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番外・シャルロットの休暇 (短編)
竜人王様と、元国王陛下と元王子(前編)
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今朝早く、竜人王様からの呼び出しがあった。
朝食を終わらせて、竜人王様が待つ王の間を目指した、久しぶりに王城の中を歩くわたしたち。
リズ様がある通路に差し掛かると、辺りを見回した。
「そういや、この廊下でシャルロットちゃんに出会ったんだよね」
「あぁ、俺たちのことを見て美形さんとイケメンさんなんて、呼んだんだよな」
兄弟は昔の思い出を話しだす。それは、わたしの恥ずかしい思い出だ。
反論するのなら。そのときはクレア元殿下に酷いことを言われた後で、ここが乙女ゲーム⁉︎ だとパニックになっていた時だ。
でも、初めてみた2人は本当に美形でイケメンだった。
「ほ、本当のことだもの。わたしは見たままのことを正直に言っただけよ、美形さんとイケメンさん!」
「なんだよ、俺にぶつかっておでこ真っ赤にしてたくせに!」
「そうそう、真っ赤だったね」
そのことまで覚えてるんだ。
「もう、シーラン様とリズ様は忘れてください!」
嫌だね! っと逃げ出した2人を追っかけた。その後ろでは私達を見て呆れるリオさん。
「逃げるな! 2人とも待ちなさい!」
ここでみんなに会えたから、わたしのいまがあるんだよ。学園は全然通えなかったし、悪役令嬢みたいなことは出来なかったけどね。
ほんと、どんどんと乙女ゲームから外れていっちゃうし、わたしに魔法が使えて、竜人の国を救っちゃうなんて思わなかった。
なんて、みんながいたから竜人の国を竜人王様を救えたんだ。
竜人の国を救った後に毒花とかの問題が出てきて、必死に足掻いて、手を繋いで、平和になった国。
もう、大変なことばかりだったよ。
この世界はゲームではなく、わたしの住む世界。これからもずーっと、みんなと歩んでいく世界なんだ。
ーー大切なみんなにも、愛する人にも会えたからね。
♢
王の間に付き扉を開けた。早朝でも日が入らない王の間は薄暗い。
しかし、竜人王様はシャンデリアのろうそくをつけるのが面倒だったか。
灯りの魔法を使い王の間を明るくさせて、寝巻きのまま王座に肘を掛けて座っていた。
「よく来たな、小娘、チビども!」
緊迫しない雰囲気とあのお姿……スノー王妃が見たら怒られますよ。
でも、このまったり感はこの国が平和だと、言っているのかもしれない。
わたしはスカートを掴み、シーラン様達は胸に手を開けて会釈をした。
「おはようございます、竜人王様」
「今日は何用で俺達をここへ呼んだのですか?」
「うむ、ワレは忘れておった。あやつ達の病状も回復した、このまま牢屋に入れておくのもな。それで、あの2人をどうするか決めてくれ」
……うん?
まったく話が見えない。竜人王子様は誰のことをおっしゃっているの?
それはみんなも同じのようで、話が見えない上に、謎の2人の話に首を傾げていた、
「あの竜人王様に質問します。2人とは誰のことをおっしゃっているのですか?」
「あぁ、2人とは人間の元王国と王子のことだ」
竜人王子様は言い終わると手のひらを出し、そこに鏡のような物を出現させた。
その鏡に映されたのは丸々に太った2人。
ーーまさか、あれが⁉︎
それにそこは牢屋の中なの? と聞きたいくらいになんでも揃っていた。
牢屋の中で2人はゆるゆるな服を身につけて、ベッドに寝転がってだらしなく本を読み、何か食べているもよう。
「「竜人王様⁉︎ 本当にあの2人が元国王と殿下ですか? 見る影がないです!」」
余りの衝撃で、鏡に指を刺して王の間で叫んでしまった。
「すまぬ、あまりにも此奴ら煩いからな。黙らせようと、手をかけ過ぎてしまったようだ……」
「手をかけすぎですよ、竜人王様!」
「ほんと、これは酷い!」
「これが元国王と王子……見る影がありませんね」
すべて竜人王様のせいだわ。
「だから、謝ったであろう? 此奴らの処分と言うか……これからどうするかを、お主らで決めてくれとも頼んでいたであろう? で、どうする?」
ーーで、どうするって……
そんなこと色々ありすぎて、毎日が忙しくて、2人のことなんて忘れていたわ。
朝食を終わらせて、竜人王様が待つ王の間を目指した、久しぶりに王城の中を歩くわたしたち。
リズ様がある通路に差し掛かると、辺りを見回した。
「そういや、この廊下でシャルロットちゃんに出会ったんだよね」
「あぁ、俺たちのことを見て美形さんとイケメンさんなんて、呼んだんだよな」
兄弟は昔の思い出を話しだす。それは、わたしの恥ずかしい思い出だ。
反論するのなら。そのときはクレア元殿下に酷いことを言われた後で、ここが乙女ゲーム⁉︎ だとパニックになっていた時だ。
でも、初めてみた2人は本当に美形でイケメンだった。
「ほ、本当のことだもの。わたしは見たままのことを正直に言っただけよ、美形さんとイケメンさん!」
「なんだよ、俺にぶつかっておでこ真っ赤にしてたくせに!」
「そうそう、真っ赤だったね」
そのことまで覚えてるんだ。
「もう、シーラン様とリズ様は忘れてください!」
嫌だね! っと逃げ出した2人を追っかけた。その後ろでは私達を見て呆れるリオさん。
「逃げるな! 2人とも待ちなさい!」
ここでみんなに会えたから、わたしのいまがあるんだよ。学園は全然通えなかったし、悪役令嬢みたいなことは出来なかったけどね。
ほんと、どんどんと乙女ゲームから外れていっちゃうし、わたしに魔法が使えて、竜人の国を救っちゃうなんて思わなかった。
なんて、みんながいたから竜人の国を竜人王様を救えたんだ。
竜人の国を救った後に毒花とかの問題が出てきて、必死に足掻いて、手を繋いで、平和になった国。
もう、大変なことばかりだったよ。
この世界はゲームではなく、わたしの住む世界。これからもずーっと、みんなと歩んでいく世界なんだ。
ーー大切なみんなにも、愛する人にも会えたからね。
♢
王の間に付き扉を開けた。早朝でも日が入らない王の間は薄暗い。
しかし、竜人王様はシャンデリアのろうそくをつけるのが面倒だったか。
灯りの魔法を使い王の間を明るくさせて、寝巻きのまま王座に肘を掛けて座っていた。
「よく来たな、小娘、チビども!」
緊迫しない雰囲気とあのお姿……スノー王妃が見たら怒られますよ。
でも、このまったり感はこの国が平和だと、言っているのかもしれない。
わたしはスカートを掴み、シーラン様達は胸に手を開けて会釈をした。
「おはようございます、竜人王様」
「今日は何用で俺達をここへ呼んだのですか?」
「うむ、ワレは忘れておった。あやつ達の病状も回復した、このまま牢屋に入れておくのもな。それで、あの2人をどうするか決めてくれ」
……うん?
まったく話が見えない。竜人王子様は誰のことをおっしゃっているの?
それはみんなも同じのようで、話が見えない上に、謎の2人の話に首を傾げていた、
「あの竜人王様に質問します。2人とは誰のことをおっしゃっているのですか?」
「あぁ、2人とは人間の元王国と王子のことだ」
竜人王子様は言い終わると手のひらを出し、そこに鏡のような物を出現させた。
その鏡に映されたのは丸々に太った2人。
ーーまさか、あれが⁉︎
それにそこは牢屋の中なの? と聞きたいくらいになんでも揃っていた。
牢屋の中で2人はゆるゆるな服を身につけて、ベッドに寝転がってだらしなく本を読み、何か食べているもよう。
「「竜人王様⁉︎ 本当にあの2人が元国王と殿下ですか? 見る影がないです!」」
余りの衝撃で、鏡に指を刺して王の間で叫んでしまった。
「すまぬ、あまりにも此奴ら煩いからな。黙らせようと、手をかけ過ぎてしまったようだ……」
「手をかけすぎですよ、竜人王様!」
「ほんと、これは酷い!」
「これが元国王と王子……見る影がありませんね」
すべて竜人王様のせいだわ。
「だから、謝ったであろう? 此奴らの処分と言うか……これからどうするかを、お主らで決めてくれとも頼んでいたであろう? で、どうする?」
ーーで、どうするって……
そんなこと色々ありすぎて、毎日が忙しくて、2人のことなんて忘れていたわ。
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