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閑話 メアリスのイライラ話
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執務室からの帰り、なんで? どうして? と疑問符が付き纏う。
みんなが可愛いと褒めたこのドレスを、オルフレットは褒めてくれなかった。
褒めるどころか……たかがドレス一着に領収書を見せて、怒ったような表情を見せた。
彼との好感度が上がっていない証拠だ。
「「なんで、思い通りにいかないの?」」
オルフレットは私のことを好きになるはずなのに。
いまロレッテと仲良くしたって最後には婚約破棄するのに。
近くにいれば立つと思っていたフラグは立たないし。
ゲームのように優しい言葉もかけてくれない。
ヒロインなのに私を悪者扱いする。
物語がちっとも良い方向に進まない。
イライラする。
「あらメアリス怖い顔をしちゃって何かあったの? オルフレット王子はそのドレス褒めてくれたのでしょう?」
ゴテゴテと宝石を付けて、ゴウシャスに着飾ったこの世界のお姉ちゃん。
私のお陰で第一王子をゲットできたのに。
最初はさ、私に感謝の言葉もあったけど、最近は上から目線でそれにも腹が立つ。
「えぇ、オルフレットは可愛いって言ってくれたよ」
「そう、良かったわね。私も毎日彼に綺麗だと言われているわ」
へぇー、そうなんだ。
似合いもしないそのドレスを褒めてくれるんだ。
ぷっ、趣味悪すぎなんだけど……
「私、急ぐから」
「そう、また後でね」
グレールの側近にエスコートされて去っていった。
はぁ? 何々、あいつ王妃にでもなったつもり?
オルフレットが国王陛下で、この乙女ゲームの主人公でヒロインの私が王妃になるの。
この世界は私のための世界なんだから。
私だけがちやほやされて、特別扱いで、何をしても許される世界。
両親だってお姉ちゃんだって私の言うことをちゃんと聞いたから、今の地位が手に入ったくせに、そこんところ忘れないでよね。
私に感謝を言いなさいよ、もっと褒めて崇めなさいよ。
『君は笑うと可愛いね』
『ありがとう、メアリス』
ここ王城、庭園のベンチでオルフレットに言われるのに。
悪役令嬢ロレッテを蹴落として、私と結ばれるはずなんだ。
それなのになぜ?
嫌いな悪役令嬢ロレッテといつまでいるの?
ゲームのように二人は仲違いをして、毎日の様に罵り合い、喧嘩して関係に亀裂が入るはず。
それで、二人が離れないと。
落ち込んだオルフレットを元気つけたり「大丈夫だよ」と励ましたりする、私の好きなイベントが出来ないじゃない。
私達のらぶらぶの裏で。
嫉妬で心が荒んだ悪役令嬢ロレッテは知り合いで、隣国の王子セルバンと手を組み、サンム草という隣国でしか取れない草を使うんだ。
徐々に体を蝕む草。
サンム草はセルバンに話を持ちかけたときに貰った。
ちゃんと、解毒草があることも知ってる。
私とオルフレットの仲に嫉妬した、ロレッテがやった様に見せようと、オルフレットが飲む紅茶に少し入れたし、舞踏会で焚くお香もサンム草だ。
はははっ、みんな眠っちゃえ!
そうしたら解毒草で私が治してあげるんだ。
みんなを治したらオルフレットとも、国もみんな私の物になるよね。
罪は全部、悪役令嬢ロレッテに全て押し付けてればいい。
あいつはそういう役どころだからいいんだ。
(!)
庭園にいる私の元に草を踏む音が近付いてくる。
その人物は私を見つけると声を上げた。
「「まんまと貴様には騙された! お前から貰ったこの手紙は偽物だな!」」
やべっ、うるさい隣国王子が帰ってきた。
手紙が嘘? そうだね。それは私が書いたんだもん。
あんたがロレッテをどうにかすると思ったのだけど、本人が居ないからこの計画はおじゃん。
「ははっ、あんたに魅力がなさすぎなのよ」
「なんだと! お前がこうすればロレッテが手に入るからと言ったから、やったんだ……本当にお前の言う通りに解毒剤もあるんだろうなぁ!」
「……あるわよ。あるから、しっかりやってよね」
どんな草わすれちゃったけ、ゲームじゃロレッテが用意していたはず。
ほっといてもロレッテが見つけてくるよ。
「お前の、その話を信じるからな!」
あーうるさい。
もーばか、ばか、ばか!
みんなが可愛いと褒めたこのドレスを、オルフレットは褒めてくれなかった。
褒めるどころか……たかがドレス一着に領収書を見せて、怒ったような表情を見せた。
彼との好感度が上がっていない証拠だ。
「「なんで、思い通りにいかないの?」」
オルフレットは私のことを好きになるはずなのに。
いまロレッテと仲良くしたって最後には婚約破棄するのに。
近くにいれば立つと思っていたフラグは立たないし。
ゲームのように優しい言葉もかけてくれない。
ヒロインなのに私を悪者扱いする。
物語がちっとも良い方向に進まない。
イライラする。
「あらメアリス怖い顔をしちゃって何かあったの? オルフレット王子はそのドレス褒めてくれたのでしょう?」
ゴテゴテと宝石を付けて、ゴウシャスに着飾ったこの世界のお姉ちゃん。
私のお陰で第一王子をゲットできたのに。
最初はさ、私に感謝の言葉もあったけど、最近は上から目線でそれにも腹が立つ。
「えぇ、オルフレットは可愛いって言ってくれたよ」
「そう、良かったわね。私も毎日彼に綺麗だと言われているわ」
へぇー、そうなんだ。
似合いもしないそのドレスを褒めてくれるんだ。
ぷっ、趣味悪すぎなんだけど……
「私、急ぐから」
「そう、また後でね」
グレールの側近にエスコートされて去っていった。
はぁ? 何々、あいつ王妃にでもなったつもり?
オルフレットが国王陛下で、この乙女ゲームの主人公でヒロインの私が王妃になるの。
この世界は私のための世界なんだから。
私だけがちやほやされて、特別扱いで、何をしても許される世界。
両親だってお姉ちゃんだって私の言うことをちゃんと聞いたから、今の地位が手に入ったくせに、そこんところ忘れないでよね。
私に感謝を言いなさいよ、もっと褒めて崇めなさいよ。
『君は笑うと可愛いね』
『ありがとう、メアリス』
ここ王城、庭園のベンチでオルフレットに言われるのに。
悪役令嬢ロレッテを蹴落として、私と結ばれるはずなんだ。
それなのになぜ?
嫌いな悪役令嬢ロレッテといつまでいるの?
ゲームのように二人は仲違いをして、毎日の様に罵り合い、喧嘩して関係に亀裂が入るはず。
それで、二人が離れないと。
落ち込んだオルフレットを元気つけたり「大丈夫だよ」と励ましたりする、私の好きなイベントが出来ないじゃない。
私達のらぶらぶの裏で。
嫉妬で心が荒んだ悪役令嬢ロレッテは知り合いで、隣国の王子セルバンと手を組み、サンム草という隣国でしか取れない草を使うんだ。
徐々に体を蝕む草。
サンム草はセルバンに話を持ちかけたときに貰った。
ちゃんと、解毒草があることも知ってる。
私とオルフレットの仲に嫉妬した、ロレッテがやった様に見せようと、オルフレットが飲む紅茶に少し入れたし、舞踏会で焚くお香もサンム草だ。
はははっ、みんな眠っちゃえ!
そうしたら解毒草で私が治してあげるんだ。
みんなを治したらオルフレットとも、国もみんな私の物になるよね。
罪は全部、悪役令嬢ロレッテに全て押し付けてればいい。
あいつはそういう役どころだからいいんだ。
(!)
庭園にいる私の元に草を踏む音が近付いてくる。
その人物は私を見つけると声を上げた。
「「まんまと貴様には騙された! お前から貰ったこの手紙は偽物だな!」」
やべっ、うるさい隣国王子が帰ってきた。
手紙が嘘? そうだね。それは私が書いたんだもん。
あんたがロレッテをどうにかすると思ったのだけど、本人が居ないからこの計画はおじゃん。
「ははっ、あんたに魅力がなさすぎなのよ」
「なんだと! お前がこうすればロレッテが手に入るからと言ったから、やったんだ……本当にお前の言う通りに解毒剤もあるんだろうなぁ!」
「……あるわよ。あるから、しっかりやってよね」
どんな草わすれちゃったけ、ゲームじゃロレッテが用意していたはず。
ほっといてもロレッテが見つけてくるよ。
「お前の、その話を信じるからな!」
あーうるさい。
もーばか、ばか、ばか!
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