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第5話
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また時は立ち2人の仲は変わらない。ただ、1つ思うことがある。
「精霊に名を付けたい」自分で付けた名を呼びたい男の想い。
「貴方に名前をつけて欲しい」それは青い花の精霊の願いだった。
しかし、精霊が見える人間が現れた事によって、その願いは終わりを迎える。
精霊は花の時期になりあの人が来るのを持っていた、1年眠って綺麗に咲いたよ青い花が。
……早く会いに来て
木の枝に座り今か今かと彼を待つていた。
遠くを見ていたからか、近くに来ていた男性に気付かなかった。
「なぁ…さっきから。君はここで何をしてるん」
「きゃっ⁉︎」
「ごめん驚かせた?」
この人は誰?見たところ人間⁉︎
「まさか私が見えてるの?」
頷き男は笑う。
「うん、見えとる」
「あ、貴方は人間だよね」
「ん?人間だけど」
長年過ごして初めての出来事でどうしたらいいかわかんない。早く来て…と彼を心の中で呼んだ。
「変な女の子だな…俺はユージって言うんだけど、君の名前は?」
「わたしに名前なんてない。わたしはこの木の精霊だもの」
「精霊?あっ、あれかゲームや小説に出てくる」
ゲーム、小説?
「まあ、知らんやろうな…俺もこの世界に召喚されたばかりやしな」
「召喚?」
「別の所から連れてこられた、周りの人はなんでも、俺が勇者様とか言っとったわ」
別の場所に勇者様⁉︎
「よく分からない、ごめんね」
「……ん、別にいいよ」
人間が少し寂しそうにした顔が気になった。
「おーい‼︎」
遠くからあの人の声が聞こえた、いつもの黒いローブだ、待ってたやっと会いに来てくれた。
「はーい!」
手を振ると、気が付き振り返してくれた。
「花の時期にまた来たぞ精霊…おや、先客がおったか」
一瞬だけ眉を潜めて、くるっと背を向け帰ろうとする。
「あ、ちょっと。せっかく来たのに帰らないでよ」
「儂は邪魔だろ?」
一緒にいた人間を見て、帰ろうとする彼の前に立ち塞がった。やっと会える日が来たのに帰らないで。
「邪魔じゃないよ、この人ね、人間なのに私が見えたの‼︎」
「へっ?」
いつも糸目の彼の目が驚きて開いた!
「ああ、稀にいる霊力の高い人間か…本当にいたんだな…まあいいや、花を拾ったら帰……」
「いやだ、帰っちゃ」
大粒の涙がぽたっ…ぽたぽたと頬を流れる。その涙で、咲いた花は落ち、花もしぼんでゆく。
彼はそれを見て頭をかき。
「あー悪かった、悪かった。いるから泣くなって…ほら、お団子を供える」
背中に背負っていたカゴを降りして、中からお団子を出す。
「ほんと、本当に帰らない」
「帰らない‼︎」
彼からお団子を受け取り、精霊は笑うと萎んだ花が綺麗に咲いた。
そのやりとりを人間は不思議そうに眺めていた。
「精霊に名を付けたい」自分で付けた名を呼びたい男の想い。
「貴方に名前をつけて欲しい」それは青い花の精霊の願いだった。
しかし、精霊が見える人間が現れた事によって、その願いは終わりを迎える。
精霊は花の時期になりあの人が来るのを持っていた、1年眠って綺麗に咲いたよ青い花が。
……早く会いに来て
木の枝に座り今か今かと彼を待つていた。
遠くを見ていたからか、近くに来ていた男性に気付かなかった。
「なぁ…さっきから。君はここで何をしてるん」
「きゃっ⁉︎」
「ごめん驚かせた?」
この人は誰?見たところ人間⁉︎
「まさか私が見えてるの?」
頷き男は笑う。
「うん、見えとる」
「あ、貴方は人間だよね」
「ん?人間だけど」
長年過ごして初めての出来事でどうしたらいいかわかんない。早く来て…と彼を心の中で呼んだ。
「変な女の子だな…俺はユージって言うんだけど、君の名前は?」
「わたしに名前なんてない。わたしはこの木の精霊だもの」
「精霊?あっ、あれかゲームや小説に出てくる」
ゲーム、小説?
「まあ、知らんやろうな…俺もこの世界に召喚されたばかりやしな」
「召喚?」
「別の所から連れてこられた、周りの人はなんでも、俺が勇者様とか言っとったわ」
別の場所に勇者様⁉︎
「よく分からない、ごめんね」
「……ん、別にいいよ」
人間が少し寂しそうにした顔が気になった。
「おーい‼︎」
遠くからあの人の声が聞こえた、いつもの黒いローブだ、待ってたやっと会いに来てくれた。
「はーい!」
手を振ると、気が付き振り返してくれた。
「花の時期にまた来たぞ精霊…おや、先客がおったか」
一瞬だけ眉を潜めて、くるっと背を向け帰ろうとする。
「あ、ちょっと。せっかく来たのに帰らないでよ」
「儂は邪魔だろ?」
一緒にいた人間を見て、帰ろうとする彼の前に立ち塞がった。やっと会える日が来たのに帰らないで。
「邪魔じゃないよ、この人ね、人間なのに私が見えたの‼︎」
「へっ?」
いつも糸目の彼の目が驚きて開いた!
「ああ、稀にいる霊力の高い人間か…本当にいたんだな…まあいいや、花を拾ったら帰……」
「いやだ、帰っちゃ」
大粒の涙がぽたっ…ぽたぽたと頬を流れる。その涙で、咲いた花は落ち、花もしぼんでゆく。
彼はそれを見て頭をかき。
「あー悪かった、悪かった。いるから泣くなって…ほら、お団子を供える」
背中に背負っていたカゴを降りして、中からお団子を出す。
「ほんと、本当に帰らない」
「帰らない‼︎」
彼からお団子を受け取り、精霊は笑うと萎んだ花が綺麗に咲いた。
そのやりとりを人間は不思議そうに眺めていた。
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