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9話 廃病院と霊 一
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ハイキングの騒動からしばらくたったある日、教室の真ん中に女子たち数人が集まって、キャーキャーと騒いでいた。
その中に春子もいて、一緒にワイワイと盛り上がっている。
「麗奈、麗奈も見においでよ。すごい写真だよ。これ。」
女子たちに囲まれていたのは一ツ橋裕太。
丸顔で丸っこい目の、鼻の上のそばかすが特徴的な男子だ。
すっごいお金持ちの御曹司で、父親はあちこちでホテルを経営しているとの噂である。
裕太が女子たちに自慢気に見せていたのは心霊写真だ。
オカルト好きな裕太は、霊が出ると噂される場所に行っては、自分のカメラで写真を撮るのを趣味にしている。
その中から、心霊写真らしきものが撮れれば、こうやって女子に見せているらしい。
これは中等部で、裕太と同じクラスだった女子からの情報である。
普段、霊を見慣れている私は、わざわざ見る気になれなかったのだが、春子にまた変な霊が憑いては良くないと思ったので、一応見ておくことにした。
裕太が机の上に出していた写真は三枚。
天井に写った霊の顔。
古い和室の中に浮かぶ浮遊霊。
病院の壁に写る女の霊。
私は見てすぐにわかった。
天井に写った霊の顔は、木の模様が人の顔っぽく見えているだけ。
和室の浮遊霊は、古い部屋にありがちで、人がその中で動けば舞うほこりが、光の加減でまるで霊のように見えるもの。
だが、病院の女の霊は本物だった。
私がその写真に目を奪われていると、裕太は鼻の下を指でこすりながら、ふふっと自慢げに笑った。
「その病院は、今は廃病院なんだ。親父がレジャー施設を作るからって、廃病院を土地ごと買い取ったんだよ。」
「それ、知ってる! 院長が不正で捕まったから潰れちゃったんだよね。その病院。」
「そうそう、それを親父が買い取ったわけ。だから、一般の人は中に入れないけど、持ち主の息子だから俺は入れるんだよな。」
「えーっ、何それ!?」
女子たちと裕太は楽しそうに盛り上がっている。
「それでなんだけど・・・、 よかったら、皆で肝試ししない?」
「ええーっ?」
女子たちの驚きの声が教室中に響き渡った。
「なに? 何なの?」と周りの生徒たちも寄って来る。
「えーっ? 廃病院で肝試しだって?」
「面白そうじゃない? 私行きたい!」
「そんなの絶対にやめといた方がいいよ。危険だよ。」
「あほらし・・・」
面白がる者と、怖がる者と、呆れる者の、三者三様の生徒が入り混じった。
「じゃあ、行きたい人、手を挙げて!」
裕太が声を上げると、すかさず横やりを入れる声が上がった。
「お前なー、もしも呪われたらどうするんだ? お前が責任とれるのかよ?」
横やりを入れてきたのは、浄念寺拓弥、お寺の息子である。
目鼻立ちが整ったイケメンで、サラッとした髪は清潔感があって、女子には結構人気だ。
お寺の名前は、苗字と同じ浄念寺。
悪霊払いで結構有名なお寺らしい。
この二人は中等部からの友人で、オカルト好きの裕太に、卓弥がいつもこんな感じで突っかかっているそうだ。
春子はすごく肝試しに興味を持ったようで、
「こんなチャンスは二度とないから・・・。」
と行く方に手を挙げた。
「ワオ、日向さん、一緒に行ってくれるの?」
裕太は嬉しそうな顔をした。
いやいや、春子、あなたは憑かれやすい体質なんだから行ったらダメでしょ・・・と言いたかったけど、春子は自分の体質を知らない。
だから、行ったらダメだと、私の口からは言えなかった。
「春子が行くなら私も行くわ。」
万が一、春子に霊が憑いたら、助けてあげなくては・・・。
その思いで、私も参加表明した。
その中に春子もいて、一緒にワイワイと盛り上がっている。
「麗奈、麗奈も見においでよ。すごい写真だよ。これ。」
女子たちに囲まれていたのは一ツ橋裕太。
丸顔で丸っこい目の、鼻の上のそばかすが特徴的な男子だ。
すっごいお金持ちの御曹司で、父親はあちこちでホテルを経営しているとの噂である。
裕太が女子たちに自慢気に見せていたのは心霊写真だ。
オカルト好きな裕太は、霊が出ると噂される場所に行っては、自分のカメラで写真を撮るのを趣味にしている。
その中から、心霊写真らしきものが撮れれば、こうやって女子に見せているらしい。
これは中等部で、裕太と同じクラスだった女子からの情報である。
普段、霊を見慣れている私は、わざわざ見る気になれなかったのだが、春子にまた変な霊が憑いては良くないと思ったので、一応見ておくことにした。
裕太が机の上に出していた写真は三枚。
天井に写った霊の顔。
古い和室の中に浮かぶ浮遊霊。
病院の壁に写る女の霊。
私は見てすぐにわかった。
天井に写った霊の顔は、木の模様が人の顔っぽく見えているだけ。
和室の浮遊霊は、古い部屋にありがちで、人がその中で動けば舞うほこりが、光の加減でまるで霊のように見えるもの。
だが、病院の女の霊は本物だった。
私がその写真に目を奪われていると、裕太は鼻の下を指でこすりながら、ふふっと自慢げに笑った。
「その病院は、今は廃病院なんだ。親父がレジャー施設を作るからって、廃病院を土地ごと買い取ったんだよ。」
「それ、知ってる! 院長が不正で捕まったから潰れちゃったんだよね。その病院。」
「そうそう、それを親父が買い取ったわけ。だから、一般の人は中に入れないけど、持ち主の息子だから俺は入れるんだよな。」
「えーっ、何それ!?」
女子たちと裕太は楽しそうに盛り上がっている。
「それでなんだけど・・・、 よかったら、皆で肝試ししない?」
「ええーっ?」
女子たちの驚きの声が教室中に響き渡った。
「なに? 何なの?」と周りの生徒たちも寄って来る。
「えーっ? 廃病院で肝試しだって?」
「面白そうじゃない? 私行きたい!」
「そんなの絶対にやめといた方がいいよ。危険だよ。」
「あほらし・・・」
面白がる者と、怖がる者と、呆れる者の、三者三様の生徒が入り混じった。
「じゃあ、行きたい人、手を挙げて!」
裕太が声を上げると、すかさず横やりを入れる声が上がった。
「お前なー、もしも呪われたらどうするんだ? お前が責任とれるのかよ?」
横やりを入れてきたのは、浄念寺拓弥、お寺の息子である。
目鼻立ちが整ったイケメンで、サラッとした髪は清潔感があって、女子には結構人気だ。
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この二人は中等部からの友人で、オカルト好きの裕太に、卓弥がいつもこんな感じで突っかかっているそうだ。
春子はすごく肝試しに興味を持ったようで、
「こんなチャンスは二度とないから・・・。」
と行く方に手を挙げた。
「ワオ、日向さん、一緒に行ってくれるの?」
裕太は嬉しそうな顔をした。
いやいや、春子、あなたは憑かれやすい体質なんだから行ったらダメでしょ・・・と言いたかったけど、春子は自分の体質を知らない。
だから、行ったらダメだと、私の口からは言えなかった。
「春子が行くなら私も行くわ。」
万が一、春子に霊が憑いたら、助けてあげなくては・・・。
その思いで、私も参加表明した。
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