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グロッサ国

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再びリチャードさんの元を訪れた私達は、今までの経緯をリチャードさんに伝えました。

するとリチャードさんは「おかしいですね」と、首を捻りました。

「……確かに、マリー様たちのお話が本当ならば、ゲルダを行かせなかったのは私になります。──……が、私はゲルダにその様な指示を出した覚えがありません」

「「は?」」

思わずシモーネさんと言葉が被りました。

ゲルダさんは確かにリチャードさんと申しておりました。
リチャードさんが、二人に分裂するはずありません。

「私は先程まで、庭師のリックと庭の手入れをしておりました。疑うのであればリックに聞いていただければ、私の疑いは晴れると思いますが?」

リチャードさんは淡々と私達に伝えてきました。
ここまで仰るという事は、本当なんでしょう。
そうなると、先程ゲルダさんが見たリチャードさんはどなたでしょう?

「えっ?もしかして、この屋敷出るの?」

シモーネさんは顔を青ざめて、私の腕にしがみついてきましたが、そんな非現実的なモノいる訳ないではありませんか。

まあ、考えれる事は二つ。
一つは、ゲルダさんが嘘をついている。もう一つは、リチャードさんと、庭師の方が共犯と言うこと。

──さて、どちらでしょうか。

とりあえず、この件は一旦持ち帰りましょう。
ルイスさんとティムさんも何か掴んでいるかも知れません。

そう思い部屋へと戻ると、既にお二人共戻っておりました。
私とシモーネさんは、リチャードさんの件をお二人に伝えました。

すると、ティムさんが首を傾げ「……僕も、今さっきリチャードさん見たけど?」と、仰りました。

「今さっきとはいつ頃でしょうか?」

「ん~、僕がこの部屋に来る前だから、10分ぐらい前じゃない?」

それは、おかしいですね。その時間帯リチャードさんは、私とシモーネさんと一緒におりました。

「えっ!?まさか幽霊!?生霊とか!?」

ルイスさんがシモーネさんと同じ様な事を言われてますね。
そんなモノいるはずがありません。

──……となると、答えは一つ。

「……誰かが、リチャードさんの変装してるって事?」

そうなりますね。

──これは、大事になって来ました。

「えぇ~。毒茶葉の次は、偽物~?……でもさぁ、私が会ったリチャードさんとティムが見たリチャードさん、どっちが本物な訳?」

はい。シモーネさん、いい所に気が付きましたね。
私達はリチャードさんと出会ったのはつい、昨日の事です。
こんな短時間でどちらが本物か分かる筈ありません。

「あ゛~!!もう、全員偽物に見えてくるじゃん!!」

ルイスさんが壊れました。
全員偽物だと、意味が無いですよ。

「まぁ、とりあえず偽物が入り込んでいることは確かだね。ただ、それがリチャードさんだけとは限らない」

ティムさんが、仮説を立てました。
まあ、そうですね。もしかしたら、侍女に変装しているかもしれません。

──なるほど、毒茶葉はその方の仕業で間違い無さそうですね。

「どちらにせよ、今日はここまで。ゴリさん達を待とう」

そうですね。流石に疲れたので、本日はもう休ませて頂きましょう。


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