なっ!!?」

目の前で剣を受けたのはジルベルトだった。

「ミレーナ!大丈夫か!?」

後ろからアレンとカルロも駆けつける。
その後ろからカナリヤとダンテの姿も見える。
おいおい!避難はどうした!?

「ジルベルト!殺すなよ!」

「くそ!!おい!!撤収だ!!」

「逃がすな!!」

女を担ぎ、この場から逃げようとする男がカルロの連れてきた騎士達に囲まれるが余裕の表情。
案の定、騎士達の頭上を飛んで逃げようとした。

──逃げられる!!

そう思った時、私の横を凄い勢いでエリオが走り抜け、男を取り押さえた。
おいおい、いいとこ取りじゃないかい?

「くそ!!離せ!!俺はこんな所で終わる男じゃないんだよ!!」

男は暴れ騒いでいるが、女は大人しく従っている。
そんな女の覆面をカルロがおもむろに取った。
その瞬間、急に女が慌てだした。
なるほど、顔を見られたくなかったのか……。
しかし、そんな悪い顔はしていない。
むしろ上等だ。

「あなたは……!!」

カルロには見覚えのある顔らしい。
そりゃ見られたくないわな。
女は顔を伏せ、騎士達に連れてかれた。

──関係は後で聞くとするか。

そんな事を思っていると、カナリヤが駆け寄ってきて、腕の傷を痛々しそうに見る。

「ミレーナ様!!血が!!」

今にも泣きそうな顔をしていたから、頭を撫で落ち着かせた。

「大丈夫だよ。カルロが救護班を呼んでくれたからね」

にしても、カルロを狙わず私を狙ったってことは黒幕疑惑が浸透しつつあるって事か?

──勘弁してくれ!!

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