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第1話
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野原に咲く一本の木。その咲かせる花は珍しい青い花だった。その為に年に一度咲かせる花を見つけたものは枝を折り持ち帰る。
100年以上もこの地に咲く青い花の木。
その木にも精霊が宿る。
「あの人、また今年も来たわ」
精霊は年に一度花を拾いに来る青年が気になっていた。細目に黒いローブを頭からすっぽり被り、背中には木の箱を背負ってやって来る。
黒いローブの下から花を見て口元を綻ばす。
「今年も綺麗な花が咲いたな」
綺麗?あいつわたしのことを綺麗だと言った?えへへ、1年頑張って蓄えたもんね。あなたはわたしに痛いことをしないから好き。
だから、少し多めに体を振り花を落とす。
花が落ちたことを見て、それを拾う彼の周りを飛び回り
「どうだ、わたしは綺麗だろう?嬉しいか?嬉しいだろう?」
(また、来年も花を拾いに来てくれる?)
来てほしいな、また会いたい。
「綺麗な花を咲かすら絶対に来てね!」
どうせ人間には私の格好なんて見えやしない。
なのに、彼と目があった。
「うるさい…さっきから儂の周りを飛ぶな青い花の精霊よ」
「ふうぇ…!?」
(えっ!?…わたしが見えてる!?)
その時ふっと、山神様の言葉が蘇った。
〈青花の木よ、稀に見える者もおる気を付けなさい〉
ーーーこれが山神様が言っていた稀な奴?
それにしても眉間に物凄くシワを寄せてわたしを見て来るぞ何故だ?
「…ふうっ、全く」
男は黒いローブを脱いでわたしに着せようとしたが、スルッとすり抜けて落ちた。
「おお、そうか忘れていた。…青い花の木にこのローブを供える」
「うわぁ、体が光った!?」
(精霊になって初めてのお供え物だ…けど、この使い古しのお古ローブ?)
「お供え物…食べ物が良かったな、甘い物が食べたいな」
「わかったから、先ずはその格好をやめろ、儂の目のやり場に困る」
「え?」
(目のやり場?)
スケスケは嫌いなの?細目だから見えていないと思ってたけど、コヤツしっかり見てたのね。
本当はもっと見たいんじゃないの?
ローブを手に持ち周りを飛ぶと。
男は背中の荷物を降ろして蓋を開けて、中から竹で編んだ籠から真っ白な物を出した。それを見せながらわたしに言う。
「それを着ないと、この饅頭は供えんぞ」
(饅頭?)
「それって、甘くてうまいと聞いたことがある饅頭!?」
食べたい
「ここに2つしかないから儂と一個ずつな」
「うん!」
直ぐに男のローブを着て饅頭を供えてもらい、ぱくついた。
「甘い、美味しい、初めてだ、饅頭最高!」
「そうか、喜んでもらえて良かったよ…明日は何がいい?」
(明日も来てくれるのかな?)
「お団子!」
「わかった、明日もこの時間な」
と、男は籠を背に担いで帰って行った。
100年以上もこの地に咲く青い花の木。
その木にも精霊が宿る。
「あの人、また今年も来たわ」
精霊は年に一度花を拾いに来る青年が気になっていた。細目に黒いローブを頭からすっぽり被り、背中には木の箱を背負ってやって来る。
黒いローブの下から花を見て口元を綻ばす。
「今年も綺麗な花が咲いたな」
綺麗?あいつわたしのことを綺麗だと言った?えへへ、1年頑張って蓄えたもんね。あなたはわたしに痛いことをしないから好き。
だから、少し多めに体を振り花を落とす。
花が落ちたことを見て、それを拾う彼の周りを飛び回り
「どうだ、わたしは綺麗だろう?嬉しいか?嬉しいだろう?」
(また、来年も花を拾いに来てくれる?)
来てほしいな、また会いたい。
「綺麗な花を咲かすら絶対に来てね!」
どうせ人間には私の格好なんて見えやしない。
なのに、彼と目があった。
「うるさい…さっきから儂の周りを飛ぶな青い花の精霊よ」
「ふうぇ…!?」
(えっ!?…わたしが見えてる!?)
その時ふっと、山神様の言葉が蘇った。
〈青花の木よ、稀に見える者もおる気を付けなさい〉
ーーーこれが山神様が言っていた稀な奴?
それにしても眉間に物凄くシワを寄せてわたしを見て来るぞ何故だ?
「…ふうっ、全く」
男は黒いローブを脱いでわたしに着せようとしたが、スルッとすり抜けて落ちた。
「おお、そうか忘れていた。…青い花の木にこのローブを供える」
「うわぁ、体が光った!?」
(精霊になって初めてのお供え物だ…けど、この使い古しのお古ローブ?)
「お供え物…食べ物が良かったな、甘い物が食べたいな」
「わかったから、先ずはその格好をやめろ、儂の目のやり場に困る」
「え?」
(目のやり場?)
スケスケは嫌いなの?細目だから見えていないと思ってたけど、コヤツしっかり見てたのね。
本当はもっと見たいんじゃないの?
ローブを手に持ち周りを飛ぶと。
男は背中の荷物を降ろして蓋を開けて、中から竹で編んだ籠から真っ白な物を出した。それを見せながらわたしに言う。
「それを着ないと、この饅頭は供えんぞ」
(饅頭?)
「それって、甘くてうまいと聞いたことがある饅頭!?」
食べたい
「ここに2つしかないから儂と一個ずつな」
「うん!」
直ぐに男のローブを着て饅頭を供えてもらい、ぱくついた。
「甘い、美味しい、初めてだ、饅頭最高!」
「そうか、喜んでもらえて良かったよ…明日は何がいい?」
(明日も来てくれるのかな?)
「お団子!」
「わかった、明日もこの時間な」
と、男は籠を背に担いで帰って行った。
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