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猛猪の案内のもと、無事に目的の温泉へと着いた。
温泉には既に何匹かの獣や魔獣も浸かっていた。
その姿は、大変気持ち良さそうだ。

「わぁぁ!!大きなお風呂!!」

「コルネリアさん!!早く入ろう!!」

リラとブラウは大興奮。
服のまま飛び込みそうな勢いだ。

「ちょっと待て!!そのままでは入れん!!服を脱げ!!」

「そうだす!!早く脱ぐだす!!」

バジャーが鼻息を荒くして捲し立てた。
元気になって何よりだが、これはこれで煩い。

今にも飛びかかりそうなバジャーをラルスが首根っこを掴み、回収してくれた。

「女性陣はこちらで、着替えをしろ。男性陣はラルスの方へ」

私が言うと、素早く男女分かれそれぞれの場所へ。
因みに、ミハイルは当然男性陣の方だ。

──流石に見た目だけと心は女でも、身体は男だからな。

私は着替えをする為の小屋を出した。
着替えをするだけの小屋なので、小さめに造った。

一方の男性陣は、小屋など造らず木の陰に隠れて着替えている。
まあ、アイツらはそれで十分だ。

そして、私達女性陣は着替えを終え、裸にタオルを巻き温泉へと向かった。
まだ足元はぬかるんでいるので、気を付けないと転んでしまう為、リラはクロの手を借りながらゆっくり温泉へ向っている。

温泉を見ると、既に男性陣は温泉に浸かっていた。

「「おおおおおおお!!!!!」」

私達の姿を見るなり、ラルスとバジャーが声を上げた。

「……生きててよかった……」

ラルスは泣きながら、呟いている。

「タオルが邪魔だす!!」

バジャー。貴様、湯に沈めるぞ?

私の殺気が伝わったのか、パウルが慌ててバジャーを止めていた。

そんなこんなで、ようやく湯に浸かれた。
お湯は丁度いい温度で、五臓六腑に染み渡る。

──あぁ、ずっと入っていられる……

肩まで浸かり、ゆったりとした気分で辺りを見回すと……
ブラウはバジャーとルー、ドランと一緒になって泳ぎまくっている。
ミハイルはラルスの体をニヤつきながら触っている。それを、必死に止めさせようとラルスが必死になっているのが見える。
クロはリラの胸を「揉むと大きくなるのよ~」と触りまくり、こっちも顔を真っ赤にしたリラが必死に止めさせようとしていた。
その様子を見ているパウルが鼻を押え、天を仰いでいる。

──おいおい、湯を汚すなよ?

そしてルー母さん、ラコード、爺さんと言えば、酒を持ち寄り温泉に入りながら飲んでいやがる……

「おい!!私にも飲ませろ!!」

「おや、コルネリア殿。遅かったですな」

私も混ぜろと、近寄ると爺さんが酒を渡してくれた。
見ると、辺りには酒瓶が大量に置かれていた。

「まさか、酒を持ってきているとは思わんだろ」

「──お前は馬鹿か?温泉と言えば酒が付き物だろ?」

ラコードが馬鹿にしたように私に言うが、そんな常識初めて聞いたぞ?

「……ルー母さん、傷はどうだ?」

「あぁ、もう痛みもないよ。本当、皆には良くしてもらったよ」

「ふふっ」と笑って私達のやり取りを見ていたルー母さんに聞くと、微笑みながら私に返してくれた。

良かった。傷には温泉がいいと聞いたことがあったんでな。
ルー母さんの傷が少しでも癒えればと思っていたんだ。

まあ、これだけ酒が飲めていれば大丈夫だろうな。

「おい!!猛猪!!お前も飲め!!」

『……いいのか?』

「もちろんだ」

私は木陰で休んでる猛猪にも声をかけた。

──折角だ。皆で飲んだ方が酒は美味い。
それに、ここまで連れて来てくれた礼もある。

すると、猛猪はバシャーンと大きな水飛沫をあげ、温泉へと浸かりながら私の渡した酒瓶を器用に口で持ち、そのまま一気に飲みきった。

「おい!!お前!!もう少し味わって飲め!!酒が足らなくなる!!」

『す、すまん』

ラコードが一息で飲みきった猛猪に怒鳴ると、猛猪は大人しく謝罪した。
図体のデカい奴が、小さくなって謝ってる姿は面白いな。

「あはははは!!!無くなったら、ラルスが家まで取りに行けばいい。気にせず飲め!!」

「はぁぁぁぁ!?何勝手な事言ってるんです!?」

私が言えばラコードは「そうだな」と再び飲み始め、ラルスは私の言葉に異議申し立ててきたが、上司命令だと言うと押し黙った。

──あぁ、楽しい。

こんな毎日が楽しくて仕方ない。
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