竜人さまに狂愛される悪役令嬢には王子なんか必要ありません!

深月カナメ

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第三章 獣人の国に咲いた魔女の毒花編

第29話

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聖女の試練それに打ち勝つべく私は耐えていた。

「くっ、はぁーっ‼︎」

「シャルロットお嬢様」

〔シャルちゃん〕

熱いねつの中にポワッと光が生まれた、その光は割れて私の体の中に溶けていくと、空からも一筋の光が暗闇を突き抜けて私に降り注いだ。

その天からの光はアル様達やみんなにも見えていた。そして男にもその光は見えた。

「うっ、この光…まさか屋敷に…あの子に向かってる⁉︎あ、ああ。嫌な予感がする」

シーラン様やリズ様、リオさんは屋敷を見て。

「シャルロット嬢に何が起きている?」

「シャルロットちゃん」

「シャルロット様」

空からの一筋の光が消えると同時に、体の熱も引いていった。

それになんだか体がキラキラしている。それはまるで癒やしの木の滴の様に私の体が光っていた。そして胸の中に1つ、もう1つと魔法が浮かんだ。

この魔法を唱えればみんなは助かる?光がそうだと教えてくれる。わかった。ありったけの魔力を出し切るね。

「お嬢様。お体はよろしいのですか?」

「うん、マリーさんも外に行こう。あの男が襲ってきても私が守るから」

「いいえ、私だってシャルロットお嬢様をお守りします」

「じゃぁ、一緒に守りあおう」と笑ってマリーさんと手を繋ぎ屋敷の外に出る。赤い月に照らされた町の中は家々が壊れて、町の様子が変わっていた。シーラン様やみんなは攻撃態勢を取ることなく、防御だけで人々を押さえ込んでいる。

「え、シャルロットちゃん⁉︎」

近くで【魔防御】を出し迫る操られた人を抑えていたリズ様が驚きの声を上げた。その奥で盾を構えているリオさんもだ。

みんな私の光に驚く。


「なぜ来た、シャルロット嬢‼︎」


シーラン様は幾度なく出した【障壁】のせいで、魔力が切れ掛かるのか、肩で息をして膝を突いていた。

そしてその近くには赤い月を背に高くまう、袖の長い黒いローブの男とそいつを押さえ込もうとするコッホ騎士団長達。


私が外に出てきたことがわかり、男と目が合うと彼は口を曲げて笑った。

「んんん‼︎君がシャルちゃんか可愛い。俺好み。うわぁ、でも嫌な予感、嫌な予感がする。君の力に僕が負ける、嫌だ僕は君を連れて帰りたいのに…クスクス」

まだ男には魔力にも余裕があるのだろう。


「冗談を抜かせ‼︎シャルロット嬢を連れて帰るなんて、そんな事は俺がさない‼︎」


傷だらけで、魔力が切れそうで、フラフラなのにシーラン様は立ち上がる。

「さあ行ってください、シャルロットお嬢様」

繋いだ手を離しマリーさんは私の背中を押した。私はその勢いに乗り走っていまにも倒れそうなシーラン様を支える、下から見上げると彼は眉を潜め手で顔を覆ってしまった。

「くっ…やはりそうなのか…結局はまたシャルロット嬢の力を借りなくてはならないのか。なんて力不足で不甲斐ない‼︎」

私はシーラン様を見上げたまま違うと首を振る。

「みんなのお陰なんだよ‼︎あなた達が私を守ってくれたから私は頑張れた。1人では絶対に諦めてる。だから…シーラン様、私と手を繋いで」

私1人の力ではダメ、みんなの思いも必要。だからか一緒にと私は声を上げて皆を呼ぶ。

「リズ様、リオさん、マリーさんも来て、コッホ騎士団長も騎士の人達も集まって」


「もう君の体を傷付けるとかそんな事はどうでもいい‼︎【魔撃弾】」


魔撃弾からみんなを守る魔法の言葉を口にする。

「【守りの光盾】」

私の思いに反応して前に出した手に白く光る魔法陣が現れ、光るバリアがみんなを覆いつくし【魔撃弾】がバリアに当たり弾け飛ぶ。

「あ、あーっ。嘘だろ、まじかーっ…厄介な力だな聖女の力って…僕と正反対」

魔撃弾が弾け飛んだ後の煙が消えでも【守りの光盾】は残り私達を覆っていた。結構な衝撃を受けたけど、よかった消えなかった。


「なんて力だ…シャルロットちゃん」

「凄い力です」

みんなは圧倒されてるけど、1番驚いているのは魔法を使った私。

「俺達じゃもうシャルロット嬢に敵わないな」

……なんて事を言うの‼︎

「違う、違うの。シーラン様、リズ様、リオさん聞いてこれはね「聖女の試練にがんばりましたね」って、いまだけ天の方が私にお力をお貸しくださったの‼︎だから…これが終わったらしっかり聖女としての修業をしないと使えないの‼︎」


みんなは呆気に取られてそして笑った。


「なんだよそれ、聖女の力ってのも俺達と同じく修業しないとダメなの‼︎」

「ふふ、そうですか…シャルロット様。私は負けませんよ」

「そうだな兄上、リオ。俺達も負けないから、シャルロット嬢‼︎」

「ちょっとなんで⁉︎勝負みたいになっているの、みんなで一緒に修業すればいいじゃない」


……はっ‼︎


一斉に黒い魔力を感じてみんなは空を見上げる。男は何かを始めたみたいだ。男が操る町の人々がバタン、バタンと次々に崩れ落ちる様に倒れていく。


「ふん、ぼくを置いて、和んじゃってムカつくね。【魔血球】」


男の握った拳からポタリと血が垂れ血球が…赤い球が出来上がって行く。また1人バタリと倒れた。立っている人々達の顔は痩せ焦げて、顔色は真っ青だ‼︎

このままでは人々の命が危ない‼︎

「みんなで止めましよう‼︎」

「わかった、シャルロット嬢‼︎」

「シャルロットちゃん俺達はどうすればいい?」

「私が魔法を詠唱するから、みんなはひよこ豆の時と同じ天高く手を上げて願って‼︎」

みんながわかったと頷く。次に私は持ってきた水晶玉にも話しかけた。

「アル様、エシャロットさん、ラーロさん、竜人王様、アル様の師匠さん聞こえる、お願いします。お貸してください‼︎」

〔いいよ、シャルちゃん〕

〔やるわよ‼︎〕

〔わかった、シャルちゃん〕

〔小娘。いくらでも我の力を貸すぞ〕

〔わかった、わかったよ〕

天の方。お力を借ります。

「【光よ…天の光。この声を聞き、悪き魂を浄化する。ホーリー・レイン】」

癒やしの雨【ホーリー・レイン】を唱えた。

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