5 / 15
一夜明けて
「ふぁぁ~…」
大きなあくびをしながら伸びをすれば、朝が来たなと実感できる。
「……………」
ボーとしながら、窓の外を眺めた。カラッと晴れた爽やかな朝。元気よく飛び回る鳥たち。そして、思い出す、昨夜の恥ずかしい記憶の数々……
ボボボボッと一瞬で全身真っ赤に染まる。
羞恥心で顔を覆い、穴があったら埋まりたいぐらいの気持ちで一杯だが、身体は異様に軽くてスッキリしている。こんなに清々しい気分で目が覚めたのはいつぶりだろう。
昨晩を思い返してみても、反省はするが後悔はない。
成り行きとはいえ、これでレウルェとの契約は完遂。リディアはめでたく自由の身。
子供に父親を聞かれた時には答えに困るが、それはそれ。おいおい考えればいい。
「気を取り直して、お風呂にでも…」
ベッドから降りようとした時に、ふと、自分の足に目がいった。そこには、まだしっかりと契約印が刻まれている。
「は?」
***
「ちょっと!!どうなってんの!?騙したのね!!」
朝食もそこそこにリディアはレウルェの元を訪れ、顔を見るなり怒鳴りつけた。
「なんじゃ、藪から棒に」
「なんじゃじゃないわよ!!この契約印!!消えないじゃない!!」
いつものように寝転びながら気だるそうに言われ、リディアは恥じらいなど何処吹く風で、大胆にもスカートを捲り上げて見せつけながら昨晩の事を話して聞かせた。
「あんたが望むようにしてやったのよ!?なのに消えないってどういう事よ!!」
リディアの怒りは収まることを知らない。
「ふむ……そなた、胎に子種を注いだか?」
「え?そんなの当然…………あれ?」
レウルェに冷静に指摘され、よく思い出してみる。……が、途中からの記憶がない。
『熱を冷ますだけ』
そう男が言っていたのは覚えてる。
「我が見る限り、そなたはまだ生娘だぞ?」
「そ、そんなはずない!!」
……と思う。
正直、記憶があやふやで、断言出来るかと聞かれたら言葉に詰まる。
「その男は熱を冷ますだけと言ったのじゃろ?最後までするとは公言しとらん」
「あれ……?」
リディアはだんだんと不安になってきた。
「熱を放出するだけならいくらでもやりようがある。ケツの青いそなたには分からぬやもしれぬがな」
馬鹿にする様に笑われて、リディアは恥ずかしさと悔しさで顔を真っ赤にして体を震わせている。
「まあ、相手が見つかっただけでも上出来じゃ。次は上手くやれ」
他人事のように、しれっと言われた。
(誰のせいだとッ!!)
……止めた。この人に怒りをぶつけても、怒りが増すだけ。
リディアはムッとして、怒鳴りつけようとしたがグッと言葉を飲み込んだ。
フーと一息吐いて、気持ちを落ち着かせから言葉を続けた。
「相手は不審者だって言ったでしょ?次は無いわよ」
「そんなものは分からんぞ?男という生き物は常に新鮮さを求める。手を出した獲物が珍品ならば尚更じゃ。案外、癖になっておるかもしれぬぞ?」
「……………あたしゃ、ゲテモノか?」
随分と失礼な事を言われて、レウルェを睨みつけるが「例えじゃ例え」と生返事が返ってきた。
仮にまた来た所で、不審者には変わりない。次は衛兵に突き出してやる。
「そなたは、恩を仇で返すのか?」
呆れるように言われた。恩があろうがなかろうが関係ない。不審者は不審者だろ。
「まったく、何故そのように捻くれて育ってしまったのかのう」
この場合、育ち云々ではないと思う。
「まあ、どうでもいいが、いい加減我を安心させてくれ」
大きなあくびと共に言われた。
高みの見物とはこう言う事なんだろう。本当、憎らしい。
(駄目だ。ここにいると、苛立ちで神経が削られる…)
リディアはスッと立ち上がると、黙ってレウルェに背を向けた。
「なんじゃ?もう帰るのか?」
つまらなそうに問いかけてきた。
リディアは少しだけ顔を見せると「ベッ」と舌を出し「ふんっ」と鼻息荒く、その場から去って行った。
「くくくくッ…」
遠くなるリディアの背中を見ながら、レウルェは堪らず笑いだした。
「まだまだ子供じゃのぉ」
小馬鹿にするような言い方だが、その目は愛おしいものを見るように暖かいものだった。
大きなあくびをしながら伸びをすれば、朝が来たなと実感できる。
「……………」
ボーとしながら、窓の外を眺めた。カラッと晴れた爽やかな朝。元気よく飛び回る鳥たち。そして、思い出す、昨夜の恥ずかしい記憶の数々……
ボボボボッと一瞬で全身真っ赤に染まる。
羞恥心で顔を覆い、穴があったら埋まりたいぐらいの気持ちで一杯だが、身体は異様に軽くてスッキリしている。こんなに清々しい気分で目が覚めたのはいつぶりだろう。
昨晩を思い返してみても、反省はするが後悔はない。
成り行きとはいえ、これでレウルェとの契約は完遂。リディアはめでたく自由の身。
子供に父親を聞かれた時には答えに困るが、それはそれ。おいおい考えればいい。
「気を取り直して、お風呂にでも…」
ベッドから降りようとした時に、ふと、自分の足に目がいった。そこには、まだしっかりと契約印が刻まれている。
「は?」
***
「ちょっと!!どうなってんの!?騙したのね!!」
朝食もそこそこにリディアはレウルェの元を訪れ、顔を見るなり怒鳴りつけた。
「なんじゃ、藪から棒に」
「なんじゃじゃないわよ!!この契約印!!消えないじゃない!!」
いつものように寝転びながら気だるそうに言われ、リディアは恥じらいなど何処吹く風で、大胆にもスカートを捲り上げて見せつけながら昨晩の事を話して聞かせた。
「あんたが望むようにしてやったのよ!?なのに消えないってどういう事よ!!」
リディアの怒りは収まることを知らない。
「ふむ……そなた、胎に子種を注いだか?」
「え?そんなの当然…………あれ?」
レウルェに冷静に指摘され、よく思い出してみる。……が、途中からの記憶がない。
『熱を冷ますだけ』
そう男が言っていたのは覚えてる。
「我が見る限り、そなたはまだ生娘だぞ?」
「そ、そんなはずない!!」
……と思う。
正直、記憶があやふやで、断言出来るかと聞かれたら言葉に詰まる。
「その男は熱を冷ますだけと言ったのじゃろ?最後までするとは公言しとらん」
「あれ……?」
リディアはだんだんと不安になってきた。
「熱を放出するだけならいくらでもやりようがある。ケツの青いそなたには分からぬやもしれぬがな」
馬鹿にする様に笑われて、リディアは恥ずかしさと悔しさで顔を真っ赤にして体を震わせている。
「まあ、相手が見つかっただけでも上出来じゃ。次は上手くやれ」
他人事のように、しれっと言われた。
(誰のせいだとッ!!)
……止めた。この人に怒りをぶつけても、怒りが増すだけ。
リディアはムッとして、怒鳴りつけようとしたがグッと言葉を飲み込んだ。
フーと一息吐いて、気持ちを落ち着かせから言葉を続けた。
「相手は不審者だって言ったでしょ?次は無いわよ」
「そんなものは分からんぞ?男という生き物は常に新鮮さを求める。手を出した獲物が珍品ならば尚更じゃ。案外、癖になっておるかもしれぬぞ?」
「……………あたしゃ、ゲテモノか?」
随分と失礼な事を言われて、レウルェを睨みつけるが「例えじゃ例え」と生返事が返ってきた。
仮にまた来た所で、不審者には変わりない。次は衛兵に突き出してやる。
「そなたは、恩を仇で返すのか?」
呆れるように言われた。恩があろうがなかろうが関係ない。不審者は不審者だろ。
「まったく、何故そのように捻くれて育ってしまったのかのう」
この場合、育ち云々ではないと思う。
「まあ、どうでもいいが、いい加減我を安心させてくれ」
大きなあくびと共に言われた。
高みの見物とはこう言う事なんだろう。本当、憎らしい。
(駄目だ。ここにいると、苛立ちで神経が削られる…)
リディアはスッと立ち上がると、黙ってレウルェに背を向けた。
「なんじゃ?もう帰るのか?」
つまらなそうに問いかけてきた。
リディアは少しだけ顔を見せると「ベッ」と舌を出し「ふんっ」と鼻息荒く、その場から去って行った。
「くくくくッ…」
遠くなるリディアの背中を見ながら、レウルェは堪らず笑いだした。
「まだまだ子供じゃのぉ」
小馬鹿にするような言い方だが、その目は愛おしいものを見るように暖かいものだった。
あなたにおすすめの小説
【完結】ぼくは悪役令嬢の弟 〜大好きな姉さんのために復讐するつもりが、いつの間にか姉さんのファンクラブができてるんだけどどういうこと?〜
水都 ミナト
恋愛
「ルイーゼ・ヴァンブルク!!今この時をもって、俺はお前との婚約を破棄する!!」
ヒューリヒ王立学園の進級パーティで第二王子に婚約破棄を突きつけられたルイーゼ。
彼女は周囲の好奇の目に晒されながらも毅然とした態度でその場を後にする。
人前で笑顔を見せないルイーゼは、氷のようだ、周囲を馬鹿にしているのだ、傲慢だと他の令嬢令息から蔑まれる存在であった。
そのため、婚約破棄されて当然だと、ルイーゼに同情する者は誰一人といなかった。
いや、唯一彼女を心配する者がいた。
それは彼女の弟であるアレン・ヴァンブルクである。
「ーーー姉さんを悲しませる奴は、僕が許さない」
本当は優しくて慈愛に満ちたルイーゼ。
そんなルイーゼが大好きなアレンは、彼女を傷つけた第二王子や取り巻き令嬢への報復を誓うのだが……
「〜〜〜〜っハァァ尊いっ!!!」
シスコンを拗らせているアレンが色々暗躍し、ルイーゼの身の回りの環境が変化していくお話。
★全14話★
※なろう様、カクヨム様でも投稿しています。
※正式名称:『ぼくは悪役令嬢の弟 〜大好きな姉さんのために、姉さんをいじめる令嬢を片っ端から落として復讐するつもりが、いつの間にか姉さんのファンクラブができてるんだけどどういうこと?〜』
ループした悪役令嬢は王子からの溺愛に気付かない
咲桜りおな
恋愛
愛する夫(王太子)から愛される事もなく結婚間もなく悲運の死を迎える元公爵令嬢のモデリーン。
自分が何度も同じ人生をやり直している事に気付くも、やり直す度に上手くいかない人生にうんざりしてしまう。
どうせなら王太子と出会わない人生を送りたい……そう願って眠りに就くと、王太子との婚約前に時は巻き戻った。
それと同時にこの世界が乙女ゲームの中で、自分が悪役令嬢へ転生していた事も知る。
嫌われる運命なら王太子と婚約せず、ヒロインである自分の妹が結婚して幸せになればいい。
悪役令嬢として生きるなんてまっぴら。自分は自分の道を行く!
そう決めて五度目の人生をやり直し始めるモデリーンの物語。
『悪役令嬢』は始めません!
月親
恋愛
侯爵令嬢アデリシアは、日本から異世界転生を果たして十八年目になる。そんな折、ここ数年ほど抱いてきた自身への『悪役令嬢疑惑』が遂に確信に変わる出来事と遭遇した。
突き付けられた婚約破棄、別の女性と愛を語る元婚約者……前世で見かけたベタ過ぎる展開。それを前にアデリシアは、「これは悪役令嬢な自分が逆ざまぁする方の物語では」と判断。
と、そこでアデリシアはハッとする。今なら自分はフリー。よって、今まで想いを秘めてきた片想いの相手に告白できると。
アデリシアが想いを寄せているレンは平民だった。それも二十も年上で子持ちの元既婚者という、これから始まると思われる『悪役令嬢物語』の男主人公にはおよそ当て嵌まらないだろう人。だからレンに告白したアデリシアに在ったのは、ただ彼に気持ちを伝えたいという思いだけだった。
ところがレンから来た返事は、「今日から一ヶ月、僕と秘密の恋人になろう」というものだった。
そこでアデリシアは何故『一ヶ月』なのかに思い至る。アデリシアが暮らすローク王国は、婚約破棄をした者は一ヶ月、新たな婚約を結べない。それを逆手に取れば、確かにその間だけであるならレンと恋人になることが可能だと。
アデリシアはレンの提案に飛び付いた。
そして、こうなってしまったからには悪役令嬢の物語は始めないようにすると誓った。だってレンは男主人公ではないのだから。
そんなわけで、自分一人で立派にざまぁしてみせると決意したアデリシアだったのだが――
※この作品は、『小説家になろう』様でも公開しています。
異世界転移って?とりあえず設定を教えて下さい
ゆみ
恋愛
凛花はトラックに轢かれた記憶も階段から落ちた記憶もない。それなのに気が付いたらよくある異世界に転がっていた。
取り敢えずは言葉も通じる様だし周りの人達に助けられながら自分の立ち位置を把握しようと試みるものの、凛花を拾ってくれたイケメン騎士はどう考えてもこの異世界での攻略対象者…。しかもヒロインは凛花よりも先に既にこの世界に転生しているようだった。ヒロインを中心に回っていたこのストーリーに凛花の出番はないはずなのにイケメン騎士と王女、王太子までもが次々に目の前に現れ、記憶とだんだん噛み合わなくなってくる展開に翻弄される凛花。この先の展開は一体どうなるの?
婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
きさらぎ
恋愛
テンネル侯爵家の嫡男エドガーに真実の愛を見つけたと言われ、ブルーバーグ侯爵家の令嬢フローラは婚約破棄された。フローラにはとても良い結婚条件だったのだが……しかし、これを機に結婚よりも大好きな研究に打ち込もうと思っていたら、ガーデンパーティーで新たな出会いが待っていた。一方、テンネル侯爵家はエドガー達のやらかしが重なり、気づいた時には―。
※『婚約破棄された地味令嬢は、あっという間に王子様に捕獲されました。』(現在は非公開です)をタイトルを変更して改稿をしています。
お気に入り登録・しおり等読んで頂いている皆様申し訳ございません。こちらの方を読んで頂ければと思います。
【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない
かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、
それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。
しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、
結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。
3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか?
聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか?
そもそも、なぜ死に戻ることになったのか?
そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか…
色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、
そんなエレナの逆転勝利物語。
【完結】廃墟送りの悪役令嬢、大陸一の都市を爆誕させる~冷酷伯爵の溺愛も限界突破しています~
遠野エン
恋愛
王太子から理不尽な婚約破棄を突きつけられた伯爵令嬢ルティア。聖女であるライバルの策略で「悪女」の烙印を押され、すべてを奪われた彼女が追放された先は荒れ果てた「廃墟の街」。人生のどん底――かと思いきや、ルティアは不敵に微笑んだ。
「問題が山積み? つまり、改善の余地(チャンス)しかありませんわ!」
彼女には前世で凄腕【経営コンサルタント】だった知識が眠っていた。
瓦礫を資材に変えてインフラ整備、ゴロツキたちを警備隊として雇用、嫌われ者のキノコや雑草(?)を名物料理「キノコスープ」や「うどん」に変えて大ヒット!
彼女の手腕によって、死んだ街は瞬く間に大陸随一の活気あふれる自由交易都市へと変貌を遂げる!
その姿に、当初彼女を蔑んでいた冷酷伯爵シオンの心も次第に溶かされていき…。
一方、ルティアを追放した王国は経済が破綻し、崩壊寸前。焦った元婚約者の王太子がやってくるが、幸せな市民と最愛の伯爵に守られた彼女にもう死角なんてない――――。
知恵と才覚で運命を切り拓く、痛快逆転サクセス&シンデレラストーリー、ここに開幕!
悪役令嬢に転生!?わたくし取り急ぎ王太子殿下との婚約を阻止して、婚約者探しを始めますわ
春ことのは
恋愛
深夜、高熱に魘されて目覚めると公爵令嬢エリザベス・グリサリオに転生していた。
エリザベスって…もしかしてあのベストセラー小説「悠久の麗しき薔薇に捧ぐシリーズ」に出てくる悪役令嬢!?
この先、王太子殿下の婚約者に選ばれ、この身を王家に捧げるべく血の滲むような努力をしても、結局は平民出身のヒロインに殿下の心を奪われてしまうなんて…
しかも婚約を破棄されて毒殺?
わたくし、そんな未来はご免ですわ!
取り急ぎ殿下との婚約を阻止して、わが公爵家に縁のある殿方達から婚約者を探さなくては…。
__________
※2023.3.21 HOTランキングで11位に入らせて頂きました。
読んでくださった皆様のお陰です!
本当にありがとうございました。
※お気に入り登録やしおりをありがとうございます。
とても励みになっています!
※この作品は小説家になろう様にも投稿しています。