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墓荒らし
56
次に目を覚ました時には、それはそれは豪華絢爛な部屋のベッドの中でした。
──この部屋は……
私はこの部屋が何処なのか、この部屋の主は誰なのかを知っています。
そして、このままここにいると確実にお小言を貰うと言うことも知っています。
──お小言で済めば良いのですが……無理ですね。
私の経験上、高確率でお説教真夜中コースになる事は必然。
となれば、すぐにでもここから去る!!これにつきます。
ゆっくり体を起こすと全身に痛みが走り顔が歪みました。
「……これは結構な重傷ですね……」
ファニーさんに刺された腹部には包帯が巻かれていますが、血が滲んでいます。
結構な血を出したので、貧血にもなっているのでしょう。頭がクラクラします。
それでも、一刻も早くここから出ることが先決だとベッドから降りた所で──
「……何処に行くの?」
ビクッと肩が震え、壊れたからくり人形のように声のかかった方に首を回すと、私の方をジッと見ている……いえ、睨んでいる殿下の姿がありました。
殿下はそのまま何も言わず、私の元へとやって来たかと思えばドサッと再びベッドに戻されました。
ギシッ……
殿下はそのまま馬乗りになり、私を鋭い目で睨みつけてきます。
流石の私でも分かります。殿下は……怒っている。それも半端じゃないほどに……
私は柄にもなく、冷や汗が湧き出てきます。
「えっと……あの……殿下……?」
この沈黙の時間に耐えれず、恐る恐る声をかけますが殿下は睨んだまま何も喋りません。
「でん……」
そう言葉にした時、殿下は私をきつく抱きしめてきました。
「……お願いだからこれ以上心配させないで……」
震えながら消え入りそうな声で言われたので、どうしていいのか分からず目だけがキョロキョロと忙しなく辺りを見渡して、助けてくれそうな人を探しましたが、残念な事にこの部屋には私と殿下だけの様です。
殿下は未だに震えが止まらぬ様で、こちらも気が気じゃありません。
──ふぅ。まったく、手のかかる方です。
私は殿下を抱きしめ返し、ポンポンと落ち着くように優しく背中を叩いてあげました。
「……心配させてしまい申し訳ありません。ですが、私は令嬢でもなければ侍女でもありません。ただの平民です。殿下が私の事など心配する必要はありません」
そう伝えると、殿下は先程よりも鋭い目で私の睨みつけ「貴方、本当にそんな風に思っているの?」と明らかに先程よりも数倍怒っています。
「当たり前です。殿下はこの国の次期国王です。そのような方が一介の平民など心配していたらキリがありませんよ?それよりも……」
そこまで伝えたところで、口を塞がれました。
目の前には殿下の美しい顔。そして唇には柔らかい……
ええ。そうです。悪夢再びです。
「……それ以上言ったら、この場で無理矢理既成事実作るぞ?」
殿下は真っ赤になっている私の首筋から胸元まで指でなぞりながら仰りました。
──いや、それは勘弁……っと言うか、殿下、口調が……
「ん?どうした?」
「……いえ、あの、口調が……」
「ああ、もう必要ないからな。女避け」
「それは、どういう……」
戸惑う私を尻目に、何処か嬉しそうに一枚の紙を私の目の前に差し出してきました。その紙を見て驚愕しました。
《拝啓愛するマリーちゃん
ラインハルト王子から話は聞きました。貴女、また無茶をしたのね。
父様、母様の為に頑張ってくれるのは嬉しいのだけれど、私達はマリーちゃん。貴女の方が大事なの。私達の可愛い天使。お願いだから自分を大切にしてちょうだい。
──そこで、ラインハルト王子から素敵な提案を頂きました。
ラインハルト王子の婚約者に貴女を差し出せば借金は肩代わりしてくれるのは当然。貴女の衣食住の確保。更には貴女の身の安全を保証すると。
素晴らしい提案でしょ!?父様なんて秒でサインしました。
そんな訳で、貴女はこれからラインハルト王子の婚約者として恥ずかしくない振る舞いをお願いね。
追伸
嫌よ嫌よも好きのうちよ。諦めなさい。
マリアンネの幸せを祈る父、母より》
一通り目を通した瞬間、気を失いたくなりました。
この内容から察するに、私は親の借金のかたに売られたと言うことでしょうか?
しかも、王族に。しかも、王子の婚約者として。
チラッと殿下の方をみると、あからさまに勝ち誇った顔をしていて苛立ちが募りました。
──あの脳筋バカ夫婦、やってくれましたね……
──この部屋は……
私はこの部屋が何処なのか、この部屋の主は誰なのかを知っています。
そして、このままここにいると確実にお小言を貰うと言うことも知っています。
──お小言で済めば良いのですが……無理ですね。
私の経験上、高確率でお説教真夜中コースになる事は必然。
となれば、すぐにでもここから去る!!これにつきます。
ゆっくり体を起こすと全身に痛みが走り顔が歪みました。
「……これは結構な重傷ですね……」
ファニーさんに刺された腹部には包帯が巻かれていますが、血が滲んでいます。
結構な血を出したので、貧血にもなっているのでしょう。頭がクラクラします。
それでも、一刻も早くここから出ることが先決だとベッドから降りた所で──
「……何処に行くの?」
ビクッと肩が震え、壊れたからくり人形のように声のかかった方に首を回すと、私の方をジッと見ている……いえ、睨んでいる殿下の姿がありました。
殿下はそのまま何も言わず、私の元へとやって来たかと思えばドサッと再びベッドに戻されました。
ギシッ……
殿下はそのまま馬乗りになり、私を鋭い目で睨みつけてきます。
流石の私でも分かります。殿下は……怒っている。それも半端じゃないほどに……
私は柄にもなく、冷や汗が湧き出てきます。
「えっと……あの……殿下……?」
この沈黙の時間に耐えれず、恐る恐る声をかけますが殿下は睨んだまま何も喋りません。
「でん……」
そう言葉にした時、殿下は私をきつく抱きしめてきました。
「……お願いだからこれ以上心配させないで……」
震えながら消え入りそうな声で言われたので、どうしていいのか分からず目だけがキョロキョロと忙しなく辺りを見渡して、助けてくれそうな人を探しましたが、残念な事にこの部屋には私と殿下だけの様です。
殿下は未だに震えが止まらぬ様で、こちらも気が気じゃありません。
──ふぅ。まったく、手のかかる方です。
私は殿下を抱きしめ返し、ポンポンと落ち着くように優しく背中を叩いてあげました。
「……心配させてしまい申し訳ありません。ですが、私は令嬢でもなければ侍女でもありません。ただの平民です。殿下が私の事など心配する必要はありません」
そう伝えると、殿下は先程よりも鋭い目で私の睨みつけ「貴方、本当にそんな風に思っているの?」と明らかに先程よりも数倍怒っています。
「当たり前です。殿下はこの国の次期国王です。そのような方が一介の平民など心配していたらキリがありませんよ?それよりも……」
そこまで伝えたところで、口を塞がれました。
目の前には殿下の美しい顔。そして唇には柔らかい……
ええ。そうです。悪夢再びです。
「……それ以上言ったら、この場で無理矢理既成事実作るぞ?」
殿下は真っ赤になっている私の首筋から胸元まで指でなぞりながら仰りました。
──いや、それは勘弁……っと言うか、殿下、口調が……
「ん?どうした?」
「……いえ、あの、口調が……」
「ああ、もう必要ないからな。女避け」
「それは、どういう……」
戸惑う私を尻目に、何処か嬉しそうに一枚の紙を私の目の前に差し出してきました。その紙を見て驚愕しました。
《拝啓愛するマリーちゃん
ラインハルト王子から話は聞きました。貴女、また無茶をしたのね。
父様、母様の為に頑張ってくれるのは嬉しいのだけれど、私達はマリーちゃん。貴女の方が大事なの。私達の可愛い天使。お願いだから自分を大切にしてちょうだい。
──そこで、ラインハルト王子から素敵な提案を頂きました。
ラインハルト王子の婚約者に貴女を差し出せば借金は肩代わりしてくれるのは当然。貴女の衣食住の確保。更には貴女の身の安全を保証すると。
素晴らしい提案でしょ!?父様なんて秒でサインしました。
そんな訳で、貴女はこれからラインハルト王子の婚約者として恥ずかしくない振る舞いをお願いね。
追伸
嫌よ嫌よも好きのうちよ。諦めなさい。
マリアンネの幸せを祈る父、母より》
一通り目を通した瞬間、気を失いたくなりました。
この内容から察するに、私は親の借金のかたに売られたと言うことでしょうか?
しかも、王族に。しかも、王子の婚約者として。
チラッと殿下の方をみると、あからさまに勝ち誇った顔をしていて苛立ちが募りました。
──あの脳筋バカ夫婦、やってくれましたね……
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