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さて、リラを追うには船が必要だな。
だが、生憎と私らは船を持っていない。

──転移するか?

いや、全員で一気に飛んだら船上がパニックになり兼ねない。

ふと、ラコードと目が合った。

──こいつを使うか?

いや、ドラゴンだとバレれれば、それはそれで面倒臭い。

焦っているせいか、いい案が浮かばない。
こうしている間にも、リラは離れて行っている。

──くそっ!!

「……あの、神殿が所有している船が一隻あったと思いますが……」

「それだ!!!」

パウルの一言で、すぐに神殿へと向かった。



「──それで、船を借りたいと?」

「リラを連れ戻したら、すぐに返す!!頼む!!」

パウルの父親、神官長の所まで行き船を貸してくれるよう頭を下げた。

「頭を上げろ。誰も貸さんとは言っていないだろ?」

「──それじゃぁ!?」

「ああ、好きに使えばいい」

有難い言葉が返ってきた。

「すまない!!恩に着る!!」

深々神官長に頭を下げ、礼を言う。

そして、早速出航する為の準備をする事になったが──

「バジャー!!そんなに菓子必要ないだろ!!」

「アホだすか!?疲れた時には甘い物を取った方がいいんだすよ!!」

「えっ?そうなの?」

ブラウとバジャーは菓子をめぐって争い。

「ラルス様と船上で夕日を見てから……」

「ミハイル、お遊びじゃ無いんですぞ?」

「……分かってるわよ」

ミハイルは爺さんに叱られ。

「おい、お前は何を持っている?」

「これですか?これは魔石ですよ」

「ほお、こんなモンが役に立つのか?」

「これは、映像を記憶出来る魔石です。役に立てればいいんですが……」

「映像を記憶出来るのか!?そいつは凄い!!ちょっと貸してみろ!!」

ラコードとパウルは魔石で遊び出した……

──こいつらを纏める自信がない……

思わず頭を抱え、悩みこんだ。

「コルネリア、どうしたんです?」

私の様子に心配したラルスが声をかけてきた。

「──ああ、ちょっとな。団長だった時を思い出していたんだ」

騎士達をどうやって纏めていたを思い出していたとは言えない。

「珍しいですね。貴方が昔を振り返るとは」

「……そんな気分の時もあるんだよ……」

その言葉を聞いたラルスは心底驚いた顔をしていた。

──そんな驚くことか?

「──何を考えているか知りませんが、貴方は思い詰める癖がある。軽く考えればいいんです」

そうは言うがな。これはもうさがだ。治しようがない。

今だに頭を抱える私を見て、ラルスは私の頭にポンッと手を置きながら「肩の力を抜いて」と一言言われ、柄にもなくドキッとしてしまった。

「ラルス、頼りない上司で悪かった。もう大丈夫だ」

「いいえ。昔はこうして話することもなかったですからね。──正直、コルネリアが一度死んで良かったとも思い始めましたよ」

ラルスは冗談交じりに言ってきた。
確かにそうだ。死んでみるもんだな。

そうこうしているうちに、皆準備が出来たらしい。

「コルネリアさん!!まだ準備出来てないんですか!?」

「早くしろだす!!」

「ラルス様は私と参りましょう!」

「コルネリア殿、お急ぎくだされ!」

「早くせぬか!!」

「足でまといにならないよう気をつけます……」

──まったく、こいつらときたら人の気も知らないで。

しかし、何故か腹立たしくはない。
寧ろ、笑みがこぼれた。

「じゃあ、行くとしよう!!」

リラを救出する為に──
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