2 / 177
侍女兼便利屋
2
しおりを挟む
只今、私は城を抜け出しある所へ向かっております。
町の中心にある大衆食堂『マム』です。
今日も今日とて、仕事終わりの方達で賑わっていますね。
私の副業場所は、ここの地下にあります。
私の副業、それは『便利屋』
人探しや、屋敷の掃除、害虫駆除など請負っております。しかし、これは表向き。
裏では、国を纏めている方々の依頼を請負っています。
「マリー!!ごめん!!ちょっと手伝って!!」
私に気づき、声を掛けてきたのはここの女将のミレーさん。
「……ナタリーさんはどうしたんです?」
「あの子、またあれ」
ナタリーさんとはここの従業員なんですが、サボり癖が酷いらしく、出てこない事が多いのです。
──何故、クビにならないのか不思議ですね。
「……お給金は頂きますよ?」
「ああ、ナタリーの分から出すよ」
そういう事なら、お手伝い致しましょう。
「おお!!マリーちゃん!!今日も可愛いな!!」
「──ダンさん、あんまり飲みすぎると奥さんに叱られますよ?」
「わははははは!!マリーちゃんには敵わねぇや!!」
ナタリーさんのサボり癖のお陰で、ここの方達とも顔なみじとなりました。
それでも、手癖の悪い方はおります。
「おい、姉ちゃん。中々いい体してるじゃねぇか。俺と──」
ドカッ!!
お酒を両手に持って、手が出せない事をいい事に、私の体をベタベタ触る気色の悪い男は回し蹴りで撃退です。
「バカな奴だなぁ、マリーちゃんはあのご令嬢なのに……」
「ダンさん、元令嬢です」
私の体を触って来た男は壁に激突して、気を失っております。
邪魔なので、外に捨てときましょう。
「マリー!!!何、油売ってんだ!!?」
地下へ続く階段から顔を出した、ゴリラみたいな方は私の上司、通称ゴリさんです。
「──油じゃなく、お酒を売っておりますが?」
「御託はいい!!仕事だ仕事!!」
襟元を掴まれ引きずられながら、地下へと連れて行かれそうですが、私はそれよりも大事な事があります。
「女将さん。お給金を下さい」
タダ働きなんて言語道断。貰うものはちゃんと頂きます。
「はいよ!また頼むね!!」
「はい。毎度ありがとうございます」
深々お辞儀をし、地下へと向かいます。
「……お前は本当、しっかりしてるよな」
「当たり前です。人間生きていく為には、お金次第です。お金は裏切りませんからね」
ゴリさんは飽きれながらも、先を急いでます。
──どうやら、緊急みたいですね。
「──さて、本日の任務だが……」
「何でしょう?」
「……幽霊退治だ」
「は?」
このゴリラは何故、勿体ぶったんですか?
「……それ、私じゃなくても良いんじゃないんですか?何故私なんです?」
「他の奴は、白旗を振りやがった。残すはお前だけだ」
皆さん割と怖がりなんですね。
そんなものを信じるのは、おケツの青い子供だけだと思っていました。
「──分かりました。但し条件があります」
「……分かってる。特別手当を出す」
流石、ゴリさん。よく分かっていますね。
「ありがとうございます。それでは、大まかな情報をお願いします」
「お前は、金が絡むと動くんだから……。まあ、いい。ブラッド侯爵家分かるか?」
ああ、何年か前に奥様と使用人が惨殺されたお屋敷ですね。
犯人はブラッド侯爵だと言われておりましたが、そのブラッド侯爵も数日後に変死体で見つかり、犯人は分からずじまいの未解決事件でしたね。
「その屋敷から人の声がするらしいんだ」
「どうせ、そこら辺のゴロツキが住み着いたんじゃないんですか?」
手入れされていない屋敷でも、雨風は凌げますからね。
「俺もそう思ったんだが、どうもゴロツキじゃないみてぇだ。ルイスの奴に下見を頼んだんだが、あいつ腰抜かして動けなくなってな。たまたま通りかかった奴に助けられたんだ」
ルイスさん、腰抜けでしたか。
「……ルイス曰く、髪の長い女がいたとか……」
「不法侵入者ですね。しょっぴいて来ます」
今は使われていない屋敷とは言え、他人の所有物に無断で入り込むのはいけません。
「……本当にお前は……。たまに違う意味で心配になるぞ俺は……」
ゴリさんが頭を抱えていますが、それはいつもの事なので放置です。
「では、私は行ってまいります」
「ああ、気をつけろよ」
ゴリさんに挨拶をし、幽霊屋敷へと向かいます。
本日のお給金……食堂の配膳900ピール
借金返済まで残り5億7千999万9100ピール
町の中心にある大衆食堂『マム』です。
今日も今日とて、仕事終わりの方達で賑わっていますね。
私の副業場所は、ここの地下にあります。
私の副業、それは『便利屋』
人探しや、屋敷の掃除、害虫駆除など請負っております。しかし、これは表向き。
裏では、国を纏めている方々の依頼を請負っています。
「マリー!!ごめん!!ちょっと手伝って!!」
私に気づき、声を掛けてきたのはここの女将のミレーさん。
「……ナタリーさんはどうしたんです?」
「あの子、またあれ」
ナタリーさんとはここの従業員なんですが、サボり癖が酷いらしく、出てこない事が多いのです。
──何故、クビにならないのか不思議ですね。
「……お給金は頂きますよ?」
「ああ、ナタリーの分から出すよ」
そういう事なら、お手伝い致しましょう。
「おお!!マリーちゃん!!今日も可愛いな!!」
「──ダンさん、あんまり飲みすぎると奥さんに叱られますよ?」
「わははははは!!マリーちゃんには敵わねぇや!!」
ナタリーさんのサボり癖のお陰で、ここの方達とも顔なみじとなりました。
それでも、手癖の悪い方はおります。
「おい、姉ちゃん。中々いい体してるじゃねぇか。俺と──」
ドカッ!!
お酒を両手に持って、手が出せない事をいい事に、私の体をベタベタ触る気色の悪い男は回し蹴りで撃退です。
「バカな奴だなぁ、マリーちゃんはあのご令嬢なのに……」
「ダンさん、元令嬢です」
私の体を触って来た男は壁に激突して、気を失っております。
邪魔なので、外に捨てときましょう。
「マリー!!!何、油売ってんだ!!?」
地下へ続く階段から顔を出した、ゴリラみたいな方は私の上司、通称ゴリさんです。
「──油じゃなく、お酒を売っておりますが?」
「御託はいい!!仕事だ仕事!!」
襟元を掴まれ引きずられながら、地下へと連れて行かれそうですが、私はそれよりも大事な事があります。
「女将さん。お給金を下さい」
タダ働きなんて言語道断。貰うものはちゃんと頂きます。
「はいよ!また頼むね!!」
「はい。毎度ありがとうございます」
深々お辞儀をし、地下へと向かいます。
「……お前は本当、しっかりしてるよな」
「当たり前です。人間生きていく為には、お金次第です。お金は裏切りませんからね」
ゴリさんは飽きれながらも、先を急いでます。
──どうやら、緊急みたいですね。
「──さて、本日の任務だが……」
「何でしょう?」
「……幽霊退治だ」
「は?」
このゴリラは何故、勿体ぶったんですか?
「……それ、私じゃなくても良いんじゃないんですか?何故私なんです?」
「他の奴は、白旗を振りやがった。残すはお前だけだ」
皆さん割と怖がりなんですね。
そんなものを信じるのは、おケツの青い子供だけだと思っていました。
「──分かりました。但し条件があります」
「……分かってる。特別手当を出す」
流石、ゴリさん。よく分かっていますね。
「ありがとうございます。それでは、大まかな情報をお願いします」
「お前は、金が絡むと動くんだから……。まあ、いい。ブラッド侯爵家分かるか?」
ああ、何年か前に奥様と使用人が惨殺されたお屋敷ですね。
犯人はブラッド侯爵だと言われておりましたが、そのブラッド侯爵も数日後に変死体で見つかり、犯人は分からずじまいの未解決事件でしたね。
「その屋敷から人の声がするらしいんだ」
「どうせ、そこら辺のゴロツキが住み着いたんじゃないんですか?」
手入れされていない屋敷でも、雨風は凌げますからね。
「俺もそう思ったんだが、どうもゴロツキじゃないみてぇだ。ルイスの奴に下見を頼んだんだが、あいつ腰抜かして動けなくなってな。たまたま通りかかった奴に助けられたんだ」
ルイスさん、腰抜けでしたか。
「……ルイス曰く、髪の長い女がいたとか……」
「不法侵入者ですね。しょっぴいて来ます」
今は使われていない屋敷とは言え、他人の所有物に無断で入り込むのはいけません。
「……本当にお前は……。たまに違う意味で心配になるぞ俺は……」
ゴリさんが頭を抱えていますが、それはいつもの事なので放置です。
「では、私は行ってまいります」
「ああ、気をつけろよ」
ゴリさんに挨拶をし、幽霊屋敷へと向かいます。
本日のお給金……食堂の配膳900ピール
借金返済まで残り5億7千999万9100ピール
68
あなたにおすすめの小説
【完結】男爵令嬢は冒険者生活を満喫する
影清
ファンタジー
英雄の両親を持つ男爵令嬢のサラは、十歳の頃から冒険者として活動している。優秀な両親、優秀な兄に恥じない娘であろうと努力するサラの前に、たくさんのメイドや護衛に囲まれた侯爵令嬢が現れた。「卒業イベントまでに、立派な冒険者になっておきたいの」。一人でも生きていけるようにだとか、追放なんてごめんだわなど、意味の分からぬことを言う令嬢と関わりたくないサラだが、同じ学園に入学することになって――。
※残酷な描写は予告なく出てきます。
※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムに掲載中です。
※106話完結。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
お言葉ですが今さらです
MIRICO
ファンタジー
アンリエットは祖父であるスファルツ国王に呼び出されると、いきなり用無しになったから出て行けと言われた。
次の王となるはずだった伯父が行方不明となり後継者がいなくなってしまったため、隣国に嫁いだ母親の反対を押し切りアンリエットに後継者となるべく多くを押し付けてきたのに、今更用無しだとは。
しかも、幼い頃に婚約者となったエダンとの婚約破棄も決まっていた。呆然としたアンリエットの後ろで、エダンが女性をエスコートしてやってきた。
アンリエットに継承権がなくなり用無しになれば、エダンに利などない。あれだけ早く結婚したいと言っていたのに、本物の王女が見つかれば、アンリエットとの婚約など簡単に解消してしまうのだ。
失意の中、アンリエットは一人両親のいる国に戻り、アンリエットは新しい生活を過ごすことになる。
そんな中、悪漢に襲われそうになったアンリエットを助ける男がいた。その男がこの国の王子だとは。その上、王子のもとで働くことになり。
お気に入り、ご感想等ありがとうございます。ネタバレ等ありますので、返信控えさせていただく場合があります。
内容が恋愛よりファンタジー多めになったので、ファンタジーに変更しました。
他社サイト様投稿済み。
特技は有効利用しよう。
庭にハニワ
ファンタジー
血の繋がらない義妹が、ボンクラ息子どもとはしゃいでる。
…………。
どうしてくれよう……。
婚約破棄、になるのかイマイチ自信が無いという事実。
この作者に色恋沙汰の話は、どーにもムリっポい。
婚約破棄されたトリノは、継母や姉たちや使用人からもいじめられているので、前世の記憶を思い出し、家から脱走して旅にでる!
山田 バルス
恋愛
この屋敷は、わたしの居場所じゃない。
薄明かりの差し込む天窓の下、トリノは古びた石床に敷かれた毛布の中で、静かに目を覚ました。肌寒さに身をすくめながら、昨日と変わらぬ粗末な日常が始まる。
かつては伯爵家の令嬢として、それなりに贅沢に暮らしていたはずだった。だけど、実の母が亡くなり、父が再婚してから、すべてが変わった。
「おい、灰かぶり。いつまで寝てんのよ、あんたは召使いのつもり?」
「ごめんなさい、すぐに……」
「ふーん、また寝癖ついてる。魔獣みたいな髪。鏡って知ってる?」
「……すみません」
トリノはペコリと頭を下げる。反論なんて、とうにあきらめた。
この世界は、魔法と剣が支配する王国《エルデラン》の北方領。名門リドグレイ伯爵家の屋敷には、魔道具や召使い、そして“偽りの家族”がそろっている。
彼女――トリノ・リドグレイは、この家の“戸籍上は三女”。けれど実態は、召使い以下の扱いだった。
「キッチン、昨日の灰がそのままだったわよ? ご主人様の食事を用意する手も、まるで泥人形ね」
「今朝の朝食、あなたの分はなし。ねえ、ミレイア? “灰かぶり令嬢”には、灰でも食べさせればいいのよ」
「賛成♪ ちょうど暖炉の掃除があるし、役立ててあげる」
三人がくすくすと笑うなか、トリノはただ小さくうなずいた。
夜。屋敷が静まり、誰もいない納戸で、トリノはひとり、こっそり木箱を開いた。中には小さな布包み。亡き母の形見――古びた銀のペンダントが眠っていた。
それだけが、彼女の“世界でただ一つの宝物”。
「……お母さま。わたし、がんばってるよ。ちゃんと、ひとりでも……」
声が震える。けれど、涙は流さなかった。
屋敷の誰にも必要とされない“灰かぶり令嬢”。
だけど、彼女の心だけは、まだ折れていない。
いつか、この冷たい塔を抜け出して、空の広い場所へ行くんだ。
そう、小さく、けれど確かに誓った。
【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした
きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。
全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。
その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。
失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。
【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる