城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧

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墓荒らし

55

私に撃たれたファニーさんは、すぐに体が崩れ始めていきました。
ファニーさんはもう、諦めたのか何も言わずに肉体が消えゆくのをお母様の腕の中でじっと待っているようでした。
お母様はファニーさんの頬を擦りながら優しく頬み、そして涙していました。

「……なんでお母さんが泣いてんの?」

「娘の最期に泣かない親なんていないわよ」

「さっきは娘じゃないって言ってたくせに……」

顔を背けていますが、ファニーさんの肩は小刻みに震えていました。
声を殺して泣いているのでしょう……

「馬鹿ね。そうでも言わなきゃ、貴方は私の話なんか聞かなかったでしょ?こんな可愛い子、私の娘以外にいないわよ」

その言葉を聞いたファニーさんは大粒の涙を流し、私の知っているファニーさんの表情に戻り大声で泣き、指がなくなり消えゆく腕で必死にお母様に抱きつきました。

「──ごめ、ごめんなさい!!」

ようやくファニーさんから謝罪の言葉が決めました。
その言葉を最後に、ファニーさんの姿は砂となり宙へと舞っていきました。

「──……私の為にありがとう。ごめんね……」

お母様は空を仰ぎながら、ポツリと囁きました……
 

◇◇◇


「マリー!!!!!」

余韻に浸る間もなく、ゴリさん達の登場です。
そこには西の神父様の姿もあり、改めて死んだはずの妻の姿を目にして、戸惑っているのが手に取るように分かります。
しかし、戸惑っている暇はありません。
術者であるファニーさんが消滅した今、ファニーさんの手により作られたアンデッドは力を失い、魂は在るべき場所に還るのです。

「あなた……」

「……本当にお前か……?」

どうやら神父様は目の前にいる妻の姿が未だに信じられない様です。

──正確に言えば、死体には変わりないのですが。

それでも、神父様はゆっくり奥様の元に近づき抱きしめ肩を震わせながら涙を流しておりました。

そんな神父様を「やだわぁ。大きな子供みたい」と微笑みながら抱きしめ返す奥様。

「……あなた、ごめんなさい。ファニーをあんな風にしてしまったのは私の責任だわ」

「お前のせいではない!!止めれなかった俺の責任だ」

「いいえ。あなたはよくやってくれました。……こんな怪我までして……」

全身包帯が巻かれた神父様の姿を痛々しそうに見ながら思いを伝えました。

「あなたに伝えたいことがあったの。よく聞いてね」

抱きしめていた神父様をゆっくり体から離しながら仰っている奥様ですが、もうそろそろタイムリミットでしょうか。

「私はあなたと……ファニーと出会えて本当に最高の一生だったわ。ありがとう……」

泣きながら神父様に伝えた奥様は、その言葉を最後に目を閉じ動かなくなってしまいました。
そんな奥様を抱きしめ、啜り泣く声が聞こえていますが誰一人声を掛けることが出来ませんでした。

すると、神父様は奥様をその場に優しく横に寝かせると私の元へとやって来ました。

「──すまんが、ファニーを撃った銃を見せてくれるか?」

そう言われたので、疑うこと無く銃を神父様へ。

神父様は手にした銃を隅々までよく見てから

「……この中の銃弾は聖なる樹のものか?」

「ええ」

「……残りは?」

「あと一弾残っているはずです」

そう伝えると「そうか」と言うなり銃口を自分のこめかみへ。

「神父様!?」

慌てて止めに入ろうとしましたが、神父様に一喝されました。

「止めるな!!……もう、疲れたんだ……この世にいても愛する妻も娘もいない。俺も逝かせてくれ」

神父様の気持ちも分かります。分かりますが……

「──貴方はそれでも神父ですか?」

後ろから声がかかり、振り向くと東の神父様の姿が。

「神に仕えし者が簡単に命を奪っていいはずありません。それは貴方もよく知っているはず。それに、貴方が今天に行ったら奥方に叱られるのでは?」

まあ、確かに自ら命を絶ったと知れば叱られる所ではありませんね。

「しかし、俺は……」

「私と一緒に教会を支えていきませんか?昔はいつも一緒だったじゃありませんか。また昔のように私と一緒にいてください」

スッと西の神父様に手を差し伸べてますが、中々その手を取りません。
いつもの威厳は何処へやら。今の西の神父様はまるで臆病な仔犬の様です。

東の神父様はいつまでも手を取らない西の神父様に遂に堪忍袋の緒が切れたようで「いい加減にしろ!!」と怒鳴りました。

「いつまでそうしているつもりだ!?お前はいつも自分を悪い方に持っていく!!お前の悪い癖だ!!そんなお前だからこんな森に教会を建てたんだろ!?自分は町の人達に疎まれていると思っているんだろ!?お前は無愛想で言葉が足りないからな!!」

「もう少し、私も頼ってくれ……幼なじみじゃないか……」そう言うなり東の神父様は西の神父様に抱きつきました。

西の神父様は一瞬驚いた表情をしましたが、ようやく手から銃が離れ地面へと落ちました。

もう大丈夫。そう思った瞬間、私の意識は途切れました。
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