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さて、リラを追うには船が必要だな。
だが、生憎と私らは船を持っていない。
──転移するか?
いや、全員で一気に飛んだら船上がパニックになり兼ねない。
ふと、ラコードと目が合った。
──こいつを使うか?
いや、ドラゴンだとバレれれば、それはそれで面倒臭い。
焦っているせいか、いい案が浮かばない。
こうしている間にも、リラは離れて行っている。
──くそっ!!
「……あの、神殿が所有している船が一隻あったと思いますが……」
「それだ!!!」
パウルの一言で、すぐに神殿へと向かった。
※
「──それで、船を借りたいと?」
「リラを連れ戻したら、すぐに返す!!頼む!!」
パウルの父親、神官長の所まで行き船を貸してくれるよう頭を下げた。
「頭を上げろ。誰も貸さんとは言っていないだろ?」
「──それじゃぁ!?」
「ああ、好きに使えばいい」
有難い言葉が返ってきた。
「すまない!!恩に着る!!」
深々神官長に頭を下げ、礼を言う。
そして、早速出航する為の準備をする事になったが──
「バジャー!!そんなに菓子必要ないだろ!!」
「アホだすか!?疲れた時には甘い物を取った方がいいんだすよ!!」
「えっ?そうなの?」
ブラウとバジャーは菓子をめぐって争い。
「ラルス様と船上で夕日を見てから……」
「ミハイル、お遊びじゃ無いんですぞ?」
「……分かってるわよ」
ミハイルは爺さんに叱られ。
「おい、お前は何を持っている?」
「これですか?これは魔石ですよ」
「ほお、こんなモンが役に立つのか?」
「これは、映像を記憶出来る魔石です。役に立てればいいんですが……」
「映像を記憶出来るのか!?そいつは凄い!!ちょっと貸してみろ!!」
ラコードとパウルは魔石で遊び出した……
──こいつらを纏める自信がない……
思わず頭を抱え、悩みこんだ。
「コルネリア、どうしたんです?」
私の様子に心配したラルスが声をかけてきた。
「──ああ、ちょっとな。団長だった時を思い出していたんだ」
騎士達をどうやって纏めていたを思い出していたとは言えない。
「珍しいですね。貴方が昔を振り返るとは」
「……そんな気分の時もあるんだよ……」
その言葉を聞いたラルスは心底驚いた顔をしていた。
──そんな驚くことか?
「──何を考えているか知りませんが、貴方は思い詰める癖がある。軽く考えればいいんです」
そうは言うがな。これはもう性だ。治しようがない。
今だに頭を抱える私を見て、ラルスは私の頭にポンッと手を置きながら「肩の力を抜いて」と一言言われ、柄にもなくドキッとしてしまった。
「ラルス、頼りない上司で悪かった。もう大丈夫だ」
「いいえ。昔はこうして話することもなかったですからね。──正直、コルネリアが一度死んで良かったとも思い始めましたよ」
ラルスは冗談交じりに言ってきた。
確かにそうだ。死んでみるもんだな。
そうこうしているうちに、皆準備が出来たらしい。
「コルネリアさん!!まだ準備出来てないんですか!?」
「早くしろだす!!」
「ラルス様は私と参りましょう!」
「コルネリア殿、お急ぎくだされ!」
「早くせぬか!!」
「足でまといにならないよう気をつけます……」
──まったく、こいつらときたら人の気も知らないで。
しかし、何故か腹立たしくはない。
寧ろ、笑みがこぼれた。
「じゃあ、行くとしよう!!」
リラを救出する為に──
だが、生憎と私らは船を持っていない。
──転移するか?
いや、全員で一気に飛んだら船上がパニックになり兼ねない。
ふと、ラコードと目が合った。
──こいつを使うか?
いや、ドラゴンだとバレれれば、それはそれで面倒臭い。
焦っているせいか、いい案が浮かばない。
こうしている間にも、リラは離れて行っている。
──くそっ!!
「……あの、神殿が所有している船が一隻あったと思いますが……」
「それだ!!!」
パウルの一言で、すぐに神殿へと向かった。
※
「──それで、船を借りたいと?」
「リラを連れ戻したら、すぐに返す!!頼む!!」
パウルの父親、神官長の所まで行き船を貸してくれるよう頭を下げた。
「頭を上げろ。誰も貸さんとは言っていないだろ?」
「──それじゃぁ!?」
「ああ、好きに使えばいい」
有難い言葉が返ってきた。
「すまない!!恩に着る!!」
深々神官長に頭を下げ、礼を言う。
そして、早速出航する為の準備をする事になったが──
「バジャー!!そんなに菓子必要ないだろ!!」
「アホだすか!?疲れた時には甘い物を取った方がいいんだすよ!!」
「えっ?そうなの?」
ブラウとバジャーは菓子をめぐって争い。
「ラルス様と船上で夕日を見てから……」
「ミハイル、お遊びじゃ無いんですぞ?」
「……分かってるわよ」
ミハイルは爺さんに叱られ。
「おい、お前は何を持っている?」
「これですか?これは魔石ですよ」
「ほお、こんなモンが役に立つのか?」
「これは、映像を記憶出来る魔石です。役に立てればいいんですが……」
「映像を記憶出来るのか!?そいつは凄い!!ちょっと貸してみろ!!」
ラコードとパウルは魔石で遊び出した……
──こいつらを纏める自信がない……
思わず頭を抱え、悩みこんだ。
「コルネリア、どうしたんです?」
私の様子に心配したラルスが声をかけてきた。
「──ああ、ちょっとな。団長だった時を思い出していたんだ」
騎士達をどうやって纏めていたを思い出していたとは言えない。
「珍しいですね。貴方が昔を振り返るとは」
「……そんな気分の時もあるんだよ……」
その言葉を聞いたラルスは心底驚いた顔をしていた。
──そんな驚くことか?
「──何を考えているか知りませんが、貴方は思い詰める癖がある。軽く考えればいいんです」
そうは言うがな。これはもう性だ。治しようがない。
今だに頭を抱える私を見て、ラルスは私の頭にポンッと手を置きながら「肩の力を抜いて」と一言言われ、柄にもなくドキッとしてしまった。
「ラルス、頼りない上司で悪かった。もう大丈夫だ」
「いいえ。昔はこうして話することもなかったですからね。──正直、コルネリアが一度死んで良かったとも思い始めましたよ」
ラルスは冗談交じりに言ってきた。
確かにそうだ。死んでみるもんだな。
そうこうしているうちに、皆準備が出来たらしい。
「コルネリアさん!!まだ準備出来てないんですか!?」
「早くしろだす!!」
「ラルス様は私と参りましょう!」
「コルネリア殿、お急ぎくだされ!」
「早くせぬか!!」
「足でまといにならないよう気をつけます……」
──まったく、こいつらときたら人の気も知らないで。
しかし、何故か腹立たしくはない。
寧ろ、笑みがこぼれた。
「じゃあ、行くとしよう!!」
リラを救出する為に──
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