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四話
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「まさか、透明人間?」
俺はしゃがむとその辺りで恐る恐る手を伸ばした。
すると、何か生温かく、そして柔らかいモノに当たると、
それは程よい弾力で自分の手を押し返す。
「ん……」
「え? 今、何触った? 怖い怖い、何かいる!」
「……ニホン……ゴ? その……姿は……異世界人?」
〈え? 日本語? 異世界人?〉
なぜか、聴き取るのがやっとの、か細い声が聞こえた気がしたが、
姿は未だ見る事が出来ない。
「あぁ……すまない……。 刺客に襲われ……姿を消していたのを忘れていた。それと、猛毒と麻痺毒を……貰ってしまってな、身動きが取れない……」
そう、聞こえたかと思うと、その透明な何かは徐々に姿を現した。
艶やかな白銀の髪にハリのある褐色の肌、緋色の切長の目に気品を感じる面立ち、
さらに長く尖った耳を持つそれは『人』に似て『人』ではない
超絶美しい生物にひと目で見惚れてしまう程だった。
そして、捲れ上がったスカートから露わになった股間が目に映ると、
「あ!」
思わず声が出てしまった俺は、慌ててよそを向く。
異世界だと確信した現実を目の当たりにした事よりも、出会ってすぐの超絶美人の下半身の裏事情を目の当たりにした事で一層動揺を隠せないでいた。
「フッ、異世界人からしてみれば、余程、異形で醜い姿に見えたのじゃな……。そんなに勢いよくそっぽを向かれるとは……。異世界のお方よ、こんな見苦しく地ベタに寝っ転がった態度での頼み事で申し訳ないが、食糧を少しだけ分けては貰えないだろうか……」
動揺する俺は、彼女の目を合わせる事が出来ずにゆっくりと頷いて応える。
「それとついでで申し訳ないが、麻痺毒のせいで身体が動かせぬ故、食べさせて貰えると助かる」
俺はホームセンターで買った置き配用ボックスに荷物のかさばるカバンと今朝コンビニで買ったものを入れて持ち歩いていた事を思い出す。
すぐ、買い物袋から取り出したおにぎり一つを彼女の口元へと持っていく。
「こ、これは、俺の世界で『おにぎり』と言うものだけど、食べられるかな?」
「問題ない。身体の構造は、人とさほど変わらぬ故、人と同じ食べ物を頂ける」
彼女はパクッと何の躊躇いもなく、異世界の『おにぎり』を口へと頬張る。
「……」
「どうした? まだ私の醜い容姿が見慣れぬのか?」
「いや、その……スカートが捲れ上がって……具……いや、ちょっと、失礼しますよ」
俺は、モグモグと咀嚼する彼女を横目に大きく開かれた足ともう片方の足を丁寧に揃えると、
捲れ上がっていたスカートを手探りで整えた。
「具? あぁ! フフ、ウブなお人だ。女性の下着を目にしてうろたえるとは」
「いや……ちがくて……」
「そんな、否定せぬとも」
「そうじゃなくて! 履いて無かったんだ!」
「ふ?」
「ごめん! 全部見ちゃった!」
「アーッ!」
何か思い当たる節があったのか、彼女は褐色の肌でも、赤面しているのがわかるほど、
一瞬に頬を赤らめていく。
俺はしゃがむとその辺りで恐る恐る手を伸ばした。
すると、何か生温かく、そして柔らかいモノに当たると、
それは程よい弾力で自分の手を押し返す。
「ん……」
「え? 今、何触った? 怖い怖い、何かいる!」
「……ニホン……ゴ? その……姿は……異世界人?」
〈え? 日本語? 異世界人?〉
なぜか、聴き取るのがやっとの、か細い声が聞こえた気がしたが、
姿は未だ見る事が出来ない。
「あぁ……すまない……。 刺客に襲われ……姿を消していたのを忘れていた。それと、猛毒と麻痺毒を……貰ってしまってな、身動きが取れない……」
そう、聞こえたかと思うと、その透明な何かは徐々に姿を現した。
艶やかな白銀の髪にハリのある褐色の肌、緋色の切長の目に気品を感じる面立ち、
さらに長く尖った耳を持つそれは『人』に似て『人』ではない
超絶美しい生物にひと目で見惚れてしまう程だった。
そして、捲れ上がったスカートから露わになった股間が目に映ると、
「あ!」
思わず声が出てしまった俺は、慌ててよそを向く。
異世界だと確信した現実を目の当たりにした事よりも、出会ってすぐの超絶美人の下半身の裏事情を目の当たりにした事で一層動揺を隠せないでいた。
「フッ、異世界人からしてみれば、余程、異形で醜い姿に見えたのじゃな……。そんなに勢いよくそっぽを向かれるとは……。異世界のお方よ、こんな見苦しく地ベタに寝っ転がった態度での頼み事で申し訳ないが、食糧を少しだけ分けては貰えないだろうか……」
動揺する俺は、彼女の目を合わせる事が出来ずにゆっくりと頷いて応える。
「それとついでで申し訳ないが、麻痺毒のせいで身体が動かせぬ故、食べさせて貰えると助かる」
俺はホームセンターで買った置き配用ボックスに荷物のかさばるカバンと今朝コンビニで買ったものを入れて持ち歩いていた事を思い出す。
すぐ、買い物袋から取り出したおにぎり一つを彼女の口元へと持っていく。
「こ、これは、俺の世界で『おにぎり』と言うものだけど、食べられるかな?」
「問題ない。身体の構造は、人とさほど変わらぬ故、人と同じ食べ物を頂ける」
彼女はパクッと何の躊躇いもなく、異世界の『おにぎり』を口へと頬張る。
「……」
「どうした? まだ私の醜い容姿が見慣れぬのか?」
「いや、その……スカートが捲れ上がって……具……いや、ちょっと、失礼しますよ」
俺は、モグモグと咀嚼する彼女を横目に大きく開かれた足ともう片方の足を丁寧に揃えると、
捲れ上がっていたスカートを手探りで整えた。
「具? あぁ! フフ、ウブなお人だ。女性の下着を目にしてうろたえるとは」
「いや……ちがくて……」
「そんな、否定せぬとも」
「そうじゃなくて! 履いて無かったんだ!」
「ふ?」
「ごめん! 全部見ちゃった!」
「アーッ!」
何か思い当たる節があったのか、彼女は褐色の肌でも、赤面しているのがわかるほど、
一瞬に頬を赤らめていく。
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