「悪役令嬢は愛おしきモフモフ♡へ押しかけたい‼︎」(完結)

深月カナメ

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「こわっ、落ちる所だった」

 落ちる寸前、木に必死にしがみついていたリトさんが降りて、こっちにやって来た。

「あぶねーな、ルイ」

「お前が悪い、俺の声が聞こえているくせに尻尾だけで返事しやがって。その上、よくも俺の番に手を手を出した!」

「なんだよ。2人はまだなんだから、いいだろ?」

「お前はダメだ、グルルル」

 低いうなり声を上げて彼は瞳を細めた。

「お、落ち着けルイ! 俺はお前とは争わねぇって」

「じゃー2度とおチビには触るなよ!」

「へい、へい、分かったよ」

  リトさんが降参しても、まだ機嫌が悪い彼。

「おチビもだ、あんな危ないことをするな!」

 と、わたしのちいぱいをリトさんの目の前で、顔で乱暴にグリグリした。

「ん、ひゃぁ! やだルイ、恥ずかしい」

「俺から離れた、バツだ!」

(そりゃ、わたしが悪いけど、これはぁ!)

「やだぁ、んんっ……ルイ、ごめんなさい」

「許さない、おチビ」

 謝ってもやめてくれない。彼はひとしきりグリグリを楽しむと顔を離した。そして真っ赤に染まったわたしの鼻を鼻でスリスリした。

「消毒完了。おチビ、行こうか」

 どうやら好きなだけグリグリして、彼の機嫌が治ったみたいだ。
 わたしは彼の耳に小声で。

「もう、消毒って! リトさんは、ちいぱいは触っていないよ」

「いいじゃん、おチビのちいぱいを触りたかったんだよ」  

「誰もいない所でやってよ」

「リトに俺たちの仲を見せないとだめだ」

「そうなの?」

「あぁ、そうだ」

 リトさんを置いて、小声でのやり取り続けていた。
 
「あ、あのさ! ……ルイは分かっててやってるだろうけど、おチビちゃん俺に丸聞こえだから……クック、君は見た目通り、ちいぱいなんだね」
 
(ちいぱい⁉︎)

 彼らが耳がいいことを忘れていた。

「リトさん、忘れて!」

「無理だな、ちいぱいちゃん」

「なっ! ルイ降ろして! リトさんを捕まえる!」

 リトさんはにっこり笑って「やなこった!」と逃げ出した。

「あっ、逃げたぁ!」

 彼に抱っこされながら捕まえようと、手を振ったけど届かず、ルイに降ろしてと言っても、その願いは叶わなかった。



 +



「ちいぱい、ちいぱい!」
 
「リトさん!」

 彼の腕の中で、捕まえようと手を伸ばした。

「おチビ諦めろ、奴はそういうやつだ」

「むむっ、リトの意地悪!」

「ちいぱい、おチビちゃん!」

 リトさんにからかわれながら着いていくと、わたしの眼の前に南国の風景が広がった。

「うわぁ、綺麗!」

 海は青く澄んていて、真っ白な砂浜、ヤシの木と赤い花が咲いていた。
 
(素敵なところだわ)

 広い青空、果物がたくさん実る木々、リトさんがお昼寝をしていた大きな木。その木から離れた所には多くの住居が見えた。

 みんなは外に出て手を振ってくれた、島のみんなはルイの到着を待っていたみたい。

「ルイ、いい所だね」

「そうだろう!」

 彼も手を振りかえして嬉しそうに笑った。ルイと同じ獣人族のみんな。彼らと出会うまでルイはあの洞窟で1人だった。そんな、ルイの大切な仲間だ。

「おチビ、屋敷に着いたぞ」

 着いたのは家よりもの大きいな屋敷だった。さすがは国王陛下の別荘。リトさんはその屋敷に気にせず、ズカズカと中に入っていった。

「ルイ、早く来いよ。屋敷の中はみんなで掃除しておいたからすぐに使える。お袋、ルイが来たぞ! お袋!」

「サチャさんかーー彼女には管理を任せっぱなしだからお礼を言わないと。リト、お前にもな」

 リトさんは「いいや」と首を振り。

「いま俺たちが幸せなのは、お前のお陰だ」

「だったら、もっと俺に感謝しろよ!」

「はい、はい、感謝してるよ」

 はははっ、ルイが笑えば、リトさんも笑った、中の良い2人だ。

「ルイの部屋は2階奥の、一番でかい部屋でいいんだろう?」

「ああ、そうだな。おチビも一緒だからそこでいい」

「えっ、ルイと同じ部屋なの? こんなに大きな屋敷なのに? わたしはどこでもいいよ」

「ダメだ、おチビは俺と同じ部屋だ。他の部屋なんて許さん」
 
「……もう、わかったよ」

「よし、分かればいい」

 2人で微笑んで、見つめあってた。
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