城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧

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侍女兼便利屋

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「マリー!!!」

「……何ですか?」

籠いっぱいの洗濯物を抱えながら城の廊下を歩いていると、侍女頭のテレザ様に呼び止められました。

「申し訳ないんだけど、今すぐ殿下の元へ行ってくれる?その洗濯物は私が他に頼んでおくから──」

「嫌です」

あの殿下の元に行くぐらいなら、一生洗濯物を洗っています。

「もぉ、何でそんなに殿下を嫌うのかしら。お優しくて素敵じゃない」

「では、テレザ様が行けばよろしいかと……」

そんなにあの殿下の事がお気に入りなら、お譲りしますので、どうぞ行ってやってください。

「私は今から王妃様の所へ行かなきゃ行けないのよ。とりあえず、マリー頼んだわよ!!」

それだけ言うと、私の持っていた洗濯物を奪い、走り去っていきました。

──仕方ありません。行きますか。

殿下は執務室にいるはずです。

コンコン

「──失礼します。殿下、お呼びでしょうか?」

「あら、マリアンネが来たの?嬉しいわぁ」

執務室を開けると、机の上には書類の山。
その山で殿下の顔すら見えません。

「急ぎの用があると聞き参ったのですが、ご用は何でしょうか?」

さっさと終わらせて、他の仕事に回りたいです。

「見ての通り、書類が山積みになって手も足も出ないのよ~。助けて?」

「……それは、私の仕事ではありません。殿下の自業自得です。これに懲りたらサボらず、一日中机に張り付いていて下さい」

私の仕事は雑用のみ。書類整理は契約に入っていません。

「そんな事言わないで、助けてよ~。──手当付けるわよ?しかも、通常の倍で……」

「やりましょう!!」

お給金を頂けるなら、話は別です。

「あはははは!!やっぱりマリアンネは面白いわぁ!!」

「……笑ってる暇があるなら手と頭を動かしてください」

……とは言え、この山は果てしないですね。
次からはこんなことが無いように、監視役を付けてもらうよう宰相様に頼んでおきましょう。

「……頼んでおいてなんだけど、マリアンネ。それ、ちゃんと確認してる?」

「ええ、こちらが今期財政に関する書類。こちらは近隣住民の嘆願書。こちらが──」

私は脳筋だけじゃありません。
こう見えて、書類整理もお手の物なんです。

「マリアンネ。貴方素晴らしいわ!!是非、私の専属侍女、いえ、秘書官に──」

「お断りします」

何故、殿下の秘書官に抜擢されなきゃいけないんですか。
そりゃ、秘書官になればお給金がグンと上がります。そこは魅力的ですが、この殿下と一緒というのは私には耐えられません。

「マリアンネはなんで私をそんなに避けるの?そんなに嫌い?この口調?」

何故、口調が嫌われる原因だと決めつけるんですかね?

「その喋り方のせいではありませんよ」

「じゃあ何が原因なの?」

貴方のその粘着質な所です。

「……別に、嫌ってなどおりませんよ。まあ、強いて言うなら殿下に会うのは週に一度、短時間程度が丁度いいですね」

「それ、嫌ってないって言いきれる?」

毎日こんなの相手してたら仕事になりません。

「さて、私のノルマは完了致しました。残りは殿下お願いしします」

「えっ!?もう!?」

机の上の書類は全て確認し、分別しておきました。
ここからは、殿下の仕事です。

「では、お給金のお支払い宜しくお願いします」

「そうね。約束ですもの。──はい。これで足りる?」

ずっしり重い袋を渡されました。
充分な重さです。

「それでは、頂くもの頂きましたので、私は失礼します」

深々頭を下げてから執務室を後にしました。
出ていく時に「また手伝ってねぇ~」と聞こえたような気がしますが、きっと空耳でしょう。


本日のお給金……殿下の書類整理20000ピール(手当込み)

借金返済まで残り5億7千997万2100ピール
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