城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧

文字の大きさ
47 / 177
侍女兼便利屋

47

しおりを挟む
コンコン

「失礼します。掃除に参りました、侍女のマリアンネと申します」

意を決してドアを開け挨拶をしましたが、部屋はもぬけの殻。
これは、今が好機!!

そう思った私は警戒心を解いて、部屋の中に足を踏み入れてしまいました。

パタンッ……カチャン……

ドアが閉まる音と共に鍵の閉まる音がしました。
急いでドアの方を見ると、人が立っておりました。
どうやらこの方が部屋の主、シモン様でしょう。

私はこんな単純な罠に引っかかった事に、落ち込みました。

落ち込んでいる私の事など気にするはずもなく、シモン様は私を力一杯床に押し倒しました。

「──っつ!!!」

あまりの出来事に受身が上手く取れず、全身に痛みが走りました。

なんですかこの方は!?こんな力ずくで押し倒されたら、普通の女性は怪我だけでは済みませんよ!?

──カルム様の言っていたことはこの事でしょうか。

「……俺の部屋に何の用だ?」

いや、だから先程掃除に参ったと伝えたばかりですが?

「……俺は女だからと言って手加減はしない」

そう言うなり、シモン様は私の手を力一杯握って来ました。

「──いっ!!!」

思わず顔が歪み、声が出ました。
流石の私も、いい加減腹が立ってきました。

そもそも私はノックをした後、挨拶をしてから部屋に入ったのです。何も無礼な事はしておりません。
それなのにこの方と来たら、何も話を聞いていない所か、か弱い女性相手に、暴力を振るうとは以ての外!!
天誅です!!!

「なにっ!!!」

私はシモン様の腹部に足を当て、思いっきり投げ飛ばしました。
しかし、壁にぶつかる前に体勢を整え、こちらを睨んで参りました。

……ほお?流石は副隊長だけあって瞬発力は良いようですね。

「貴様、何者だ!?」

「一介の侍女だと、先程から申しておりますが?その耳は飾りですか?」

服をパンパンはたきながら、シモン様の問いに答えます。

「侍女だと!?そんな訳あるか!!ただの侍女ごときが俺を投げ飛ばせるはずないだろ!!」

投げ飛ばされたのが不服なのが、キャンキャンとよく吠えます。

投げ飛ばせますよ?今、まさにやってのけました。

「──貴様、間諜だな!?」

何か変な方向に拗れましたよ!?
カルム様!!こういう方ならこういう方と仰って下さい!!
てっきり、女性にだらしのない方だと思ってました。

しかし、このままでは先に進めそうにありません。シモン様はどうやら、人の話を全く聞かないお方のようですので、私がこれ以上話をしても無駄でしょう。
こうなれば仕方ありません。任務遂行の為、大人しくしてもらいます。

私は箒を床に置き、シモン様と向かい合いました。

「ほお?俺と殺るつもりか?」

「殺りません。大人しくしてもらうだけです」

私の言葉が聞くや否や、すぐにシモン様が仕掛けてきました。
ドタンッバタンッと、部屋全体が揺らしながらシモン様の相手をしますが、ここは部屋の中です。
暴れるには、如何せん狭いです……

と言うか、部屋を掃除に来て汚していたら本末転倒です。
これは、早急にケリを着けなければなりませんね。

私はシモン様の攻撃を避けた時に、先程置いておいた箒を持ち、箒の柄を思いっきりシモン様の鳩尾目がて打ち込みました。

「ぐっ!!!」

──普通の方はこれで落ちるのですが、やはり鍛え方が違いますね。

「……貴様……もう生かしてはおけん!!!」

──おやおや、そんな隙だらけで突撃してはいけません。

シモン様は怒りに任せて、こちらに向かってくきます。
女だからと油断しているのでしょうが、その油断が命取りになるのですよ?

スルッと腰に付けていた縄を取り、此方に向かって来たシモン様の頭を飛び越えながら縄をシモン様の首に引っ掛けます。
すると、シモン様はバタンッ!!とその場に倒れました。
そこをすぐさま縄でグルグル巻にして、更に体重をかけてキツく締め上げます。

「くそっ!!離せ!!」

全く、よく吠えますね。
口枷もしましょうか?

バタンッ!!!

「マリー!!大丈夫──……ですね……」

そこへ、鍵の締められたドアを蹴り破ってカルム様が登場。カルム様の後ろには騎士の方々まで……

「……おい、あの侍女何者だよ……」やら「副隊長がやられてるぞ?」「……俺も縛らたい……」と、騎士の方々の話し声が聞こえますが。……最後の方、それはそれ専門のお店に行ってやって下さい。

……さて、この躾のなっていない駄犬をどうしましょう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】男爵令嬢は冒険者生活を満喫する

影清
ファンタジー
英雄の両親を持つ男爵令嬢のサラは、十歳の頃から冒険者として活動している。優秀な両親、優秀な兄に恥じない娘であろうと努力するサラの前に、たくさんのメイドや護衛に囲まれた侯爵令嬢が現れた。「卒業イベントまでに、立派な冒険者になっておきたいの」。一人でも生きていけるようにだとか、追放なんてごめんだわなど、意味の分からぬことを言う令嬢と関わりたくないサラだが、同じ学園に入学することになって――。 ※残酷な描写は予告なく出てきます。 ※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムに掲載中です。 ※106話完結。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

特技は有効利用しよう。

庭にハニワ
ファンタジー
血の繋がらない義妹が、ボンクラ息子どもとはしゃいでる。 …………。 どうしてくれよう……。 婚約破棄、になるのかイマイチ自信が無いという事実。 この作者に色恋沙汰の話は、どーにもムリっポい。

お言葉ですが今さらです

MIRICO
ファンタジー
アンリエットは祖父であるスファルツ国王に呼び出されると、いきなり用無しになったから出て行けと言われた。 次の王となるはずだった伯父が行方不明となり後継者がいなくなってしまったため、隣国に嫁いだ母親の反対を押し切りアンリエットに後継者となるべく多くを押し付けてきたのに、今更用無しだとは。 しかも、幼い頃に婚約者となったエダンとの婚約破棄も決まっていた。呆然としたアンリエットの後ろで、エダンが女性をエスコートしてやってきた。 アンリエットに継承権がなくなり用無しになれば、エダンに利などない。あれだけ早く結婚したいと言っていたのに、本物の王女が見つかれば、アンリエットとの婚約など簡単に解消してしまうのだ。 失意の中、アンリエットは一人両親のいる国に戻り、アンリエットは新しい生活を過ごすことになる。 そんな中、悪漢に襲われそうになったアンリエットを助ける男がいた。その男がこの国の王子だとは。その上、王子のもとで働くことになり。 お気に入り、ご感想等ありがとうございます。ネタバレ等ありますので、返信控えさせていただく場合があります。 内容が恋愛よりファンタジー多めになったので、ファンタジーに変更しました。 他社サイト様投稿済み。

婚約破棄されたトリノは、継母や姉たちや使用人からもいじめられているので、前世の記憶を思い出し、家から脱走して旅にでる!

山田 バルス
恋愛
 この屋敷は、わたしの居場所じゃない。  薄明かりの差し込む天窓の下、トリノは古びた石床に敷かれた毛布の中で、静かに目を覚ました。肌寒さに身をすくめながら、昨日と変わらぬ粗末な日常が始まる。  かつては伯爵家の令嬢として、それなりに贅沢に暮らしていたはずだった。だけど、実の母が亡くなり、父が再婚してから、すべてが変わった。 「おい、灰かぶり。いつまで寝てんのよ、あんたは召使いのつもり?」 「ごめんなさい、すぐに……」 「ふーん、また寝癖ついてる。魔獣みたいな髪。鏡って知ってる?」 「……すみません」 トリノはペコリと頭を下げる。反論なんて、とうにあきらめた。 この世界は、魔法と剣が支配する王国《エルデラン》の北方領。名門リドグレイ伯爵家の屋敷には、魔道具や召使い、そして“偽りの家族”がそろっている。 彼女――トリノ・リドグレイは、この家の“戸籍上は三女”。けれど実態は、召使い以下の扱いだった。 「キッチン、昨日の灰がそのままだったわよ? ご主人様の食事を用意する手も、まるで泥人形ね」 「今朝の朝食、あなたの分はなし。ねえ、ミレイア? “灰かぶり令嬢”には、灰でも食べさせればいいのよ」 「賛成♪ ちょうど暖炉の掃除があるし、役立ててあげる」 三人がくすくすと笑うなか、トリノはただ小さくうなずいた。  夜。屋敷が静まり、誰もいない納戸で、トリノはひとり、こっそり木箱を開いた。中には小さな布包み。亡き母の形見――古びた銀のペンダントが眠っていた。  それだけが、彼女の“世界でただ一つの宝物”。 「……お母さま。わたし、がんばってるよ。ちゃんと、ひとりでも……」  声が震える。けれど、涙は流さなかった。  屋敷の誰にも必要とされない“灰かぶり令嬢”。 だけど、彼女の心だけは、まだ折れていない。  いつか、この冷たい塔を抜け出して、空の広い場所へ行くんだ。  そう、小さく、けれど確かに誓った。

【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。

138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」  お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。  賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。  誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。  そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。  諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。

【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした

きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。 全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。 その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。 失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

処理中です...