名もなき青い花。

深月カナメ

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第4話 男は花の季節を待ち焦がれる

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のんびりとした日々が過ぎて行く。人間の国から助けた子達は徐々に怯えることも少なくなり、いまは儂の弟子として働くようになった。

一年待った。もうすぐ青い花の季節が来る。あの子に会える、そう思うだけで儂の心は浮き足立つ。

花が咲いたら何を供えるかな?

饅頭?串団子?おはぎ……そういや儂の好物ばかりだった…毎回幸せそうに大口で食べて、必ず口の両端にあんこやタレを付ける。

酒とつまみを行けば、頬をピンク色に染めて、熱いと言い出し服を脱ぐ……

ふっ…あいつの仕草は可愛いよな。

「うわぁ……あ、あの…師匠。僕の手を握りながらニヤニヤするのは、やめてください」

「本当だ…アルボルの手を握って師匠がニヤニヤしてる!」

しまった…午後の勉強の時間。今日は薬草茶の乾燥の仕方を教えている最中だったな。花の季節が待ち遠しくて気持ちだけが先走りしていた。

いかんいかん…最近、気を抜くとこうだ……

ん、儂に手を握られたアルボルがジリジリと作業場から後ずさり、逃げ出そうとしているではないか。兄貴の方はそれ見て腹を抱えて笑う。

「なんだ、なんだ?儂に触られるのがそんなにも嫌か…あ、こら逃げるなアルボル!」

「僕、僕にはそんな趣味はありません、師匠ごめんなさい」

「安心しろ儂もだ」

と儂とアルボルの追いかけっこが始まった。あんなに嫌がるなんて少し傷ついた。捕まえて、こちょこちょの刑にする。

奴め…見つからないと思ったのか調理場の隅に丸まったアルボル…はは、全部丸見えだぞ。

「捕まえた、走るのも隠れるのも下手だなアルボルよ」

「ひやぁ、ははは…待って師匠、脇は…」

「脇は?なんだ?…もっとか」

アルボルを捕まえて、儂と途中から加わったアルボルの兄貴とで盛大にくすぐった。笑い過ぎてぐったりのアルボル。

「はー笑った笑った。疲れたから儂は休憩に入るよ。お前達は作業場の後片付けが終わり次第、おやつまで昼寝の時間だ」

と、調理場を後にした。

……面白かったが…いいだけ遊んでしまったな。これではいかん。儂の気持ちが浮足立ち過ぎて仕事にならんなぁ。

そうだ、この話はあいつのにしてやろう、精霊は大口を開けて楽しそうに笑うはずだ……あ、ああ……笑う顔まで目に浮かんだ…儂は相当重症だな…

お前に会える日が楽しみで仕方がないよ。

お前もそうだといいな。
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