「悪役令嬢は愛おしきモフモフ♡へ押しかけたい‼︎」(完結)

深月カナメ

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17(ルイ)

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「父上、お忙しい所をすみません」
「そう言うな、わしはお前に会えるのを楽しみにしている」

 父上とお会いするときは、王子だった頃に使っていた俺の部屋を使う。
 いまではマクーレの倉庫代わりになっており、奴の要らなくなった多くの人形が所狭しと置かれていた。

(この前に来た時よりも、人形の数が増えているな……国税をなんだと思っているのだ!)

 この部屋の人形たちは王都の職人の手によって、精巧に作られた少女の形をしている。
 人形が1体2体なら気にしないが、奴好みの髪型、ドレス、宝飾品まで特注品。
 こんなにも数々の高級な少女の人形を集める、あいつは不気味だ。

 それに奴はお気に入りができると、前の人形に興味を失い、この部屋に運び込む。
 興味のなくなった人形達には会いには来ない。
 この部屋もマークレの部下達も人形を運ぶ以外、ここには誰も来ない静かな寂しい場所だ。

(かつては多くの人が出入りをしていただろう)

「今日は父上にお話があります」

「マクーレの事か……あいつの趣味は酷いな、甘やかし過ぎた。次期国王になるためにも、しっかりしてもらわねばならないが……奴では無理だろうな」

「……そうですね」

 この部屋を見ては父上は毎回頭を抱える。

「ルケーイ、話とはなんだ?」

「しばらくしたら、俺はこの国を離れようと思います」

「そうか、この国を離れる……のか」

 もう二度とここには戻らない、父上はそう読んだのか、眉間にシワがより瞳に涙が浮かんでいた。

「この国には帰りませんが、前に父上にいただいた南国の島に移ろうと思っております。島はそんなには遠くありません。父上も隠居したらいらしてください」

「あの島か……そうか、そうじゃな」

 おチビのことをマクーレは異常に気に入っている。その事をおチビの両親に話して、マークレと婚約をどうするのか判断してもらわないと……このままだと、何か起こるかも知れない。

「マークレの事を、妻に任せてほっといた私が悪いな。この1、2年で奴がどうなるのか見極めて、判断しなくてはな」

 父上に手紙を一筆書いて貰い。おチビの家ーー公爵家に移動した。

「はぁ、緊張をする。俺のこと、全部を公爵に話しても大丈夫だろうか?」

 父上にアポを取ってもらい、その時刻に屋敷に着くと、すでに執事はエントランスて俺の到着を待っていた。

(おチビのことを心配しているんだな)

 執事に応接間に案内された。

「ここでお待ちしていてください、すぐに旦那様をお呼びいたします」

「ありがとうございます」





 応接間で待っているとコンコンと扉が鳴る。

「お待たせいたしました」

「お邪魔しております」

 おチビの父親が現れた。その現れた公爵ダルーテ様ーーその人は俺の顔を見て……目頭を押さえて、涙を浮かべた。

(どうした?)

「こ、国王陛下から話は伺っております。よくぞ、よくぞ、生きておられました……ルケーイ王子」

(ルケーイ王子……俺のことを知っているのか?)

 公爵の涙を見て、まだ俺のことを思い出してくれる人がいると、嬉しく思う。

「公爵様、昔の俺を知っているみたいですが、すみません。熱に犯された時に全ての記憶を失いました」

 彼の瞳が一瞬だけ開き、細められた。

「そんな事、いいんですよルケーイ王子。あなたが亡くなったと知ったとき、私たちと娘は物凄くその死を悲しみました……カルノはショックで一晩中、いやしばらく泣いておりました」

(おチビが……俺の為に泣いてくれたのか)

「ルケーイ王子。それで、カルノはいまどこにいるのですか?」

「俺が住んでいる洞窟におります。ダルーテ公爵、俺は故人だ、王子としての資格はありません。そして、獣人でもあります」

 公爵の前で獣人化した。驚くどころか彼は私の手を取り、また涙した。

「話は国王陛下に聞いております。あなた様を助けた獣人の王に感謝します。本当に王子が助かってよかった」

「ダルーテ公爵、昔の俺の話をしてもらえませんか?」

「いいですよ、何から話しますかね」

 公爵は頷き快く昔の話しをしてくれた。







「ルケーイ王子は素晴らしい人でした」

「ありがとうございます。そんなに俺は真面目で、頑張り屋だってのですね……昔の自分なのだけど、少し照れますね」

「ほんとうにあなた様は素敵な方だった。カルノもルー兄を大好きと言っておりました」

  おチビが昔の俺を好きだったか、いまの俺をどう思っているのだろうか。俺はおチビの全てが欲しい。

 コンコン扉が鳴り。公爵が返事を返すと父上の近衛騎士が焦り、応接間に入り頭を下げた。

「失礼しまう。ルケーイ様、マークレ殿下が洞窟に兵を連れて1時間ほど前に向かわれたそうです……国王陛下の話によりますと『あなた様の部屋の鍵を持って行った』と、ルケーイ殿下にすまないと申されていました」

「伝えに来てくれて、ありがとう」

(マークレの奴が俺の部屋の鍵を持って行っただと)

 俺が洞窟の外に出たことを知っていたのか?

(いますぐ向かわないと、おチビが危ない!)

 俺の焦りを察したのか。

「ルケーイ王子、話はまたの機会にいたしましょう。行ってください」

「すみません、公爵。今日はこれで失礼します、今度来る時には、カルノ嬢を連れて来ます」

  近衛騎士が乗ってきた馬を借り、俺は洞窟に向けて走った。

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