竜人さまに狂愛される悪役令嬢には王子なんか必要ありません!

深月カナメ

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第二章

第25話 終わりと始まり

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私たちの頭上には、いとおしそうにスノーさんを抱きかかえる竜人王と、うれしそうに腕の中にいるスノーさんがいた。

何百年の時を超えてようやく

「お2人は会えたのですね、ほんとうによかった」

「ああ、みんなのおかげだありがとう!」

[ええ、ありがとう]

2人は幸せそうに寄り添う。
そこにふわふわっと2つの光が飛んできて、2人の前でソキウスさんとラソさんに姿を変えた。

彼らは竜人王の前でひざまつくと

[王よ、ようやく会えたんだな]

[今度は手放すなよ]

「ソキウスにラソ、これからはお前たちとも一緒におれるのか?」
 
竜人王の問いに2人は首を振る。

[いいや、俺たちはもうこの世の者じゃない、おまえが心配で閻魔様に頼んで残らさせてもらっていたんだ]

[王よ。全部、終わりました]

[俺たちは死後の世界に帰るとするよ、また会えるといいなロワ王」

[ええまた、会いましょうロワ王]

「ああ、また会おうぞ。ソキウス、ラソ!」

消える前にわたしの上を飛び「ありがとう」「ありがとうな」2人はわたしにお礼を言うと、ふわふわと飛び天に消えていく2人を手を振り見送った。

その直後。

風に乗りビシューッ、ビシューッ!と音を出して竜人王を目掛けて飛んできた。
竜人王はひらりと交わして、それを避け衝撃波で壊す。

「上か、誰だ!」

ビシューッ、次に飛んできた物を手で素早く掴む。

「弓矢か…どこからか矢が我を狙い飛んできた」

竜人王は私たちを守るように湖にバリアを張るその間も、確実に竜人王の頭を狙い何本もの矢が飛んできたそれを掴み取る竜人王。

「スノーは大丈夫か?」
[はい]

空高くから矢を放った者が叫ぶ声が聞こえた。

「そこにいるのは誰ですか!」

「動くな!」

聞き覚えのある声に空を見上げると、日が落ち暗くなった空に丸い光の玉を周りにいくつも飛ばし、ホウキに乗ったアル様とラーロさんがいた。

アル様のあの格好は!
図鑑で見た一張羅だと言っていたエルフの戦闘衣装!

その一張羅をアル様は身に付けホウキにまたがっていた。
背中のかごから次の矢を取り構えた

「勝手にフォレスタ国の宝、水龍の湖に侵入したのは誰だ!」

矢を放とうとする前に竜人王が叫ぶ。

「我だすまぬ。みんなのために我がここに張ってあった障壁を壊した!」

スノーさんを湖の近くに下ろすと、竜人王な背中の羽を羽ばたかせて、空高く飛ぶアル様とラーロさんの元に飛んで行く。

「あ、あなたは!」

「おお、なんだおまえか!どうりで聞いた声だと思った、久しぶりだなアルボル!」

竜人王が久しぶりだとアル様の名前を呼ぶと、アル様は弓矢を背中のかごにしまい。

「ほんとうにロワなのか?何百年も会いに来ないと思っていたら、急にわたしに激痛を浴びせるために、わたしが張った障壁を壊しにやってきたのか!」

「そうだな激痛が走ったな…すまぬ、これには訳があるのだ」

竜人王は【ライト】と唱えて、光の玉をたくさん作ると湖の近くに飛ばした。

その丸い光に照らされて、湖に浮かぶ私たちが見えた。

「なんだ?シャルちゃんにチビ竜たちにチビドラたちじゃないか?」

「ロワ、この状況をわたしに詳しく説明をしてくださいね」

「ああ、わかっておる」

竜人王とアル様とラーロさんが湖の近くに降りてきた。

その近くに行こうとすると、先に湖から出たシーラン様が手を貸してくれた、一緒に水から上がったリズ様とリオさんは水から上がったわたしを見て目を丸くすると慌てた。

「おいシーラン、シャルロットちゃんを隠せ、ほかのやつにその姿を見せるな!」

「そうです、早くシャルロット様を隠してください!」

その声にシーラン様がハッとしてわたしを見るとほほを赤くして、着ていたジャケットを急いで脱ぎ、わたしに着せ抱きしめた。

「え、ええ、なに?」

「なっ…という格好だシャルロット嬢!」

「なんという格好って、普通のワンピースだよ」

と言ってもシーラン様はわたしから離れる気配はなかった。
 
「シーランはそのままな」
 
「はい、そのままでお願いします」
 
そのままでと言うとリズ様とリオさんは、水辺にぷかぷと浮かぶチビドラちゃんたちを抱えて陸に上げていた。

その近くではアル様とラーロさんに竜人王とスノーさんが話し合いをしている。

「魔女の毒ですか…そろそろこの時期になると西から、この国に避難してくる獣人たちが多勢来ますね」

魔女の毒。

「そうか…あの魔女が言っていたことはほんとうなんだな」

「魔女だと」

「ああ、小娘の祖先かな?俺の毒を消す代わりにその魔女と約束をしたんだ、獣人の国の毒花を根こそぎ消すとな」


話し合い中の竜人王、アル様、ラーロさんがいまだにシーラン様に抱きしめられている、わたしを一斉に見てなにやらつぶやき頷いた。

竜人王たちはわたしの話をしているみたいだ。

「へっ、くしっ」
「クシュン」

シーラン様と同時にくしゃみが出る、ぬれた体が寒くなってきたそれはシーラン様やリズ様にリオさんにチビドラちゃんたちもそうだろう。

「この話はまた、後日に詳しく聞きますね」

「そうだな」
「ラーロ、みんなを乾かしてあげて」

「はい」

ラーロさんの風の魔法で、みんなの服や髪を乾かしてもらった後に竜人王に頼み。

転移魔法で竜人の国に残るマリーさんやシーラン様、リズ様の父上と母上にシズおばあさんを迎えに行く。
 
「シーラン、リズ」

「父上、母上」

久しぶりにベッドから起き上がることができた国王と王妃を見て、シーラン様とリズ様は近づいて行った。

「父上、母上もう、起きても良いのですか?」

「ああ先程、竜人王様に力を分けていただいた」

「父上、母上、よかった」

幸せそうに笑っているわ、シーラン様にリズ様よかったね。

「お帰りなさい、シャルロットお嬢様」

「ただいま、マリーさん終わったよ」

「ええ、お嬢様はよく頑張りました」

わたしが笑顔で頭を出すと、マリーさんは目を細めてたくさん頭をなでてくれた。

その後はみんなで魔法協会に移動をして、癒やしの木の下で何百年かぶりに会った、アル様と竜人王、竜人の国のこれからの平和を祈り、魔法協会に避難をしていた竜人の人も呼んでどんちゃん騒ぎを始めた。

「シャルロット、お帰り!」

「ただいま、ミルちゃん」

彼女が飛んできて、わたしに頬ずりをしてくれる。

「ケガはしていない、大丈夫だった?」

「うん大丈夫、なんとか頑張れたよ」

癒やしの木の下で国王様と王妃様、竜人王、スノーさん、シーラン様、リズ様、リオさん、竜人の国の人々が笑っている。

「シャルロット嬢、すまないがこっちに来てくれ」

「はーい」

「じゃ、シャルロットまたね」

「ミルちゃん、またね」

お手伝いに戻っていくミルちゃんと別れて、シーラン様の近くに行くと側には国王様と王妃様がいた。

「シャルロット嬢、俺の父上と母上だ」

「始めまして、わたしはシャルロットと言います…こんな格好で失礼します」

竜人の国の国王様と王妃様にスカートを持ち会釈をした。

「いいえ、この度は私たちの国にシーランやリズ、リオを守っていただき感謝をいたします」

お二人が頭を下げようとしたのを止めた。

「あ、あ、頭を下げないでください、わたしの方がシーラン様、リズ様、リオさんにはたくさんの元気と笑顔、たくさん、たくさん守ってもらいました」

そう言うと国王様と王妃様は優しく笑ってくれた。

「でも、シャルロットさん。シーランはとくに甘えん坊でしたよね、とくにチビドラになった時とか」

王妃様からチビドラの話が出るとシーラン様は焦り始める。

「母上!」

「そうなんですよ母上、シーランはチビドラの時にシャルロットちゃんの胸にピターッと、くっついて離れなかったんですよ」

「まあ、やっぱりそうなのね」

「違います母上、リズそれは言うな」

はははと声を上げて楽しげに笑うリズ様に、王妃様に必死に弁解をするシーラン様。

その光景を見れて嬉しくて込み上げてきた涙を拭いた。

「お、なんだ、楽しそうだな」

「ラーロさん、みんなが大声を上げて笑っている」

「ああそうだな、シャルちゃんお疲れさま」

ポンと頭に手をやってグリグリとなでてくれる。

「えへへ、ラーロさんにはお礼と謝らないと」

「なにを?」
 
「ラーロさんにもらったヘアピンが助けてくれたの、でもねそのヘアピンが壊れちゃった」

気付いた時には付いていた青い石はなく、普通のヘアピンになっていた。

「いいよシャルちゃんの役に立ったんだ、それで十分さ」

と笑うとわたしの頭をひとなでして「またね」と、ラーロさんはアル様の所に戻っていった。


あれ、マリーさん?彼女はあちらこちらへと癒やしの木の周りや、他の場所を周り誰かを探すようにウロウロしていた。

「マリーさん、どうしたの?」

「あ、あのお嬢様、コッホ様がいなくて」

あ、そういうことね、わたしは指をさして

「コッホ騎士団長ならそこに…あ、そうか」

マリーさんには癒やしの木の下にいるチビドラちゃんが見えないんだった、わたしはマリーさんの手を掴みスノーさんと一緒に寄り添う竜人王の所に向った。

「あの、いいですか?」

「ん、なんだ小娘」

「お願いがあるんです。マリーさんにもチビドラちゃんが見えるようになりませんか?」

「なんだ、そんなことか。いいぞマリー我の近くに来い」

マリーさんを近くに呼びよせ、しゃがませた「目をつぶれ、少しさわるぞ」と片手でマリーさんの目を覆うと、一瞬だけ光が見えてすぐに消えた。

「これでいいだろう」
 
「マリーさん、癒やしの木の下見て」

「はい…まあ、なんてかわいい竜の子たちがコロコロといるわ」

マリーさんはかわいい子たちと騎士の方に言った。その中の1番大きなチビドラちゃんがマリーさんをチラチラと見ている、まさかあのチビドラちゃんがコッホ騎士団長!

「マリーさんあの1番大きな、チビドラちゃんを抱っこをしてみない」

「いいのですか」

癒やしの木の側に行きニコニコとマリーさんが両手を広げると、おずおずと大きなチビドラちゃんはマリーさんの腕の中に近寄り抱きしめられた。

「なんて、かわいいの」

「クーィ、クー」

マリーさんがチビドラちゃんにほほを寄せると、そのチビドラちゃんもほほをスリスリと返した。

ふふっ、これは元に戻った時のマリーさんの反応が面白そうだわ。

楽しい風景を見ながらわたしは少し離れた位置に座る、みんなが楽しそうに話し嬉しそうに笑っている…楽しそうに笑うのだけど…。

ねえ、シーラン様。

あなたは竜人の国の問題が解決したら、リズ様、リオさんを連れて国に帰ってしまうの?

わたしは前と同じに1人に戻るのかな?
それともクレア殿下の婚約者に戻るのだろうか?

「シャルロット嬢、どうした?」

「あ、シーラン様」

わたしの隣に座ったシーラン様は、癒やしのしずくでキラキラと光を浴びて奇麗だ。

「なんだ、シャルロット嬢?」

「ううん、なんでもない。終わったねシーラン様」

「ああ、終わった。はーぁっ、これでなんのわだかまりもなくシャルロット嬢のご両親のもとに、しっかりとあいさつに行き俺たちの婚約の話が進められるな」

わたしの両親にあいさつ?

「婚約?」

「ま、まさか嫌なの…か?シャルロット嬢」

「違う、わたしはシーラン様と離れなくていいの?」

「そんなことは、当たり前だ」

「そっか、そうなんだ。えへへ…」

安心してポロっと涙が目から落ちた。
わたしはこれからもシーラン様の側にいていいんだ。

「うれしい」

「俺だってうれしい…俺がシャルロット嬢を離すかよ…ボソッ、リズやリオには負けない」

「うん、わたしだって離れないもん」

シーラン様の手が伸びわたしを包み込む、その胸の中で、早くなっていくシーラン様の鼓動を聞きながら目をつむった。


  ☆☆☆


竜人王が復活をして1週間がたつころ、私たちの国の王が変わったと、国中がその話で持ちきりになる。

前の王がどこかに去り、新しき王竜人王ロワの誕生をみんなは手をたたき喜びの声を上げた、新しい国の名前はロースノ国。

あの後、シーラン様は一度竜人の国に戻り、わたしは自分の屋敷へと戻ってきた。

朝早くに畑に行く準備中。

「お父様早く、畑に行きましょう!」

「まて、そう急ぐなシャルロット」

チシャの葉を見に畑に行くためにズボンにシャツに首にタオルといった、楽な姿で玄関を出ると何かを感じ身構える。

「誰?」

そう声を出したと同時に魔法陣が表れて消えた、そしてわたしの前には燕尾服を着たリオさんが立っていた。

「リオさん!?」

わたしを見て、ほほえみ一礼をする。

「おはようございます、シャルロット様」

「おはようリオさん」

「いきなりですが竜人王ロワ様がロースノ国であなたを呼び、すでにお待ちになっております」

「こんなに朝早くに竜人王ロワ様が?」

「はい、シーラン様もリズ様もお待ちです。そのままでよろしいのですぐに参りましょう」

シーラン様やリズ様に会えるの…いや、ちょっと待ってシャツにズボンの格好だよ、リオさんわたしの手をつかまないで!

「待って、待ってリオさん。この格好じゃ嫌よすぐに着替えるから待っていて、マリーさんお父様!」

わたしの必死の声を聞き、屋敷から慌てて出てくるお父様とマリーさん。

「どうした、シャルロット!」

「お嬢様?」

リオさんはお父様とマリーさんに頭を下げ。

「おはようございますデュック公爵様、マリーさん。朝からお騒がせをしてすみません。竜人王ロワ様がシャルロット様をお呼びなのです」

「そうか、竜人王ロワ様がかいって来なさいシャルロット」

「了解も終えました。では、行きましょうシャルロット様、マリーさんもご一緒に来てください」

と、着替えもできずに、強引にロースノ国に連れていかれた。



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