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グロッサ国
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あの後、ゴリさんの手によりお兄様は縛られ、力が使えぬ様目を覆い駆けつけた騎士に引渡しました。
ゴリさんはお兄様の姿が見えなくなるまで、その場を動きませんでした。
しかし、見えなくなると「パンッ」と両頬を叩き「さあ、皆帰るか!!」といつものゴリさんに戻りました。
私達は何も言わず、何も触れず、いつもの様に振る舞いました。
ゴリさんがいつもの様に振舞っているのですから、私達もその様に振る舞う。いつもの事です。
◇◇◇
レナード様の屋敷に戻ると、レニさんがすぐ様駆け付けて来たので私達全員で満面の笑みを返してあげると、安心した表情になり涙ながらにお礼を言われました。
レナード様もやって来て、レナード様からもお礼を言われ「ゆっくり休息してください。なんなら、ずっと居てくれても良いんですよ?」と言われましたが、ゴリさんがお断りしました。
断れたレナード様は少々残念そうでしたが、私達の国はここではありませんので。
ユリウス様はレナード様の屋敷で休養していた騎士を連れ、早々に城へと戻って行きました。
その際「父上に報告があるからな。お前達には世話になった。礼は弾む。何でも言ってくれ」と素敵な言葉を残してくれました。
──今回は頑張りました。お給金が楽しみです。
ニヤニヤしそうな口元を押さえ、休養しているルーナの元へと向かいます。
ルーナはレナード様の敷地内にある馬小屋を借りて傷を癒していたのです。
「ルーナ?」
私が馬小屋を開けると「キュルルルル!!」と元気な鳴き声が聞こえました。
ルーナを抱きしめ、傷の具合を見ます。
すると、傷口はしっかり塞がりバサバサ元気よく羽ばたいています。
「凄い。こんな短時間で傷口が完治するとは……」
これも、聖獣だからでしょうか?
「ルーナ。私達も2、3日したら国へ向かいます。先に戻っていてくれますか?」
そう問いかけると、ルーナは「キュル!!」と鳴いて承諾してくれました。
私はルーナの足に持ってきた文を括りつけ「これを殿下へ届けてくれますか?」と伝えました。
一応、生存確認の為の文です。
ルーナは元気よく鳴きながら頷いてくれました。
そうして、ルーナは私の文と共に一足先に国へと飛んでいきました。
ルーナのスピードなら一日程で着くでしょう。
「あれ?マリー?」
ルーナの飛んで行った空を見ていると、ルイスさんが声をかけてきました。
「ルイスさん。体はもういいんですか?」
ルイスさんは毒にやられて、暫く動けませんでしたからね。
今この場にいるということは、毒は吸収されたのでしょう。
「俺を誰だと思ってるの?毒のスペシャリストだよ?」
ルイスさんはとても誇らしげに仰いました。
──聞いた私が馬鹿でしたね。
「……ルーナは先に帰したの?」
「ええ。私達もすぐに戻るでしょうし、慣れた地で休養した方がルーナの為ですから」
本当は病み上がりのルーナを飛ばすのは酷だと思ったのですが、知らぬ土地で休養するより良いと判断したのです。
「……そうだね」と寂しげに仰るルイスさんの手元を見ると、ルーナの為に持ってきたであろう果物を抱えていました。
「国に戻っても、便利屋に連れて行きますよ。その時は思いっきり遊んでやってください」
ルイスさんは特にルーナを可愛がってくれていました。
ルーナもルイスさんを大変気に入り、声がすればすぐにルイスさんの元に飛んでくる様な仲になっていたのです。
──やはり、ルイスさんには一言伝えた方が良かったでしょうか?
寂しそうに佇むルイスさんを見ると、そんな罪悪感が湧いてきました。
「……ねぇ、マリー。俺のお願い聞いてくれる?」
「何でしょうか?」
「俺にルーナをちょう──」
「お断りです」
「ちょっと!!最後まで聞かずに即答する!?」
罪悪感が吹き飛びました。
まったく、ルーナは私の大事な家族です。
そんな家族を易々と手放しません。
「──……あっ、なるほど」
今、ゴリさんのお兄様の気持ちが少しですが分かった気がします。
形は違えど、お兄様もゴリさんの事を思っていたのでしょう。
──もう少し、やり方があったと思うのですが……
まあ、もう終わったことです。蒸し返すのは野暮ですね。
ゴリさんはお兄様の姿が見えなくなるまで、その場を動きませんでした。
しかし、見えなくなると「パンッ」と両頬を叩き「さあ、皆帰るか!!」といつものゴリさんに戻りました。
私達は何も言わず、何も触れず、いつもの様に振る舞いました。
ゴリさんがいつもの様に振舞っているのですから、私達もその様に振る舞う。いつもの事です。
◇◇◇
レナード様の屋敷に戻ると、レニさんがすぐ様駆け付けて来たので私達全員で満面の笑みを返してあげると、安心した表情になり涙ながらにお礼を言われました。
レナード様もやって来て、レナード様からもお礼を言われ「ゆっくり休息してください。なんなら、ずっと居てくれても良いんですよ?」と言われましたが、ゴリさんがお断りしました。
断れたレナード様は少々残念そうでしたが、私達の国はここではありませんので。
ユリウス様はレナード様の屋敷で休養していた騎士を連れ、早々に城へと戻って行きました。
その際「父上に報告があるからな。お前達には世話になった。礼は弾む。何でも言ってくれ」と素敵な言葉を残してくれました。
──今回は頑張りました。お給金が楽しみです。
ニヤニヤしそうな口元を押さえ、休養しているルーナの元へと向かいます。
ルーナはレナード様の敷地内にある馬小屋を借りて傷を癒していたのです。
「ルーナ?」
私が馬小屋を開けると「キュルルルル!!」と元気な鳴き声が聞こえました。
ルーナを抱きしめ、傷の具合を見ます。
すると、傷口はしっかり塞がりバサバサ元気よく羽ばたいています。
「凄い。こんな短時間で傷口が完治するとは……」
これも、聖獣だからでしょうか?
「ルーナ。私達も2、3日したら国へ向かいます。先に戻っていてくれますか?」
そう問いかけると、ルーナは「キュル!!」と鳴いて承諾してくれました。
私はルーナの足に持ってきた文を括りつけ「これを殿下へ届けてくれますか?」と伝えました。
一応、生存確認の為の文です。
ルーナは元気よく鳴きながら頷いてくれました。
そうして、ルーナは私の文と共に一足先に国へと飛んでいきました。
ルーナのスピードなら一日程で着くでしょう。
「あれ?マリー?」
ルーナの飛んで行った空を見ていると、ルイスさんが声をかけてきました。
「ルイスさん。体はもういいんですか?」
ルイスさんは毒にやられて、暫く動けませんでしたからね。
今この場にいるということは、毒は吸収されたのでしょう。
「俺を誰だと思ってるの?毒のスペシャリストだよ?」
ルイスさんはとても誇らしげに仰いました。
──聞いた私が馬鹿でしたね。
「……ルーナは先に帰したの?」
「ええ。私達もすぐに戻るでしょうし、慣れた地で休養した方がルーナの為ですから」
本当は病み上がりのルーナを飛ばすのは酷だと思ったのですが、知らぬ土地で休養するより良いと判断したのです。
「……そうだね」と寂しげに仰るルイスさんの手元を見ると、ルーナの為に持ってきたであろう果物を抱えていました。
「国に戻っても、便利屋に連れて行きますよ。その時は思いっきり遊んでやってください」
ルイスさんは特にルーナを可愛がってくれていました。
ルーナもルイスさんを大変気に入り、声がすればすぐにルイスさんの元に飛んでくる様な仲になっていたのです。
──やはり、ルイスさんには一言伝えた方が良かったでしょうか?
寂しそうに佇むルイスさんを見ると、そんな罪悪感が湧いてきました。
「……ねぇ、マリー。俺のお願い聞いてくれる?」
「何でしょうか?」
「俺にルーナをちょう──」
「お断りです」
「ちょっと!!最後まで聞かずに即答する!?」
罪悪感が吹き飛びました。
まったく、ルーナは私の大事な家族です。
そんな家族を易々と手放しません。
「──……あっ、なるほど」
今、ゴリさんのお兄様の気持ちが少しですが分かった気がします。
形は違えど、お兄様もゴリさんの事を思っていたのでしょう。
──もう少し、やり方があったと思うのですが……
まあ、もう終わったことです。蒸し返すのは野暮ですね。
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